執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年11月15日 14時30分
株価下落によるリスク回避を警戒
ユーロ/円、ポンド/円は米ドル中心で方向性見極めづらい
ユーロ/円、ポンド/円はレンジプレイ。米ドル高の流れに、ユーロやポンドの上値が抑制された一方で、米ドル/円が底堅く推移したことに挟まれて、クロス円は明確な方向性が出ませんでした。ユーロ/円は163.236円から165.031円、ポンド/円は196.648円から198.456円と限られたレンジでの振幅が続きました。ちなみに、ユーロ/米ドルは13カ月ぶりの安値水準となる1.0497米ドルまで下げました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、共和党完全勝利のRed Sweep「I Love Trump Trade」(2024年11月14日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロの下目線継続
ドイツでは、来年2月の総選挙の見通しが立ち政治的な不透明感は一つ減りました。しかしながら、過半数の議席を獲得する政党は現れないと見られ、選挙後の連立政権樹立に向けた不透明感は残ったままです。また、米国のトランプ次期政権による高圧的な外交・通商政策への警戒心もあり、ユーロに対する目線は下向きが優勢になっています。下落スピードの調整によるユーロ買い戻しはあっても、積極的に買い進める状況にはないように感じられます。かたやポンドも米ドル高が重石となる可能性はあるものの、12月金融政策委員会での利下げ見送り観測がポンドの下値を支えそうです。
もっとも、トランプ政権への不透明感が金融市場のリスク回避ムードを徐々に高めつつある中で、ユーロ/円やポンド/円はやや下方向への警戒は怠れない時間帯が続く可能性はあります。
ポンド200円付近が抵抗帯、トリプルトップも(テクニカル分析)
ユーロ/円は、11月8日に200日移動平均線を割り込み163.204円まで下げた後は、徐々に下値を切り上げ、200日線付近へ持ち直しています。目先は、このラインを越えられるかどうかがポイントになりそうです。ただ、日足一目均衡表の転換線・基準線は横ばいとなっていますので、上にも下にも値幅を広げづらい状況のように感じます。直近のレンジでの振幅が続くのではないでしょうか。
また、ポンド/円は21日線が支持線となって底堅さは感じられますが、200.00円手前で二度頭を抑えられており、同レジスタンスの強さが意識されます。三度、200.00円で上値が抑えられるようなら、トリプルトップのチャート形状が想起されるため、目線を下向きに変えて売りを検討したいと考えます。逆に200.00円を簡単に超えるなら、追っかけて買いに回るイメージでいます。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:162.500-167.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:194.000-201.000
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一言コメント
米連邦航空局がハイチ便の運航を30日間禁止することを決定しました。『ハイチ』と音だけを聞けば、南国ムードあふれるトロピカルな感じがするものの、調べて見るとギャングが首都の8割を制圧して、国はほぼ無政府状態とのことで、公務員になる人はほとんどおらず、有望な就職先はギャングとのことです。
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