豪華2本立てセミナー!「米雇用統計トレード戦略」と「米大統領選後の欧州経済の行方」(2024年11月1日(金) 11:30~13:00)
雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2024年11月1日(金) 21:00~23:00)
執筆日時:2024年10月31日 13時05分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
労働市場に急ブレーキ、自然災害やストの影響で雇用者数は半分以下!でもノイズ含みで今回は無視も可
はじめに-米ノイズの影響で雇用情勢判断は不確実性高い
2024年11月1日(金)、日本時間21時30分に米国で10月分の雇用統計が発表されます。自然災害やストライキの影響で米雇用情勢の真の姿が分かりにくくなっており、有用な情報となるかの判断は難しそうですが、米景気や11月6日-7日のFOMCに向けたヒントが得られるかどうか注目です。では振り返りからです。
前回のおさらい-米NFPは1月以来の高水準
・米FRBの前向きな利下げを後押し
10月4日に発表された、米国の9月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の14.0万人を上回り、25.4万人の大幅増となりました。また、8月分も14.2万人から15.9万人へ上方修正されました。ヘルスケア、小売業などが雇用拡大に貢献した一方で、自動車・同部品、倉庫・運輸は振るいませんでした。その他、失業率は4.1%へ低下したほか、時間給は前月比で0.4%へ伸びが加速するなど、全体的には好調な内容となり、米利下げが本格的な利下げではなく、あくまでも予防的利下げに留まるとの期待を高めました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:データ米国労働省
146.42円レベルだった米ドル/円は、指標発表後、148.999円まで上昇幅を拡大しました。また、米長期金利は3.983%付近まで上昇したほか、ダウ平均株価は341.16ドル高い、42352.75ドルで取引を終えました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
今回の見どころ-第三者に徹するのもあり
・単月の結果に反応して良い状況か思慮
・暫定的ながら11月0.25%利下げ見通しを維持
米雇用動態調査(JOLTS)における採用率と離職率はどちらも鈍化しており、労働者が同じ職場で長く働く傾向にあることが示されています。こうしたことは、新たに職場を探す人たちにとっては逆風となっており、職探しは徐々に難しくなっていることが示唆されます。新規失業保険申請件数はばらつきがあるものの、4週移動平均で均してみれば、右肩上がりの推移であるほか、減少傾向の求人件数データとも整合的で、米国の労働市場の減速傾向はまだ継続していると判断できます。前月の大幅増は、一時的な要因が重なったと見た方が良いのかもしれません。
図表3.米雇用動態調査における採用率と離職率
出所:米労働省のデータを基に外為どっとコム総研作成
一時的な要因によるノイズの発生と言う意味では、10月分も同様です。それは9月の統計に反映されなかった、米国南東部を襲ったハリケーン「へリーン」や航空大手のボーイングなどのストライキの影響が含まれるためです。一部外銀では、ハリケーンとストの影響で7~8万人の雇用が失われたと予想しており、10月のNFPのコンセンサスは11.0万人前後と前月の半分以下に落ち込むと見通されています。ただ、ストライキや自然災害による部分は時間経過とともに解消される期待があるため、現時点でまともに反応して良いのか判断はつきません。予想比大幅下振れなら別ですが、10万人を小幅に割り込んだ程度なら、一時的な要因として無視され、米ドルへの下押し圧力は限定されそうです。
逆に予想比上振れる場合の方が、目線が下を向いている分、米ドルの反応が大きくなると見込まれますが、それでも、5日の米大統領選挙を考えれば、単月の雇用データでポジションを大きく傾けるわけにもいきません。これらの点を踏まえれば、敢えて無視するのも有りなのかもしれません。個人的には、新規失業保険申請件数の悪化などから、雇用の減速が一時的要因以外にも広がっているのではとの思いから、市場予想よりも下側での着地になるのではないかと、見ています。また、11月FOMCでの0.25%利下げ予想も、暫定的ではありますが大きく変わらないのではないかと、考えています。
図表4.米失業保険申請件数とJOLTS求人件数
出所:米労働省のデータを基に外為どっとコム総研作成
左-Indeed Job Posting Index、左-新規失業保険申請件数(単位:千件)、右-JOLTS求人件数(単位:百万件)
図表5.ドル円チャート
米ドル/円 8時間足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
付随データ
図表7.[雇用統計の実績と予想]
年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
2024年10月 | 10.8 | - | 4.1 | - |
2024年09月 | 14.0 | 25.4 | 4.2 | 4.1 |
2024年08月 | 16.0 | 14.2 | 4.2 | 4.2 |
2024年07月 | 17.5 | 11.4 | 4.1 | 4.3 |
2024年06月 | 19.0 | 20.6 | 4.0 | 4.1 |
2024年05月 | 18.5 | 27.2 | 3.9 | 4.0 |
年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
2024年10月 | 0.3 | - | - |
2024年09月 | 0.3 | 0.4 | 62.7 |
2024年08月 | 0.3 | 0.4 | 62.7 |
2024年07月 | 0.3 | 0.2 | 62.7 |
2024年06月 | 0.3 | 0.3 | 62.6 |
2024年05月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
◇関連の経済データ実績
年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
2024年10月 | - | - |
2024年09月 | 43.9 | 48.1 |
2024年08月 | 46.0 | 50.2 |
2024年07月 | 43.4 | 51.1 |
2024年06月 | 49.3 | 46.1 |
2024年05月 | 51.1 | 47.4 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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