トランプ・トレードが継続するなか、ドル円は一時7月下旬以来の155円台を回復した。トランプ次期米大統領が経済政策の柱に掲げる「減税や関税引き上げ」は成長加速だけでなく、インフレ率上昇や財政赤字拡大にもつながるとの見方が強く、米長期金利の上昇に伴ったドル高が進行。米債券市場ではトランプ氏が掲げる政策によってインフレが再燃し、米金利が高止まりするとして、さらなる相場下落を見越す動きとなっている。
12月17-18日に今年最後の米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えるなか、市場は本日の10月米消費者物価指数(CPI)に注目が集まっている。最近のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、12月FOMCでの0.25%利下げ確率は5割超にとどまり、据え置き確率は4割超まで拡大。利下げと据え置きに見方が分かれており、CPIの結果はこの見方の変化につながる可能性がある。米CPIは前年比で9月まで7カ月連続で伸びが鈍化したが、市場の10月CPIの予想は+2.6%と9月の+2.4%から伸びの上昇が見込まれている。本日の結果がトランプトレードで上昇基調を強めている米金利を後押しするか、それとも米金利の上昇に一服感を強めるかに注目。
米CPIが米金利上昇・ドル高を後押しする結果となり、ドル円の上方向への動きが加速すると、日銀が12月会合で利上げに踏み切るとの観測が強まる可能性がある。日銀はさらなる円安進行を抑制したいモチベーションではあるものの、足もとでは円安が進む一方、日本株の伸び悩みが問題視されるかもしれない。金融市場や実体経済に混乱を発生させないことも配慮しないといけず、日銀は難しい選択に迫れそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円、7月24日の高値155.99円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、日足一目均衡表・転換線153.27円が下値めど。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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