執筆：外為どっとコム総合研究所 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は93.94円前後で、ニュージーランド（NZ）ドル/円は85.36円前後で週初を迎えました。31日に発表された中国製造業購買担当者景気指数（PMI）や1日の3月中国財新製造業PMIは市場予想以上に前回から拡大を示しましたが、2日（水）に米国の相互関税詳細発表を控えていることもあり、豪ドルやNZドルへの影響は一時的なものとなりました。2日のNY時間午後にトランプ米大統領が相互関税の詳細を発表。20%前後の関税が予想される中で、「基準関税が10%」となったことでリスクオンの動きとなり、豪ドル/円は95.30円台、NZドル/円は86.70円台まで急伸する場面も見られました。その後トランプ大統領が予想以上に厳しい主要国への関税を公表したことで一転リスク回避の動きとなり、豪ドル/円は90円台半ばまで、NZドル/円は83円台前半まで大幅に下落しました（執筆時）。
トランプ関税の豪、NZへの影響は？
米国の相互関税は豪州、NZともに今回の関税では最小となる10%となりました。ただ、両国と交易関係の強い中国への関税は34％と高い税率が設定されたことが豪ドル、NZドルの上値を抑える要因となります。3日に発表された豪2月貿易収支は貿易黒字額が大幅に減少しています。米国から中国への追加関税は2月から発効されており、その影響から資源需要が低下したことが要因です。また、相互関税が世界経済を悪化させる懸念が台頭し、世界的に株価が大幅に下落していることも、リスクセンチメントに敏感な豪ドルやNZドルの上値を抑える要因となっています。豪ドル/円、NZドル/円は今週大きく下げた株価や、米ドル/円の調整などにより、反発する場面も見られるでしょうが、上値は重くなりそうです。
RBNZは追加利下げ？
来週は9日（水）にNZ準備銀行（RBNZ）が政策金利を発表します。RBNZは2024年8月以来4会合連続で合計175bp（1.75%ポイント）の利下げを実施しています。その甲斐もあってか、2022年7-9月期以降急速に低下していた同国のインフレ率は過去2四半期（2024年7-9月期、10-12月期）連続でRBNZの目標レンジ（1～3%）の中央値に迫る前年比+2.2%に落ち着いています。
ただ、NZ経済は国内総生産（GDP）が2024年の第2四半期（7-9月期）から3四半期連続で前期比マイナス成長。四半期ごとに発表される雇用者数も2四半期連続で前期から減少中で、失業率は新型コロナのパンデミック期の最高だった5.2%に迫る5.1%まで上昇しているなど、悪材料が目立ちます。そのため、市場ではRBNZが今回の会合で25bp（0.25%ポイント）の利下げを実施すると予想しています。NZ経済の状況を鑑みると追加利下げは避けられないでしょう。注目点は今回の会合からRBNZ総裁が交代することです。RBNZはオア前総裁が3月5日に任期を3年残して辞任することを突如として発表しました。ホークスビー副総裁が最大6カ月（+3カ月の延長あり）の任期で総裁代行を務めることになりましたが、当面の間はRBNZの政策先行きには不透明感が付きまとうことになりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は3月4日や11日の安値（91.80円台）を下抜けてしまいました。目先の下値目途は昨年8月5日安値の90.08円前後や心理的な節目となる90.00円前後となりそうです。一方上値は日足一目均衡表・転換線や同基準線が目先の目途となりそうです。この水準を上抜けても同雲がレジスタンスとして意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ：AUD/JPY：88.00-93.00、NZD/JPY：81.00-86.00
4/7週のイベント:
04/08 (火) 09:30 豪 4月ウエストパック消費者信頼感指数
04/08 (火) 10:30 豪 3月NAB企業景況感指数
04/09 (水) 11:00 NZ ニュージーランド準備銀行（RBNZ）政策金利
04/10 (木) 10:30 中国 3月消費者物価指数（CPI）
04/10 (木) 10:30 中国 3月生産者物価指数（PPI）
一言コメント：
今週末はF1の日本グランプリが開催されます。今年は、角田選手がトップチームの1つであるレッドブル・レーシングで参戦します。仮に角田選手が表彰台に登った（3位以内でゴール）場合は、1990年の鈴木亜久里選手以来となる鈴鹿での表彰台となるそうです。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員中村 勉（なかむら・つとむ）
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー（株）へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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