個人投資家として活躍するひろぴー氏が、独自の最新マーケット分析を毎週公開します。現在のFXマーケットを取り巻く情報の整理をする際、また短期間の FXトレード戦略を考える際に、お役立てください。
作成日時:2024年11月13日14時
執筆:CXRエンジニアリング株式会社 代表取締役 ひろぴー
米大統領選挙で隠れていた材料ですが、ドイツで政局が安定しません。
11月6日、ショルツ首相は、連立与党である自由民主党(FDP)のリントナー財務相を解任しました。完全に仲間割れでしょう。
ドイツは3党で連立を組んで与党となっておりましたが、これにてFDPは与党から離脱となります。
この連立崩壊の背景には2025年度予算案を巡る対立があったようです。
Bloomberg参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-08/SMMQD2DWLU6800
ウクライナ戦争によりインフレ率の上昇、ロシア産天然ガスの輸入が不可能な状況が間も無く2年続くことになりますが、ドイツ経済はかなり疲弊してきているのでしょう。 ドイツの最大手自動車会社、フォルクスワーゲンは、2024年にドイツ国内で少なくとも3つの工場の閉鎖を計画しています。これらの閉鎖が実施されれば、同社の創業以来初めての国内工場閉鎖となります。具体的な工場名は明らかにされていませんが、オスナブリュック工場が閉鎖の対象となる可能性が指摘されています。これらの計画は、電気自動車市場での競争激化や販売低迷、コスト増加などの要因によるものであり、もちろん輸出先は中国です。世界経済は低迷してきているように感じます。
Bloomberg参考:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-09-05/SJBN5TT0AFB400
つまり、利下げペースは加速する可能性が出てきました。
ユーロ/ドル、パリティ割れは十分あり得るか?
出所:TradingView
ユーロ/ドル日足チャート分析から入ります。
11月初旬からこのニュースを受けてしっかりと下落しております。トレンドラインを割り込んで、間も無く1.06を割り込みそうです。
筆者も今週からユーロ/ドルのショートトレードを開始したのですが、戻る傾向がありません。今夜の米CPIで跳ねるタイミングがあれば、そこをショートするチャンスと捉えて追加エントリーを狙っていこうと考えています。
EUで最も経済が大きいエリアはドイツであり、ドイツ経済の低迷が加速すれば周辺国に大きく影響してきます。最強の経済と言っても過言ではないほどドイツ経済は経常黒字を毎年叩き出していたのですが、完全に失速でしょう。
ロシアの安い燃料があってこそのドイツだったことが明るみに出てしまいました。よってウクライナ戦争が解決しない限り、ドイツ経済の低迷が続くことになります。
これはイコールでEU経済にとっても長期低迷は不可避ではないでしょうか。ユーロはパリティ割れ(1.00)を早期に実現するのではないかと考えます。
またショルツ首相自身は1月15日に議会で信任投票実施を決めているようで、解散総選挙は近そうです。今年はフランス政権が不安定になりましたが、年明け早々にドイツの選挙で色々と荒れそうです。現在の政策金利は3.65%ですが、12月に3.15%、そしてECBは見通しを下方修正してくるかもしれません。個人的には2025年度中に1.50-2.00%付近まで金利を引き下げるポテンシャルがあるように思えます。
ドル/円、150円からの押し目は好機か?
出所:TradingView
ドル/円4時間足にチャートを切り替えます。
こちらは毎週のコラム更新通りなのですが(笑)、見通しは変わっておりません。
ずっとドル/円を買いで回し、現在もロングポジションを継続して保有しております。この2週間はデイトレでも繰り返し収益を上げられました。
目標の155円まで間も無く到達と考えておりますが、CPIの結果次第といったところでしょうか。 市場予想通りか、少しだけ悪いぐらいが良いと考えております。
程よいポジション調整が入ったあと、再度上昇して155円を目指すと予想しており、変わらず並行チャネルレンジで値動きを繰り返すのではないかと予想しています。
155円台に乗せたあと反落し、チャネルレンジの下限まで下がる機会があるかもしれませんが、それは今月後半あたりではないかと予想します。
ですので、下落したとしても153円付近が底値と判断して、153-156円ゾーンで買い回転を狙ったトレードを考えています。
ゆっくり買い下がるイメージですので、低レバレッジを心がけてポジションを細かく分けてトレードしていく予定です。
ドル/円の買い、ユーロ/ドルの売りで今月後半は勝負していく予定です、ご参考まで。
【ひろぴー氏出演動画】
FX&Cryptoトレーダー、業界ニックネームは「ひろぴー」。ラジオ日経パーソナリティ、FX会社や仮想通貨取引所のコラムニストとして活動の場は多岐に渡る。自らのトレーディングノウハウから、ユーザビリティの高いインターフェース総監督を担う。FX会社や金融プラットフォーム開発エンジニアリング企業、仮想通貨取引所へのコンサルティング業が主。 2019年7月より TradingView Japan の Marketing Director に就任。
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