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外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
動画の内容 抜粋・まとめ
◆注目の米雇用統計
1月10日22:30発表の米雇用統計について、今回市場で特に注目される失業率については、4.3%という数字が出た場合、一時的なドル売り要因となる可能性があるため、市場参加者は注意が必要とされています。
非農業部門雇用者数の変化については、市場予想は16万人増と比較的控えめな水準となっています。主要投資銀行も慎重な予想を示しており、この予想を下回る結果となった場合、一時的にドル売りの動きが出る可能性があります。
しかしながら、最近のアメリカの経済指標は全体的に強い傾向を示しています。そのため、仮に米雇用統計の発表直後にドル売りが出た場合でも、それはドル買いの好機となる可能性が高いと分析されています。
このように、短期的には米雇用統計の結果によって為替市場が上下する可能性がありますが、より長期的な視点では、アメリカ経済の底堅さを背景としたドルの下支え要因が存在していることに留意する必要があります。
◆気になる長期金利の上昇…今後のポイントは
世界の金融市場において、現在最も注目すべき動向は長期金利の上昇です。特にイギリスでは、30年債の金利が急上昇し、2年前のトラス政権時のショックを超える水準に達しています。この状況は、1980年代以降続いてきた長期金利の下降トレンドが、ウクライナ戦争とパンデミック後のインフレを契機に、大きく転換したことを示しています。
現在の金利水準は、2008年のリーマンショック前の水準に匹敵し、イギリスの場合、4〜6パーセント程度で推移しています。特に懸念されるのは、30年債の金利が2000年代の水準を大きく上回っていることです。この状況下で、スターマー政権は財政支出の抑制を余儀なくされる可能性が高まっています。
さらに注目すべきは、アメリカの長期金利動向です。10年債の金利が5パーセントを超え、さらなる上昇が予想されています。この背景には、トランプ政権への復帰、またその政策に懸念があります。財政拡張的でインフレ的な政策への警戒感が世界的な金利上昇を引き起こしています。
市場への影響として、イギリスではポンドが売られる一方、アメリカでは当初ドル高が予想されます。これにより、ユーロやポンド、円に対してドル高が進む可能性がありますが、金利が一定水準(5.5〜6%程度)に達した段階で、一転してドル売りに転じる可能性があります。
結論として、2025年の最大のリスク要因は、ウクライナ情勢と並んで長期金利の上昇にあります。特に1月20日発足のトランプ新政権の政策動向が、市場に大きな影響を与える可能性が高く、当面は積極的なリスクテイクを控え、様子見の姿勢が賢明と考えられます。足元の雇用統計についても、市場予想を上回る可能性があり、一時的なドル高の要因となる可能性があることに注意が必要です。
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外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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