米雇用統計 2022年9月2日(金)の結果と解説
振り返りバックナンバー
米労働省が2022年9月2日に発表した8月雇用統計の主な結果は、①非農業部門雇用者数31.5万人増、②失業率3.7%、③平均時給32.36ドル(前月比+0.3%、前年比+5.2%)という内容であった。
①8月の非農業部門雇用者数は前月比31.5万人増と市場予想の29.8万人増を上回ったが、7月の修正値52.6万人増から増加幅が縮小した。今回も幅広い業種で増加が確認されたが、これまで大幅増が続いていたレジャー・接客は3.10万人増に鈍化した。なお、7月分の雇用者数が0.2万人、6月分が10.5万人下方修正された結果、非農業部門雇用者数の3カ月平均の増加幅は前月の40.2万人から37.8万人へと鈍化した。
②8月の失業率は7%となり、前月比横ばいの3.5%を見込んでいた市場予想を上回った。フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も、前月の6.7%から7.0%へと上昇した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率が前月の62.1%を上回り62.4%へと上昇したことが失業率を押し上げた。
③8月の平均時給は32.36ドルと前月の修正値32.26ドルから上昇して過去最高を更新。伸び率は前月比+0.3%、前年比+5.2%であった。市場予想(+0.4%+5.3%)をいくぶん下回ったが、前年比の伸び率は8カ月連続で5%台の高い伸びを維持した。
米8月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが鈍化したものの、増加幅は予想以上であった。失業率は予想外に上昇したが、労働参加率の上昇に押し上げられたことから、いわゆる「良い失業率上昇」だ。平均時給も高止まりしており、米国の労働市場はひっ迫した状態が続いている。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月も大幅利上げを継続する公算が高まったと言えるだろう。もっとも、利上げ幅については、市場が50bpか75bpかを判断する決め手にはならなかったようだ。米長期金利は雇用統計の発表後に上昇したが、最終的にはほぼ横ばいで取引を終えた。ドル/円も一時140.80円前後までドル高に振れて24年ぶり高値を付けたが、おおむね横ばいでクローズした。市場の関心は、13日に発表される米8月消費者物価指数(CPI)に移ることになりそうだ。
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米国 経済指標(失業率・非農業部門雇用者数)過去の推移
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