トランプ発言、円高になりえる内容も…整合性のない発言の真意はどこに【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2025/1/9
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
動画要約・まとめ
【2025年1月9日 FXマーケット展望】
トランプ政権2.0と金融政策の行方:ドル円相場の分岐点
■金融政策環境の変化
1. FOMCの最新動向
- 前回0.25%の利下げ実施
- パウエル議長が「金利は中立水準に近づいている」と発言
- 12月の利下げは「ギリギリの判断」だったことを示唆
- 2025年の利下げ予想は2回程度(3ヶ月前の予想から半減)
2. 金利見通しの変化
- 利下げ回数の予想が減少傾向
- 場合によっては利下げ見送りの可能性も
- この環境下では基本的にドル高基調が継続する可能性
■トランプ政権2.0による不確実性
1. 1月20日の就任を控えた主な発言
- 中国、カナダ、メキシコへの関税検討
- 全般的な関税強化の準備報道
- その他の極端な政策提案(グリーンランド購入、パナマ運河など)
2. 関税政策の複雑な影響
- インフレ加速効果→利下げ見送り→ドル高要因
- 経済縮小リスク→リスクオフ→円高要因
- 貿易不均衡改善策→円高要因
- ドル安政策の可能性も
3. 政策の不確実性
- 発言の整合性の欠如
- 交渉材料としてのブラフの可能性
- 真意の見極めが困難
■明日の米雇用統計
1. 注目ポイント
- 失業率予想:4.2%
- 平均時給:前月比+0.3%
- 非農業部門就業者数:+16万人
2. 市場への影響
- 予想を上回れば:ドル高
- 予想を下回れば:ドル安
- ただし、以前より金融政策への影響度は低下
■今後の相場展望
短期的には:
- ドル円を中心としたドル高基調は継続の可能性
- トランプ政権の政策不確実性に要注意
- 慎重な取引姿勢が求められる
中期的な注目点:
1. トランプ政権の実際の政策実行度
2. 関税政策の具体的な内容と影響
3. FRBの金融政策スタンスの変化
■結論
現状、金融政策面からはドル高基調が続く環境にありますが、トランプ政権の政策による不確実性が極めて高く、予期せぬ相場変動のリスクが高まっています。特に関税政策は、インフレ、経済成長、貿易バランスなど、様々な経路を通じて為替相場に影響を与える可能性があり、その効果は相反する場合もあります。
このような環境下では、ポジション管理を慎重に行い、トランプ政権の動向を注視しながら、機動的な対応が求められる展開となりそうです。
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今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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