<第186回>2024年11月30日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2024年11月22日(金)13:00~2024年11月26日(火)24:00
調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は570件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が49.5%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は23.7%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は△25.8%ポイントと前月の△30.7%ポイントからプラス幅がやや縮小した。
調査期間前後の米ドル/円相場は、一時153円台を割り込んで下落。米国のトランプ次期大統領が26日、中国やカナダ、メキシコへの関税引き上げについて言及したことから世界的な貿易摩擦への警戒感が広がり152.90円台まで下落した。もっとも、多くの個人投資家はそうした動きを米感謝祭前の持ち高調整と見ている模様で、米ドル高・円安の見通しを修正するには至らなかったようだ。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が161.20円、最安値が140.00円となり、高値の平均値は157.21円、安値の平均値は150.67円であった。高値の中央値は157.00円、安値の中央値は152.00円だった。実勢レートが前回調査時(最終日)から2.0円程度切り下がったのに対して高値・安値の予想中央値は5~6円程度、米ドル高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、28.1%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は36.1%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は▼8.0%ポイントとなり、前月の▼3.3%ポイントからマイナス幅がやや拡大した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、一時160円を割り込む展開。欧州経済失速への懸念などから12月欧州中銀(ECB)理事会での50bp(0.50%ポイント)利下げ観測が浮上。また、ウクライナ情勢の深刻化などもユーロの重しとなった。そうした中、個人投資家の間では円高・ユーロ安予想が引き続き優勢だった。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が170.00円、最安値が150.00円となり、高値の平均値は165.24円、安値の平均値は158.97円であった。高値の中央値は165.00円、安値の中央値は159.94円であった。前月調査時(最終日)から実勢レートが3円程度切り下がったのに対して、高値・安値の予想中央値は1~2円程度、ユーロ高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、28.9%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は23.7%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△5.2%ポイントとなり、前月の△18.4%ポイントからプラス幅が縮小した。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、99円台へ下落した。トランプ次期米大統領が中国からの輸入品に追加関税を課すとSNSで表明したことで米中貿易摩擦への警戒感が高まった。中国と交易関係の深い豪州にも影響が及ぶ可能性があるとして豪ドル売りで反応。こうしたことから豪ドル高・円安と見る向きが減少したものと思われる。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が110.00円、最安値が90.00円となり、高値の平均値は102.53円、安値の平均値は98.37円であった。高値の中央値は102.00円、安値の中央値は99.00円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートは2円程度切り下がったのに対して、安値の予想中央値が1円程度、豪ドル高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、29.6%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は30.4%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は▼0.8%ポイントとなり、前月の△10.2%ポイントから弱気を示すマイナスに転じた。
調査期間前後のポンド/円相場は、194円台から190円台へ4円程度下落した。米国のトランプ次期大統領が中国・メキシコ・カナダに関税を課す方針を示したことから世界的な貿易摩擦を巡る懸念が高まったほか、ウクライナ情勢が悪化する中で欧州経済の先行きに不透明感が広がった。そうした中で、英ポンド弱気・円強気の見通しに傾く個人投資家が増えたと考えられる。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が205.00円、最安値が180.00円となり、高値の平均値は198.25円、安値の平均値は191.28円であった。高値の中央値は199.00円、安値の中央値は192.00円だった。前月調査(最終日)から実勢レートが4円程度切り下がったのに対して高値・安値の予想中央値は前回から2円程度、英ポンド高・円安方向へシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が54.6%で最も多かった。次いで「円」が23.5%、以下「トルコリラ(8.8%)」、「豪ドル(3.2%)」、「メキシコペソ(2.6%)」、「ユーロ(1.8%)」、「英ポンド(1.4%)」と続いた。
「米ドル」は2カ月連続で首位。回答割合は前回の50.6%から小幅に上昇した。他方、2位の「円」は前回の23.4%からほぼ横ばいであった。個人投資家の米ドル選好の姿勢に変化は見られない。
なお、自由記述形式で「米ドル」と答えた理由を尋ねたところ、「米大統領選でトランプ氏が勝利したから」、「トランプ氏の政策によりインフレが再燃」、「トランプトレードで米金利が上昇する」など、トランプ次期大統領に言及する向きが圧倒的に多かった。言い方は異なるが「トランプバブル」、「トランプラリー」、「トランプ大統領への期待」などの声も米ドル高見通しの理由として挙がっていた。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
問5とは反対に、今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が38.2%と最も多かった。次いで「ユーロ」が20.7%、さらに「米ドル(20.0%)」、「メキシコペソ(6.5%)」、「中国人民元(5.1%)」、「トルコリラ(3.0%)」、「英ポンド(2.8%)」、と続いた。
「円」は首位を維持したが、前回2位だった「米ドル」が3位へ順位を下げた。代わって2位に浮上したのが「ユーロ」で、回答割合も前回の12.4%から上昇した。
「ユーロ」と回答した理由を自由記述形式で尋ねたところ、「ウクライナ戦争のリスクが拡大」、「ウクライナ情勢の悪化」、「トランプ米政権によるウクライナ情勢の不安定化」など、ウクライナとロシアの戦争を念頭に地政学リスクを挙げる声が多かった。また、「ドイツやフランスなどの景気悪化」や「ECBの利下げ」などを理由に挙げる向きも少なくなかった。
問7:12月末のドル/円相場の水準をどう予想しますか
今回の特別質問として「12月末のドル/円相場の水準をどう予想しますか。次のうちから選んでお答えください」と尋ねたところ、「157~159円台」が33.2%で最も多かった。次いで「154~156円台」が27.4%、「151~153円台」が15.4%、「150円台以下」が14.0%、「160円以上」が10.0%の順になった。
米ドル/円相場は一昨年、昨年と2年続けて11月後半から12月末にかけて下落しているが、今年については上昇するとの予想が優勢だ。なお、調査期間中の米ドル/円相場は概ね153~154円台で推移していた。ただし、調査期間終了直後から急速に米ドル安・円高が進み、11月27日には150円台半ばまで下落する場面もあった。個人投資家の予想に反して3年連続で年末にかけて米ドル安・円高が進むことになるのか、今後の動きが注目されよう。
問8:今回のドル高局面で政府と日銀がドル売り・円買い介入を行うとしたら、どの水準で実施すると考えますか
今回のもう一つの特別質問として「今回のドル高局面で政府と日銀がドル売り・円買い介入を行うとしたら、どの水準で実施すると考えますか。(ひとつだけ) 」と尋ねたところ、「1ドル=160円台」と答えた割合が33.2%と最も多かった。次いで「介入は実施しない」が15.4%、以下「1ドル=163円台(11.8%)」、「1ドル=159円台(11.6%)」、「1ドル161円台(10.4%)」、「1ドル=162円台(9.3%)」、「1ドル158円台以下(8.4%)」と続いた。
個人投資家が本格的に介入警戒姿勢を強めるのは、心理的な節目でもある1ドル=160円を超えてからであることが示唆された。なお、2024年の当局によるドル売り・円買い介入は4~5月と7月に行われ、それぞれ160円台と161円台で開始された。個人投資家もこの水準を介入警戒水準として意識しているものと思われる。
問9:仮にドル売り・円買い介入が実施された場合、次のうちどの取引が最も有効と考えますか
さらに続けて「仮にドル売り・円買い介入が実施された場合、次のうちどの取引が最も有効と考えますか。(ひとつだけ)」と尋ねたところ、「落ち着いたのを確認してからドル買い・円売り」が30.4%、「介入に追随してドル売り・円買い」が26.7%、「当分の間は取引しない」が22.5%と回答が分かれた。なお、「落ち着いたのを確認してからドル売り・円買い」は11.2%、「介入に逆張りしてドル買い・円売り」は9.3%だった。
その理由を自由記述形式でたずねたところ、最も多かった「落ち着いたのを確認してからドル買い・円売り」とした向きからは「トランプ次期大統領の影響でドル高なので押し目になる」、「介入でトレンドは変えられない」などの回答があった。次に多かった「介入に追随してドル売り・円買い」とした向きからは「(これまでの経緯から)5円程度落ちると思われるので追随したい」との声や「最初は介入に追随、止まればドル買い」との声が出ていた。3番目に多かった「当分の間は取引しない」とした向きからは「値動きが激しくなりすぎて手が出せない」などの声が挙がった。それぞれの取引スタイルによって、為替介入への対応も異なるということだろう。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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