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ユーロ/円の12月見通し「トランプ次期米政権はユーロの逆風」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 11月の推移
・11月の各市場
・11月のユーロ/円ポジション動向
・12月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 12月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 11月の推移

11月のユーロ/円相場は158.037~166.111円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約4.3%下落した(ユーロ安・円高)。5日の米国の大統領選で、法人・所得減税や関税強化などインフレ再燃につながる政策を掲げる共和党のトランプ氏が勝利。ドル/円が上昇した一方でユーロ/ドルが下落したため当初は方向感を欠いたが、その後はユーロ安主導で下落した。そもそも域内景気の足取りが重い上に、政治の面でも不安要素が目立った。ドイツの政局が不透明化しただけでなく、フランスでも予算案を巡り与野党が対立。内閣不信任案の提出が避けられない事態となっている。さらには、トランプ次期米大統領の関税強化が域内景気にさらなる打撃を与えるとの観測、あるいはロシアとウクライナの戦争がエスカレートするとの懸念、などユーロは売り材料に事欠かなかった。22日に発表された独・ユーロ圏11月サービス業購買担当者景気指数(PMI)が下振れするとユーロ/ドルが2年ぶりの安値を付けたのにつれてユーロ/円は一時160円台を割り込んだ。その後、下旬にかけては持ち高調整が入り、ユーロ/ドルはやや持ち直したが、日銀の利上げ観測などを背景に円が全面高となったためユーロ/円は下げが継続。29日には158.04円前後まで下値を広げ、9月19日以来の安値を付けた。

始値 高値 安値 終値
165.413 166.111 158.037 158.312


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

6日
5日に行われた米大統領選の開票が進む中、激戦州の多くで共和党のトランプ候補が優勢となり、米長期金利ととともにドルが上昇。その後、トランプ氏は「米国がかつて見たことのない政治的勝利だ。米国の全てを直していくつもりだ。米国を再び偉大な国にする」と勝利宣言を行った。ホワイトハウスに加え上下院ともに共和党が支配する「トリプル・レッド」の可能性が高まる中でその後もドルが高止まりしたことから、ユーロ/ドルが軟調に推移。一方でドル/円が上昇したためユーロ/円は売買が交錯した。なお、この日ドイツのショルツ首相は、経済・財政政策を巡り意見が対立していた自由民主党(FDP)出身のクリスティアン・リントナー財務相の罷免を大統領に要請したと発表した。

7日
独9月鉱工業生産は前月比-2.5%と、市場予想(-1.0%)を下回る落ち込みとなった。同貿易収支(季節調整済)は170億ユーロの黒字だった(予想209億ユーロの黒字)。

12日
独11月ZEW景気期待指数は7.4と市場予想(13.2)に反して前月(13.1)から低下。欧州経済センター(ZEW)は、「ドイツに対する経済的な期待は米大統領選の結果とドイツの連立政権崩壊の影響を受けている」と指摘した。なお、この日ドイツのシュタインマイヤー大統領は、連立政権崩壊による解散総選挙を来年2月23日に実施することを承認した。今年12月16日に連邦議会(下院)でショルツ首相の信任投票を実施するが、不信任となる見通し。

14日
ユーロ圏9月鉱工業生産は前月比-2.0%と大幅な落ち込みとなり、市場予想(-1.4%)を下回った。同時に発表されたユーロ圏7-9月期域内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.4%で速報値からの修正はなかった。

18日
ドイツ連銀のナーゲル総裁は「貿易摩擦はインフレ圧力の上昇につながる可能性がある」とトランプ次期米大統領の保護主義回帰への警戒を示した。その後、欧州中銀(ECB)のデギンドス副総裁も「貿易摩擦はさらに激化し、テールイベントのリスクが高まる可能性がある」と語った。

19日
ロシアのプーチン大統領が「核ドクトリン」の改定を承認し、核兵器の使用基準を緩和したことが伝わると、リスク回避の円買いが強まった。ロシアの決定は、米国がウクライナに対しロシア領内への長距離ミサイル攻撃を限定的ながらも許可したことへの対抗措置。なお、ウクライナはこの日、米国から供与された長距離地対地ミサイル「ATACMS」を使用し、ロシア西部の兵器庫を攻撃した。

21日
ウクライナ軍はロシアが大陸間弾道ミサイル(ICBM)を領内に向けて発射したと発表。ウクライナが米国製と英国製の長距離ミサイルでロシアを攻撃したことに対する報復と見られる。一方、米CNNなど複数の主要メディアは、発射されたのは核弾頭の搭載が可能なICBMではないとの西側当局者の話を発表するなど情報が錯綜。その後、ロシア側は新型の中距離弾道ミサイルを使用したと明らかにし、ICBMを発射したというウクライナの発表を事実上否定した。

22日
独11月PMI・速報値は製造業が43.2と市場予想および前月(43.0)を僅かに上回った一方、サービス業は49.4と分岐点である50.0を9カ月ぶりに割り込んだ。市場予想は51.7で、前月(51.6)から小幅に上昇すると見られていただけに、失望のユーロ売りが強まった。その後に発表されたユーロ圏11月製造業PMI・速報値は45.2(予想46.0)、同サービス業PMI・速報値は49.2(予想51.6)といずれも冴えない結果となった。

25日
独11月IFO企業景況感は85.7と前回(86.5)から低下し、市場予想(86.0)も下回った。IFO経済研究所は「ドイツ経済は低迷している。企業は今後数カ月について再びやや懐疑的になっている」との見解を示した。

28日
独11月消費者物価指数(CPI)・速報値は欧州連合(EU)基準で前年比+2.4%と市場予想(+2.6%)を下回り、伸び率は10月から横ばいだった。

11月の各市場

11月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

12月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 12月の見通し

 来年1月20日に発足する米国のトランプ政権はユーロの逆風になるとの見方が強い。トランプ政権は関税の強化などで保護主義的な通商政策を採る公算が大きく、経済に占める輸出の比率が高いドイツにとっては特に影響が小さくないと見られる。またトランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)の目的と使命を根本から見直すと宣言。追加的なウクライナ支援はしない意向を打ち出すとともに、米国がウクライナへ供与した武器弾薬の費用約2000億ドルの返還を欧州に求めるとの考えを示している。実現性はともかく、こうしたトランプ氏の主張は明らかにユーロにとって逆風だ。加えて、ユーロ圏11月購買担当者景気指数(PMI、総合)が10カ月ぶりの水準に低下するなど、域内景気の足取りが鈍い点なども踏まえるとユーロは12月も軟調推移が見込まれる。12月12日の欧州中銀(ECB)理事会については、50bp(0.50%ポイント)の利下げが一部に織り込まれていることから、利下げ幅が大方の予想通りに25bpにとどまればユーロが反発する可能性もあろう。ただ、市場は来年1月、3月、4月と少なくとも年前半はECBが連続で利下げを行うと見ており、こうした見方を覆す手掛かりがラガルド総裁から出ない限り、仮にユーロが反発しても一時的な動きにとどまりそうだ。12月はユーロ/円もユーロ/ドルの下落につれて弱含む展開を予想するが、円も相応に弱いと見られることからユーロ/ドルほどには下落しないのではないだろうか。
(予想レンジ:154.000~162.500円)

お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信

外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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