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【見通し】東京為替見通し=円買いトレンド継続、本邦CPIと植田日銀総裁の予算委出席に注目

昨日の海外市場でドル円は一時149.40円と昨年12月6日以来約2カ月半ぶりの安値を更新した。ベッセント米財務長官が米長期債の発行増について「まだ遠い先のことだ」と言明すると、米国債相場が上昇(金利は低下)したことが影響した。2月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数や前週分の米新規失業保険申請件数、1月米景気先行指標総合指数が軒並み予想より弱い内容だったことも米長期金利の低下とドル売りを促した。ユーロドルは前日の高値1.0461ドルを上抜けて一時1.0504ドルまで値を上げた。

 本日の東京時間でドル円は引き続き上値が重いことが予想されるなか、全国1月消費者物価指数(CPI)の結果を見定めることになるだろう。

 日銀の早期利上げ期待が高まっていることで円買い意欲が強い。多少のアップダウンはあるものの、ここ最近の本邦長期金利は上昇傾向にある。こういった状況のもと、本日発表される1月CPIの結果で、更に円高に傾くのかに注目が集まる。市場予想では生鮮食料品を除くコア指数は12月3.0%増から3.1%増、更にエネルギーを除くコアコア指数は2.4%増から2.5%増へ加速する見込み。予想を上回れば円が急伸するだろうが、たとえ予想通りの結果、また多少弱い結果となった場合でも、「2%の物価安定」が達成されていることを確認できれば、本邦長期金利が急に低下することも考え難く、円買い意欲は変わらないか。
 
 全国CPI発表後、植田日銀総裁が衆院予算委員会に出席する予定。午前10時15分から、立憲民主党の階猛委員、米山隆一委員、藤岡たかお委員の質問に答えることになっている。前回の予算委員会ではありきたりな質問内容で相場は動意づかなかった。ただ今回は長期金利が上昇幅を広げ、円高が進行中なこともあり、質問や返答内容次第では市場が急変するリスクには警戒をしておきたい。

 円買い要因は、米金利低下と円金利上昇という面以外でも、ここ最近は避難通貨的な面もある。今週行われた米露高官会議後にトランプ米大統領がプーチン露大統領に同調する姿勢を示し、欧州の地政学リスクが高まった。昨日は、ユーロは対ドルでは買われたものの、ここ最近のユーロは対円や対豪ドルなどでは弱含んでいる。

 引き続きロシアとウクライナ情勢に市場の大きな関心が集まっているだけではなく、今週末23日に実施されるドイツ議会選挙も材料視されるだろう。欧州政治が更に混迷を深めるリスクで、円や豪ドルなどの通貨が神経質に取引されそうだ。

 本日は本邦CPI以外にはオセアニア・アジア圏からは市場の動意を付けるような経済指標の発表は予定されていない。ただし豪州では、ブロック豪準備銀行(RBA)総裁をはじめ、ハウザーRBA副総裁、経済動向を担当しているハンターRBA総裁補佐、金融市場担当のケントRBA総裁補佐、金融システム担当のジョーンズRBA総裁補佐が揃って議会で証言する予定。RBAは今週に2022年以来の利下げを決定したこともあり、議員からの厳しい質問が予想されている。なお、労働党関係者は3月25日に予定されている予算発表を行わず、早ければ4月5日や12日に総選挙が行われると予想していることも明らかにしている。

(松井)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

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