中国恒大集団の債務不履行問題(9/20期限)に伴う相場変動・スプレッド拡大等の可能性

  • 重要

中国の不動産大手、恒大集団が9月20日期限の利払いを行えないと主要銀行に通知したことを受けて一部金融市場に混乱が生じており、今後の同社および中国当局の対応次第では為替相場が急変動する可能性がございます。人民元や中国情勢の影響を受けやすい豪ドルをはじめ、各通貨の動向にご注意ください。また今週末に何らかの展開があった場合には、各通貨ペアの週明け(9月20日)オープンレートが前週末クローズレートに対し大きく乖離する可能性がございます。
ポジションをお持ちのお客様、特に高レバレッジのポジションをお持ちの法人の方におかれましては、口座管理につき十分ご注意のほどお願いいたします。

なお上記の影響を受ける期間には実勢インターバンクレートのスプレッド(BidとAskの差)も平常時より拡大傾向となる見通しであり、その際には当社でもやむなくスプレッドを一時的に拡大する場合があります。また相場状況により「ダイレクトカバーの対象となる注文」の基準Lot数(最低数量)を一時的に変更する場合がありますのでご承知おき願います。

※スプレッド拡大時には、これに伴う評価レートの変動に伴い口座の有効比率が低下します(両建状態でも同様です)。このとき口座状況によっては有効比率がロスカットレベルを下回る可能性がありますので十分ご注意願います。

●注目ポイント
外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

中国不動産大手、恒大集団(エバーグランデ)の過剰債務問題が話題となっている。近年は中国政府が不動産バブルの抑制に向けて様々な規制強化を打ち出しており、その影響もあって借入れ依存度が高い恒大は資金繰り難に陥っている。

これまで恒大の債務問題は「市場の一部の話題」にとどまっていたが、15日に中国政府が「恒大は20日の利払いを見送る」と発表した事で表面化した格好だ。2008年の米リーマン・ショックも不動産市場が起点となっただけに、金融危機への発展を危惧する声も出始めている。ただ、現時点では中国の国内問題、それも不動産デベロッパー1社の資金流動性問題に過ぎない。恒大の外国人投資家向けドル建て債務は195億ドルとされており、たとえ破綻しても世界経済に悪影響が波及するリスクは大きくないと考えられる。

とはいえ、中国政府に恒大を救済する気がなさそうに見える点は気になるところであろう。恒大を「見殺し」にする事で、仮に連鎖的な中国不動産ショックが起きれば、世界の金融システムにも影響が及びかねない。恒大の債務問題がどのような着地を見せるのか(中国政府がどのように着地させるか)、今後の動向に注目したい。