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【市場概況】東京為替見通し=ドル円、米債利回り低下の売りとトランプ・トレードの買いの鬩ぎ合いか

7日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明やパウエルFRB議長の会見を受けて152.70円まで下落した。ユーロドルは1.0825ドルから1.0767ドル付近まで売られた後、1.0810ドル付近まで持ち直した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米10年債利回りの低下を受けて上値が重い展開が予想されるものの、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)が下値を限定的にすると予想される。

 米連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通りにフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジが4.50-75%まで引き下げられた。
 パウエルFRB議長は記者会見で「われわれは時間をかけてより中立的なスタンスへと移行しており、そうした中で今回の政策スタンスのさらなる調整は、経済と労働市場の強さを維持する一助となり、インフレ面でのさらなる進展を今後も可能にするだろう」と述べた。そして、米大統領選での「トリプルレッド」(トランプ共和党候補&上下両院での共和党勝利)の可能性に関しては、「当面の金融政策決定に何ら影響しない」と述べた。

 トランプ氏は、「トリプルレッド」だけでなく、「クアドラプル・レッド(ホワイトハウス、上院、下院、最高裁」で三権分立の頂点に君臨しつつあるが、金融政策への発言権を求めつつ、パウエルFRB議長を2025年5月の任期まで解任しない、と述べている。

 第2次トランプ米政権では、関税引き上げ(中国60%、その他10%)、「減税・雇用法(トランプ減税)」や法人税減税と大規模な財政出動が見込まれており、物価は上昇(トランプ・フレーション)することが見込まれている。

 パウエルFRB議長は、財政政策が変わる可能性について、その時期や内容を理解するには時期尚早だと指摘し、「財政政策をモデルに取り込むのは法成立の後」と述べた。

 第2次トランプ米政権では、政府支出削減の取り組みを主導する目的で、米政府効率化省(DOGE)が新設される、と報じられている。米効率大臣候補のイーロン・マスク氏は、連邦予算から少なくとも2兆ドルを削減できると主張している。

 米財務省によると、連邦政府は2024年会計年度に6兆7500億ドルを支出し、財政赤字は、1兆8970.79億ドルだった。マスク氏が目論んでいる2兆ドルの歳出削減規模は、2024会計年度の財政赤字規模に匹敵する。

 財政支出拡大となる公約の法制化とマスク米効率大臣候補による政府支出削減策の法制化が、FOMCの金融政策に影響を与えることになるのかもしれない。

(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ