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裏目に出たトランプ関税、ドル安・世界の経済分断が進行|原油下落が日本にもたらす事 4月16日(水)野村雅道【FX/為替】#外為ドキッ

動画配信期間:公開日から2週間

動画の内容をギュッと要約

トランプ相場の状況と影響

トランプ氏の「関税」方針による市場への影響が継続している状態
4月2日に「開放記念日」として関税政策を打ち出したが、その後の市場反応は良くない
具体的影響:ドル安進行、アメリカ株式市場下落、日本株式市場下落、円高傾向が継続
トランプ大統領は「私のおかげで物価が下がった」と自賛しているが、これは前向きな物価低下ではなく
アメリカが景気後退に陥るという懸念の下でのインフレ低下であり、むしろ悪い兆候と言える
関税政策の実施が二転三転し、市場に不安定さをもたらしている

関税政策の混乱と延期

当初2月に発表予定だった関税政策が3月、4月と延期され続けている
現在は「相互関税を90日間停止する」方針を表明している状態
スマートフォンの関税免除など時に譲歩する発言を出すものの、翌日には否定するパターンが繰り返されている
この政策の揺れ動きが市場の不安定要因となっている

植田日銀総裁の発言と円相場

植田日銀総裁は関税による「悪いシナリオ」の方向に経済が向かっていると警告
インフレは低下傾向にあり、実質賃金が上昇するとの見方を示した
この発言を受けてドル円は一時142円台から143円台に円相場が変動
しかし143円台からの上昇(円安)は進まない状況が続いている

トランプ政権の政策矛盾と課題

トランプ政権は減税政策実行のために巨額の資金調達が必要な状況
議会には債務上限引き上げを求める必要があり、政治的駆け引きが発生
関税収入でアメリカを潤すという政策選択は経済学的に疑問視される
イエレン元財務長官は「自損事故であり、海外企業がアメリカに戻ることはない」と強く批判
「関税をかけてアメリカの製造業を取り戻す」という主張には論理的矛盾がある

製造業が戻れば関税収入はなくなるため、両立しない政策目標

関税や保護主義的政策はアメリカ経済にとって長期的にマイナスとの見方が一般的

トランプ政権誕生の背景分析

コロナ禍による物価上昇がトランプ支持の大きな要因
アメリカ人はバイデン政権下でのインフレ抑制失敗を批判
実際にはバイデン政権は8-9%のインフレを3%程度まで抑制しており、国際的に見ても悪くない成果
しかし、物価上昇による生活苦を抱える有権者をトランプ氏の演説が引き寄せた
イーロン・マスク氏の資金提供なども影響し、政権交代に至った
政策の良し悪しよりも、現状への不満が投票行動を決めた面が大きい

米中関係の悪化とグローバルサプライチェーンへの影響

中国政府がボーイング社製航空機を今後購入しないと表明
以前は300機以上購入していた中国が欧州エアバス社に調達先を切り替える可能性
これはアメリカ航空産業に大きなダメージをもたらす可能性がある
関税政策によって中国の敵対心が高まっており、様々な分野での報復措置の懸念

重要イベント:パウエルFRB議長講演

日本時間明日の2時30分頃に予定されている講演に市場の注目が集まる
FRB地区連銀総裁たちは慎重姿勢を強めており、経済悪化すれば利下げの方針を示唆
大手銀行CEOも「リセッションにならない」「パニックにならない」と言及しているが
このような発言自体が危機感の表れとも解釈できる
実際に経済指標は悪化傾向にあり、FRBの政策転換の可能性が高まっている

日本経済の構造変化の兆し

貿易統計の好転:2月が黒字、3月も黒字に転じる見込みが高まる
原油価格の下落が最大の要因(60ドル台に低下、一時60ドルを割る場面も)
日本の貿易赤字は大幅に縮小傾向にある
歴史的背景:日本は1981年から2010年まで30年間連続で貿易黒字を記録
この期間は円高が進行し、240円から75円まで円高になった時期と重なる
もし原油がさらに下落し50ドルを割れば、日本の貿易黒字時代が再来する可能性
トランプ氏は「貿易黒字は良く、赤字は悪い」という見方をしているが
実際には貿易黒字時代の日本は「失われた20年」と呼ばれる低成長期だった
貿易赤字は物を購入して自国の資産が増えていることを意味し、必ずしも悪いことではない
日本の貿易黒字時代は製品の「叩き売り」状態で収益が上がらず、デフレが進行した時代でもあった

日本の個人投資動向:外貨投信の状況

NISAの影響で拡大してきた外貨投信残高が1月、2月と減少傾向
外貨投信は相対的に予測が難しく、為替変動の影響を受けやすい
昨年は28兆円程度のネット買い越し状態で、円安を支える要因となった
今年はその勢いが減速している
政府は65歳以上の高齢者向けに優遇条件付きの投資制度を検討中
しかし、円が大きく介入されたり利上げされれば、株式市場は大きなダメージを受ける可能性がある

日本の経済指標の悪化傾向

最近の経済指標は概ね悪化傾向:

製造業の景況感悪化が続いている
製造業・サービス業のPMI指数も悪化
景気動向指数が下降
消費者態度指数も悪化傾向

インフレだけに注目していると景気全体の悪化を見落とす危険性
植田日銀総裁の「インフレは低下してきて実質賃金が上がる」との発言は

インフレ上昇が止まりつつある可能性を示唆している

日本の政治と為替政策への懸念

自民党も野党も円高志向の発言が増えている
NHKの「日曜討論」では両党とも円高を肯定する姿勢
石破首相の政権において、赤沢経済再生大臣の発言も注視される必要がある
為替市場において日本側があまり発言しない方が良い状況にもかかわらず
「円高」に向けた政治的発言が増えていることは懸念材料
ベッセント財務長官は「強いドル」を望んでいる状況で、日本側の為替発言は摩擦のリスク

グローバル経済の構造変化の可能性

アメリカの保護主義的政策によって世界経済の分断化が進む可能性
トランプ氏の減税政策実現のための関税政策は様々な困難に直面している
製造業の海外移転は比較優位の理論に基づく経済合理性があり、政策的に戻すのは困難
工場や人材の移転には大きなコストがかかり、簡単に戻せるものではない
日本でさえ円高で海外移転した工場を円安になっても国内に戻していない現状がある
中国の報復措置などによる予期せぬ悪影響も懸念される

欧州経済圏の状況

ECB(欧州中央銀行)は今週0.25%の利下げを予定している
ユーロ圏の経済指標も悪化傾向にあり、金利上昇だけでは景気回復は難しい状況
イギリスは2月のGDPが予想を上回る改善(前月比0.5%増、予想0.1%増)
欧州通貨(ポンド、ユーロ、スイスフラン)は全体的に強い傾向
スイスフランが安全資産として買われている状況
中国も金を積極的に購入しているという報告がある
全体としてトランプ政権の不安定さから安全資産への逃避が進んでいる

オーストラリア・ニュージーランドの状況

両国とも中国への貿易依存度が高く、中国への課税政策に対して敏感に反応
株価は全体的に安い傾向が続いている
オーストラリアは5月3日に総選挙を控えている
世論調査では保守連合39%、労働党31%、緑の党12%と接戦状態
どちらが勝っても連立政権になる可能性が高い
与党は171億5000万ドルの追加所得減税を打ち出している
オーストラリア・ニュージーランドの経済は中国市場と資源価格に大きく依存
ニュージーランドは5回連続で利下げを実施中で、5月も利下げの可能性が高い
インフレは前年比2.3%と落ち着いている状況

総括と今後の展望
トランプ政権の関税政策を軸とした「トランプ相場」は市場に不安定要素をもたらし続けている。原油価格の下落により日本の貿易収支は改善傾向にあるが、各種経済指標の悪化や円高志向の政策発言は懸念材料である。
世界的には、アメリカの保護主義的政策により国際関係の悪化と経済分断が進行しており、特に米中関係の悪化が様々な産業に波及する可能性がある。製造業の「国内回帰」はコスト面から実現困難であり、関税政策による経済的メリットは限定的と見られる。
当面は今夜のパウエルFRB議長講演が最大の注目点となり、FRBの金融政策転換の可能性が市場の焦点となる。欧米の利下げ傾向が強まる中、日本の金融政策と為替政策のバランスも重要な局面を迎えている。
トランプ政権の関税政策は実施が先送りされる傾向にあり、完全に撤回される可能性も否定できない。世界経済は、この不安定要素を抱えながら、インフレ抑制と景気維持の難しいバランスを模索する状況が続くと予想される。

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野村雅道 氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。
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