
本日の東京外国為替市場のドル円は、ニューヨーク株式市場や米10年債利回りの上昇を受けて底堅い展開が予想される。
注目されているIMM通貨先物の投機部門の円のネットの買い持ちポジションは、3月11日時点の過去最大の133902枚から、18日時点では122964枚まで減っていた。ドル円が19日に150.15円、昨日は150.76円まで上昇したことで、さらに減っていると思われるが、この後、ドル高・円安材料が出た場合は、手仕舞いの可能性には警戒しておきたい。
IMMシカゴ筋が、トランプ・トレードのドル買い・円売りから円の買い持ちに転じたのは2月4日(18768枚)で、ドル円は154円付近から155円台で推移していた。すなわち、シカゴ筋が円の買い持ちポジションを全て手仕舞った場合、155円程度までの上昇が見込まれることになる。
当時は、1月29日のベッセント米財務長官と加藤財務相の会談の後、加藤財務相は、為替に関する議論があったと認め、財務省幹部はこの会談で「日本は利上げをしており、やるべきことはやっていくと伝えた」と明かした。そして、ヘッジファンド業界では、日米貿易不均衡是正のための「第2プラザ合意」、「マールアラーゴ合意」への警戒感が高まっていた。その後、2月5日のベッセント米財務長官と植田日銀総裁の電話会談の後、ベッセント米財務長官は「他国が自国通貨を弱くすることは望まない。多くの国が対米貿易黒字を抱えるなか、金利抑制による通貨安がその一因となっている可能性がある」と述べていた。
8時50分に公表される1月23-24日開催の日銀金融政策決定会合議事では、不確実性が非常に高いトランプ政権の関税政策に関する協議に注目しておきたい。植田日銀総裁も、「ある程度規模や影響が見えてきたら政策運営に織り込む」と述べていた。そして、3月18-19日の日銀金融政策決定会合では、声明文に、米国の関税政策による各国の通商政策がリスク要因に追加されていたことで、ハト派材料視されていた。しかし、植田日銀総裁は「4月初めには通商政策の内容がある程度でてくる。次回の決定会合ないし展望リポートの中である程度消化できる」と述べて、「4月初め」や「次回会合(4/30-5/1)」という時間軸を示したことがタカ派的と受け止められている。
また、植田日銀総裁は「昨今のコメ価格上昇が、未だ2%には届かないとする基調的インフレを押し上げる遠因になり得る」と述べており、本日14時に発表される2月の「基調的なインフレ率を捕捉するための指標」にも注目しておきたい。
トランプ関税に関しては、4月2日に発動予定の相互関税は、ダーティー15と呼ばれる『不公正貿易国』に対して、標的型相互関税となる模様である。日本は、米国の7番目の貿易赤字国であるため、非関税障壁を理由に、高い税率が課せられる可能性に警戒しておきたい。また、4月2日に予定通り25%の自動車関税を発動するか不透明、あるいは、規模が縮小される可能性がある、とのことで、引き続き関連ヘッドラインには警戒しておきたい。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ