米雇用統計 2023年10月6日(金)の結果と解説
振り返りバックナンバー
米労働省が2023年10月6日に発表した9月雇用統計の主な結果は、①非農業部門雇用者数33.6万人増、②失業率3.8%、③平均時給33.88ドル(前月比+0.2%、前年比+4.2%)という内容であった。
①8月の非農業部門雇用者数は前月比18.7万人増と市場予想の17.0万人増を上回った。ただし、7月分の増加幅が18.7万人から15.7万人へ、6月分が18.5万人から10.5万人へとそれぞれ下方修正された。このため、米雇用市場の基調的な動きを見る上で重視される非農業部門雇用者数の3カ月平均の増加幅は15.0万人にとどまり、コロナ禍で大幅減を記録した2020年6月以来の低水準となった。
②8月の失業率は3.8%と、市場予想および前月の3.5%を上回り2022年2月以来の水準に上昇した。フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も、前月の6.7%から7.1%へと上昇。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率が62.6%から62.8%へと上昇したことも失業率の悪化につながった。なお、労働参加率の62.8%は2020年2月以来の高水準。
③8月の平均時給は33.82ドルと前月の33.74ドルから0.08ドル増加した。伸び率は前月比+0.2%、前年比+4.3%で、ともに7月(+0.4%、+4.4%)から伸びが鈍化。前月比の+0.2%は今年最低の伸びであり、2022年2月以来の低さとなった。なお、市場予想は前月比+0.3%、前年比+4.3%だった。
今回の米9月雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが予想のほぼ2倍に達する強さを見せた一方で、平均時給の伸びは鈍化傾向が確認された。市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気を失速させることなくインフレを鎮静化させることに成功する可能性が高まったと評価した模様だ。年内の追加利上げ期待は米9月雇用統計の発表後も大きく上昇することはなかった。発表直後こそ、米長期金利は上昇したが一巡後には低下に転じ、ドルもこれにつれて一時の上げを削った。米国株は売りが先行したが金利が低下するとそれを好感して上昇した。市場は米9月雇用統計を受けてFRBの「利上げの終わり」を見据え始めたようだ。
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米国 経済指標(失業率・非農業部門雇用者数)過去の推移
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