このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
X(Twitter): https://twitter.com/KandaTakuya
ムーディーズ、格付け見通し引き下げ
大手格付け会社ムーディーズは14日、メキシコの信用格付け見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。同社はメキシコ議会が9月に可決した司法改革法案を巡る懸念を引き下げの理由に挙げた上で、2024年の債務負担能力の悪化および財政赤字の拡大を背景に、財政再建は厳しい状況にあるとの見解を示した。
トランプトレードの反動でペソ堅調も不安定な値動き継続
メキシコペソはムーディーズの発表を受けて売られる場面もあったが、これより前に発表されたメキシコ中銀の利下げを受けたアク抜け感による買い戻しを押し返すほどの影響はなかった。米国の次期大統領であるトランプ氏の経済政策を見越した米債売り・ドル買い・仮想通貨買いなどのトランプトレードに一服感が出たこともペソの持ち直しを後押しした。トランプ氏の関税や移民を巡る政策はメキシコにとって逆風との見方が強く、大統領選後には約2年3カ月ぶりの水準へドル高・ペソ安が進んでいたことから、その反動が出やすかったと考えられる。
なお、翌15日にはメキシコ政府が2025年予算案で財政赤字を対国内総生産(GDP)比3.9%に縮小させる方針を表明。信頼性は乏しいとの見方も出ていたが、この日もペソは対ドルで堅調に推移した。ただ、対円ではドル/円がトランプトレードの巻き戻しで大きく反落したため軟調だった。ペソは当面、米国のトランプ次期大統領を巡る思惑で不安定な値動きが続きそうだ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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