執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年11月15日 13時20分
トランプ取引に狂い生じる?短期調整警戒も
米ドル/円、156円台へ上伸
米国の大統領府と上下両院を共和党が主導権を握る「トリプルレッド」の状況になるとの見方が高まったことで、次期政権下でのインフレ上昇期待をベースにして、米ドル/円は155.242円まで買いが先行しました。その後、落ち着いた内容となった米消費者物価指数(CPI)を受けて調整売りが強まる場面はあったものの、押し目を拾う動きも相応に強く、パウエルFRB議長の「堅調な米景気を踏まえれば、利下げを急ぐ必要はない」との見解もあって、米ドル/円は156.746円まで上昇幅を広げました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、共和党完全勝利のRed Sweep「I Love Trump Trade」(2024年11月14日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
日銀会合へ視線移行か
日本サイドでは10月の全国CPIが発表されます。日銀の年内追加利上げ期待が燻る中で、日銀のタカ派姿勢を後押しする内容となるのか着目されます。13日に発表された企業物価は、コメの価格高騰などから前年同月比+3.4%とインフレ加速が示唆されていますので、CPIへの警戒は必要でしょう。また、21日の植田総裁が12月会合に向け手掛かりを出すのかが着目されます。
これらを通じて12月会合に向けた方向性を見極めることになりますが、「春闘」や「103万円の壁」の議論を確認したいとの思いもあり、恐らく日銀内でも意見集約には時間がかかりそうで、利上げ議論が盛り上がるかは判断が難しいところです。日銀への判断がつきづらい中で、トランプ氏の政策期待やFRBの利下げペース減速期待から、米ドル/円の底堅い展開を基本に据えています。
しかしながら、想定していた「株高・金利高・ドル高」のトランプトレードから、市場の動きが乖離し始めている点は気になります。このまま、通商政策を警戒して株式市場の調整圧力が強まれば、米ドル/円の上値を抑制する展開も考えられます。感謝祭前のポジション調整の動きも加われば、短期的に想定以上に米ドル/円の下値が広がる危険もあるのではないかとも、考えています。
158円到達なら売り目線に(テクニカル分析)
米ドル/円は、期間21日のボリンジャーバンドでのバンドウォーク中で、底堅さが感じられる格好になっています。しかし、5月29日高値157.709円を下回り、9月にかけ139.576円まで下げた経緯を踏まえると、158円付近が短期的な高値として意識される可能性はありそうです。このレベルを超えても、160円は相応なレジスタンスになりそうで、158円付近からは短期で売り目線に変えたいと考えています。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:152.500-158.500
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