「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆：外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
X(Twitter) : https://twitter.com/gaitamesk_ueha
最新のマーケット情報まとめ
ドル円相場の動向と分析
ドル円相場が再び149円台へ上昇する展開となっている
上昇の要因として以下が挙げられる：
序盤は日経平均株価がプラス圏で推移していた
アメリカの長期金利が持ち直しの動きを見せていた
トランプ大統領が18日にロシア大統領と会談する予定と発言
ウクライナとロシアの交渉について明日何か発表する可能性があるとの発言があった
これらがウクライナ停戦への期待感を生み、円売りドル買いが強まった
テクニカル分析の詳細
先週は10日線（紫色のライン）に上値を抑えられる状況が続いていた
終値ベースで148円50銭をクリアしたことで反発しやすい形状になってきている
しかし、移動平均線3本が下向きであるため、基本的な流れとしては売り圧力が強い状況が続いている
20日線を突破する動きになってくれば、反発基調がさらに強まってくる可能性がある
4時間チャートでは安値を切り上げている一方で、149円付近で上値を抑えられている状態
これはアセンディングトライアングルを形成しており、149円から149円20銭が上値抵抗ゾーンとなっている
149円20銭をしっかり突破すれば、より上値を試しやすくなり、150円台も視野に入ってくる
さらに上昇すれば20日線も突破し、持ち直しの動きが強まる展開となる
上昇が続けば、戻り高値となっている151円30銭も注目ポイントとなる
151円30銭を上抜けると高値も切り上げとなり、下落基調（ダウ理論における高値と安値の切り下げ）が一旦解除される
下落リスクに関する注意点
20日線が上値抵抗となって、終値ベースで149円を突破できなかった場合は注意が必要
上ヒゲを伸ばして陰線が出てしまい、さらに10日線を下抜けした場合は再び下落リスクが高まる可能性がある
このシナリオでは下値を試す展開になる可能性があるため警戒が必要
今日の注目イベント詳細
21時半：アメリカの2月小売売上高発表が最大の注目ポイント
現在のアメリカ景気減速懸念の中で実態経済がどうなっているかを確認する重要なデータ
前回1月分はマイナスだったが、これは大寒波や山火事の影響と見られている
2月は回復するという見方が強い
予想以上に良い数字が出ればドル買いの後押しとなり、150円を視野に入れた展開になる可能性がある
この小売売上高の結果がFOMC（連邦公開市場委員会）でのドットチャート（政策金利見通し）に影響する可能性も考えられる
FOMCと金利見通し
現状のフェデラルファンド金利先物市場では、年内3回の利下げが予想されている（約50%の確率）
残りは2回の利下げというシナリオ（約50%の確率）
今日の小売売上高データは、2回か3回かの見極めにも影響を与える可能性がある
その他の市場要因
米国株式市場の動向も重要なファクター
先週は米株が軟調な推移が続き、これがリスク回避の動きからドル円の上値を重くしていた
ウクライナ情勢に関するトランプ大統領の発言により、リスク選好が回復する可能性がある
関税関連の動向も継続的に注目
4月2日に相互関税と分野別の関税を付加するという発言があった
鉄鋼とアルミ関税の免除は現在考えていないとの発言もあり
関税関連のニュースにより相場が振り回される可能性がある
結論
ドル円相場は149円台へ上昇し、チャート上ではアセンディングトライアングルを形成している状態である。149円20銭の突破が上値への重要なポイントとなり、突破すれば150円台を視野に入れた展開になる可能性が高い。さらに上昇すれば151円30銭まで視野に入り、これを突破すれば下落基調が終わったと見れる。一方で、終値ベースで149円を突破できず10日線を下抜けした場合は下落リスクが再び高まる。今日の米小売売上高データが相場の方向性を決める重要なファクターとなるため、21時半の発表に注目する必要がある。
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外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員宇栄原 宗平（うえはら・しゅうへい）
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月（株）外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか！』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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