株式会社外為どっとコムの完全子会社である株式会社外為どっとコム総合研究所(以下、「外為どっとコム総研」、本社:東京都港区、代表取締役社長:竹内 淳)は、個人投資家の外為投資に役立つ外国為替情報の調査・研究を行なっております。今回、FX投資家の実態を調査しましたので、お知らせします。
FX個人投資家、一部に勇気ある撤退! 米景気鈍化懸念で見通しへの不確実性増す
一般社団法人金融先物取引業協会 FX投資家動向まとめ
取引金額は横ばい
金融先物取引業協会が9月13日に公表した資料によると、2024年8月の店頭FXにおける取引金額は1448兆円と、7月の1455兆円から約0.5%減少した。
また、月末時点の未決済ポジション合計は7.7兆円と前月から約10.5%減だった。なお、USD/JPY(米ドル/円)の未決済ポジションはJPY(円)売りとJPY(円)買い合わせて約4兆3489億円で、うちJPY(円)買いは約2兆2094億円、JPY(円)売りが約2兆1395億円で、JPY(円)買いが上回った格好。7月はJPY(円)買いが約1兆7268億円、JPY(円)売りが約2兆9245億円だったことから、正味、約1兆2677億円、JPY(円)が買われたことになる。
取引金額上位の5通貨ペアは、USD/JPY(米ドル/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)の順。
図1.取引金額とポジション計
(出所)金融先物取引業協会の「店頭FX月次速報」をもとに、当社が作成
左軸-取引金額、右軸-ポジション計
グラフ中のデータ単位は百万円
株式会社外為どっとコムFX投資家動向2024年8月
TRY/JPY(トルコリラ/円)の取引が好調
FX口座数が58万件を超える株式会社外為どっとコム協力の下、2024年8月のFX投資家動向を調査した。
【調査概要】
調査対象:株式会社外為どっとコムのFXサービス「外貨ネクストネオ」利用者(約58万口座)
調査機関:株式会社外為どっとコム総合研究所
調査対象:調査期間中にFXサービス「外貨ネクストネオ」の新規口座開設およびFX取引をした顧客
調査期間:2024年8月1日6:00 ~ 2024年8月31日6:00
調査方法:対象期間中の取引データより抽出
(特定の個人を識別できないよう個人情報を匿名化した上で行っております。)
FX取引における実現損益
FX取引における実現損益でプラスは40.6%、マイナスは59.3%となった。プラスは前月比1.2%ポイント低下し、多くの投資家が難しいかじ取りを強いられる格好になった。2カ月連続で損失を出した投資家が多かったのは、2022年12月以来となる。
8月の米雇用者数増減が11.4万人増に留まり米国の景気減速が意識されたほか、米国の利下げ開始が現実味を増し、USD(米ドル)の先安観が意識される中で、一部にコストの悪いUSD(米ドル)買いポジションを一度クローズして、新たにUSD(米ドル)売りポジションを構築し始めた投資家もいた模様。
図2.取引参加者の損益
通貨ペア別取引者数
通貨ペア別取引者数のトップ10は、USD/JPY(米ドル/円)・TRY/JPY(トルコリラ/円)・AUD/JPY(豪ドル/円)・MXN/JPY(メキシコペソ/円)・GBP/JPY(ポンド/円)・EUR/JPY(ユーロ/円)・EUR/USD(ユーロ/米ドル)・NZD/JPY(NZドル/円)・ZAR/JPY (南アフリカランド/円)・GBP/USD(ポンド/米ドル)の順。
順位に変動はなかったが、方向性が見極めづらかったこともあり、スプレッドが0.2銭程度と狭いUSD/JPY(米ドル/円)を取引する投資家が多く、一極集中傾向が強まった。また、TRY/JPY(トルコリラ/円)は史上最安値(4.096円、8月26日)を更新する中で、押し目を買い拾う動きが継続した。
図3.通貨ペア別取引者数
平均取引数量
FX投資家の1注文あたりの平均取引数量は4.4万通貨(44Lot)へ小幅に減少した。変動幅拡大で、リスク低減のため保有ポジションや取引数量を減らしたものと思われる。
USD/JPY(米ドル/円)は、1Lotあたり5,900円の必要保証金(9/16時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は約25万9,600円となる。MXN/JPY(メキシコペソ/円)は、1Lotあたり300円の必要保証金(9/16時点、法人口座除く)がかかるため、1注文あたりの必要保証金額は1万3,200円となる。
※現在の取引保証金額はコチラで参照いただけます。
図4.平均取引数量
口座の開設期間
取引をしたFX投資家の口座開設後の期間は、平均114カ月(9年6カ月)と、前月から横ばい。緩やかな拡大傾向が続いており、個人投資家は中長期的な視点でのFX取引口座利用を考えていると思料。
図5.口座開設期間
FX投資の年齢分布
FX投資家の年代別では40代が31.1%と最多で、次に50代、30代、60代と続いた。40代と50代で6割を超える状態が続いている。
図6.取引参加者の年齢構成
FX口座開設者動向
新規にFX口座を開設した投資家は、30代が27.0%とトップで、40代が24.1%、50代が19.3%、20代が17.4%と続いた。30代と40代で半数を占める状況が続いている。
図7.口座開設者の年齢構成
まとめ
2024年8月の為替市場は、米国の労働市場のさらなる鈍化や、パウエルFRB議長の「政策調整すべき時が来た」との発言を受けて、USD(米ドル)安が進んだ一方、株式市場は底堅い展開となり、JPY(円)の上値も重くなるなど、USD(米ドル)安・JPY(円)安で、為替市場は方向性が見定めづらかった。こうした中で、FX投資家の多くも迷いを持ちながらの取引となり、収益性も悪くなった。ただし、USD(米ドル)安・JPY(円)高へ備えるべく、早期にUSD(米ドル)買いポジションを決済してUSD(米ドル)売りポジションを構築するなど、勇気ある撤退を決断した投資家も相応にいたと推察される。
※過去の調査結果は、マネ育ch( https://www.gaitame.com/media/ )よりご参照ください。
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