21日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「ロシアが大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した」との報道を受けて153.91円まで下落後、米長期金利の上昇により154.70円付近まで下値を切り上げた。ユーロドルはロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの懸念からユーロ売り・ドル買いが優勢となり1.0462ドルまで下落した。ユーロ円は161.75円まで下落した後、162.20円付近まで戻した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日本の10月のコア消費者物価指数(CPI)を見極めた後は、ウクライナ情勢を巡る関連ヘッドラインに警戒することになる。
植田日銀総裁は、昨日の「パリ・ユーロプラスファイナンシャル・フォーラム2024」での講演で、12月18-19日の日銀金融政策決定会合に関して、「現時点で会合の結果を予測するのは不可能だ」と述べた。そして、12月会合に向けて「まだ1カ月程度ある。それまでの期間に非常に多くのデータや情報が利用可能となるだろう」と述べており、本日は日本の10月のコアCPIを見極めることになる。
また、植田総裁は、「12月会合で利上げの是非を巡り活発な議論が行われるであろう。為替変動の要因も含め、経済・インフレ見通しを策定する際には為替レートの変動も考慮する」とも述べており、7月会合のような円安抑制のための追加利上げの可能性を示唆したのかもしれない。
8時30分に発表される10月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)は、前年比+2.2%と予想されており、9月の同比+2.4%からの伸び率鈍化が見込まれている。政府による電気・ガス代補助の再開によって、エネルギーの上昇幅が縮むことが背景にある。
石破政権は、総合経済対策において、10月使用分で終了する補助金を来年1月の使用分から再開させて3月まで実施することを示唆しており、当分の間は、日本のインフレ率は鈍化傾向が見込まれている。
植田総裁は、先日「経済・物価が足元で見通し通りに進捗して見通しが実現する確度がある程度高まるという自信が得られれば次のステップに移る」と述べていた。政府による補助金でインフレ率が抑えられている状況で、12月会合での追加利上げ、あるいは据え置きの判断を見極めていくことになる。
ウクライナ情勢に関しては、ウクライナ軍は19日に米国製地対地ミサイル「ATACMS」でロシア領を攻撃し(※下値153.29円)、20日には英国製長距離ミサイル「ストームシャドー」でロシア領内の軍事施設を攻撃した(※下値155.06円)。そして、昨日は、ロシアが初めて大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した(※下値153.91円)、と報じられている。
11月20日はバイデン米大統領の82歳の誕生日だったが、ウクライナにロシアへの長距離ミサイルでの攻撃を容認したことに対するプーチン露大統領からの誕生日プレゼントだったのかもしれない。プーチン露大統領は、21日に国営テレビで放送された国民向けの演説で、「ロシア・ウクライナ戦争は世界規模の紛争にエスカレートしつつある。ロシアは反撃する可能性がある」と警告した。
ウクライナとロシアは、「安全保障のジレンマ」という負のスパイラルに陥りつつあり、ロシアがウクライナ軍に対する限定的な戦術核の使用に踏み切る可能性に警戒しておくべきかもしれない。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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