目次
動画配信期間:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
主要ポイント
日本時間の4月3日早朝、アメリカのトランプ大統領が「相互関税」を発表し、世界の市場に大きな衝撃を与えた
市場予想を大幅に上回る高い関税率が発表され、急激なリスクオフの展開となった
ナスダックが5.97%下落、S&P500が4.8%下落、NYダウも1679ドル安(約4%下落)と大幅な株安に
ドル円は一時150円まで上昇したが、その後145円近くまで下落(一日で約5円下落)するという激しい値動きを見せた
トランプ相互関税の詳細と影響
日本への影響:
日本は米国に約6兆円の自動車を輸出(部品は1.2兆円)している
25%の関税がかかると約1.8兆円の関税支払いが必要となる
直接的な支払いだけでなく、自動車産業全体への波及効果を考慮すると、GDPを約0.5%押し下げる可能性がある
全体として日本の対米輸出への関税支払いは5兆円を超える見込みで、日本経済全体に大きな圧力となる
関税率の算出根拠と問題点
米政権は「日本はアメリカに対して46%の関税をかけているから、その半分の24%の関税をかける」と主張している
この46%という数字は貿易赤字を輸入額で割った独自の計算方法で導き出されたもの
具体的には、米国の対日貿易赤字が685億ドル、日本からの輸入額は1482億ドルで、これを割ると約46%となる
この計算方法は経済学的に見て非常に粗雑であり、一般的な関税率の算出方法とは異なる
他国への影響と広がる懸念
韓国には25%の関税が課される予定
台湾からのチップ輸入に関税がかかる場合、データセンター建設などのハイテク産業に多大な影響が出る可能性がある
関税による価格上昇は様々な産業に波及し、グローバルサプライチェーンに大きな混乱をもたらす恐れがある
今後の経済見通し
アメリカ国内でのインフレ懸念が高まっている
スティーブ・ミラン氏のレポートによると、トランプ政権側は2018-19年の中国への関税時に起きたように、為替変動で相殺され価格転嫁がないためインフレにならないと予想している
しかし、元財務長官のローレンス・サマーズは「猛烈な供給ショック」「石油危機並み」と警告を発している
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンも「完全に狂っている」と批判するなど、経済専門家からの懸念の声が上がっている
政策決定プロセスと評価
トランプ政権の政策は「非常に粗雑な設計」であり、おそらくピーター・ナバロなどの側近が主導していると見られる
政権内でも経済に詳しい人物が発言力を持っておらず、適切な政策チェックが機能していない可能性がある
日本の政権・自民党・財務省も「こんなバカみたいな理屈でこういう関税をかけているのか」と驚いているのではないか
今後の市場見通しとトレードアイディア
アメリカは景気後退とインフレの同時発生(スタグフレーション)に陥る可能性が高まっている
株価はさらに下落の可能性があり、ナスダックやS&P500のチャートは悪い形になっている
日経平均、きょうは3万3千円台でスタートする見込みだが、昨年夏の3万1千円まで下落する可能性もある
以前なら株価下落時は「目をつぶって買い」と言えた場面でも、今回は関税による実体経済への打撃が大きく、単純な買い場とは言えない状況
ドル円は140円方向に向かう可能性が高く、昨年夏に起きたような急激な円高・ドル安が再現されるかもしれない
全体的にドル全面安の展開となっており、ユーロドルも大きく上昇している
結論
アメリカによる予想外に高い相互関税の発表は、世界経済と金融市場に大きな混乱をもたらしている。特に日本への影響は深刻で、GDP押し下げや大幅な関税支払いが予想される。アメリカではスタグフレーションのリスクが高まり、世界的な株安やドル安が進行する可能性が高い。今後は石破首相や植田日銀総裁を含む日本の経済政策決定者も対応に追われることになるだろう。投資家はリスク管理を徹底し、さらなる市場の混乱に備える必要がある。このような保護主義的な政策が長期化すれば、グローバル経済の成長鈍化につながる恐れもあり、注意深く状況を見守る必要がある。
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※本セミナーの内容は外為どっとコムが作成したものをAI音声読み上げソフトを使用してお伝えするものです。AI(人工知能)による相場見通しや売買方針などは一切行いませんのでご了承ください。

慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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