米雇用統計 2023年8月4日(金)の結果と解説
振り返りバックナンバー
米労働省が2023年8月4日に発表した7月雇用統計の主な結果は、①非農業部門雇用者数18.7万人増、②失業率3.5%、③平均時給33.74ドル(前月比+0.4%、前年比+4.4%)という内容であった。
①7月の非農業部門雇用者数は前月比18.7万人増と市場予想の20.0万人増を下回った。業種別では、これまで雇用の増加をけん引してきたレジャー・接客の伸びが鈍化。製造業全体では小幅な減少に転じた。米雇用市場の基調的な動きを見る上で重視される非農業部門雇用者数の3カ月平均の増加幅は、5月、6月分が下方修正されたこともあって21.8万人と、前月の22.8万人から鈍化した。
②7月の失業率は3.5%となり、市場予想および前月の3.6%を下回った。フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も、前月の6.9%から6.7%へと低下した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は5カ月連続で62.6%の高水準を維持した。
③7月の平均時給は33.74ドルと過去最高を記録。前月の修正値33.60ドルから0.14ドル増加した。伸び率は前月比+0.4%、前年比+4.4%で、市場予想の前月比+0.3%、前年比+4.2%を上回った。前年比の伸びは昨年の同時期と比べるとやや鈍ったが、それでも物価上昇率(CPI前年比上昇率)を上回るなど、底堅さを維持している。
今回の米7月雇用統計では、非農業部門雇用者数が2カ月連続で10万人台の伸びにとどまったことで米労働市場の需給ひっ迫が薄れたとの受け止めが広がった。失業率は横ばい予想に反して低下し、平均時給も予想以上の伸びを示したが、市場は非農業部門雇用者数の下振れを重く見たようで、米長期金利が低下するとともにドルが下落した。ただ、人手不足とそれに伴う賃金の上昇が雇用統計の結果から読み取れる中、サービス価格を中心とするインフレ圧力が和らぐ兆しはまだ見られない。インフレ抑制に向けて年内あと1回の利上げを示唆している米連邦準備制度理事会(FRB)が、今回の雇用統計の結果を悲観的に受け止める公算は小さいだろう。現時点では、米7月雇用統計に対する長期金利の低下とドルの下落はやや過剰反応と見ておきたい。なお、次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までには、もう1回雇用統計(8月分、9月1日)が発表される。FRBは次回FOMCまでに発表される各種インフレ統計の結果も踏まえて利上げもしくは据置きの判断を下すと考えられる。
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米国 経済指標(失業率・非農業部門雇用者数)過去の推移
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