米雇用統計 2023年5月5日(金)の結果と解説
振り返りバックナンバー
米労働省が2023年5月5日に発表した4月雇用統計の主な結果は、①非農業部門雇用者数25.3万人増、②失業率3.4%、③平均時給33.36ドル(前月比+0.5%、前年比+4.4%)という内容であった。
①4月の非農業部門雇用者数は前月比25.3万人増と市場予想の18.5万人増を上回った。一方、前月分は23.6万人増から16.5万人増へと下方修正された。この結果、雇用情勢の基調を判断する上で重要視される3カ月平均の増加幅は22.2万人に減速。ただ、雇用情勢が「安定的」と見做される10-15万人程度は引き続き上回っている。
②4月の失業率は3.4%となり、前月から0.1ポイント低下。1月に記録した約54年ぶりの低水準に並んだ。市場予想は前月から0.1ポイント上昇の3.6%であった。フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も、前月の6.7%から6.6%へと低下した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は前月から横ばいの62.6%であった。
③4月の平均時給は33.36ドルと前月の修正値33.20ドルから0.16ドル増加した。伸び率は前月比+0.5%、前年比+4.4%で、いずれも市場予想(前月比+0.3%、前年比+4.2%)を上回った。前月比の伸び率は2022年7月以来の高さであり、前年比の伸び率は3月の+4.3%から再び加速した。
一部地銀の経営不安も相まって米国の景気先行きが不安視される中で発表された米4月雇用統計は、①非農業部門雇用者数が3カ月平均を上回る増加幅となり、②失業率は約54年ぶりの水準に低下した上に、③平均時給の伸びが再び加速した。雇用情勢は景気に対する遅行性(景気が悪化してもすぐに雇用は悪化しない)があるとはいえ、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月に利上げを停止するとの観測を弱める内容だったことから米債利回りは上昇。それにつれてドルも上昇した。とはいえ、米10年債利回りは3.4%台止まりで5月1日に付けた3.6%前後には届かなかった。ドル/円も135円台へと上昇したものの、前3営業日の下げ幅の半分も埋められなかった。米4月雇用統計の好結果、中でも賃金上昇率の再加速を考えると追加利上げ期待が浮上してもおかしくないところだが、市場はそこまで強気にはなれないようだ。3月のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻に端を発した米地銀の経営不安がくすぶり続けていることや、5月10日に発表される米4月消費者物価指数(CPI)の伸びを確認したいとのムードが残っているためだろう。
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米雇用統計発表後のマーケットの反応をプロの視点で解説。
米国 経済指標(失業率・非農業部門雇用者数)過去の推移
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