執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年9月6日 12時23分
ユーロはラガルド総裁のけん制に警戒、英追加緩和期待は高まりづらい?
ユーロ/円・ポンド/円、円高に押される
ユーロ/円・ポンド/円は下落。レーバーデー明けはユーロ/円が162.899円、ポンド/円は193.490円まで円安が進んだ。しかし、植田日銀総裁がこれまで通りタカ派姿勢を示したほか、米ハイテク株の下落が嫌気されて、ユーロ/円は158.553円、ポンド/円は188.065円まで下げ幅を広げました。米ドル安でユーロやポンドは全体的に底堅い動きだったものの、それ以上に円買いが勝りました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、米雇用統計 ついに軟化の変曲点「マジやばくね」 (2024年9月5日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ECBの追加利下げは想定内、次回ヒントが出るか注視
来週は12日にECB理事会が開催されます。市場では0.25%の追加利下げ実施がほぼ織り込まれており、着目点は10月理事会での利下げが示唆されるかどうかです。現時点で言質を与える可能性は低いと考えますが、市場はラガルド総裁の発言などから、10月理事会への見通しを予測することになりそうです。ラガルドECB総裁が市場の一部で燻っている利下げ期待をけん制すれば、ユーロ買い戻しが強まる可能性はあります。一方、経済の下振れに対する警戒スタンスを強めれば、追加利下げ期待から、市場が4割弱しか織り込んでいない10月利下げの織り込みを進展させて、ユーロの調整が進む危険もあります。
かたや英国では雇用・賃金データが発表されます。賃金の伸び鈍化と雇用の底堅さが改めて示されると見られますが、賃金の伸びはピークアウトしても未だ高水準を維持しており、サービスインフレを押し下げるにはまだ十分とは言えないと考えられます。そのため、指標の強弱にポンドは振幅することが見込まれるものの、全体的にはポンドの下値は限定されるかもしれません。
ユーロ/円、更なる下落を警戒(テクニカル分析)
ユーロ/円は、一度横ばいとなった21日移動平均線が再び下を向き始めるなど、底打ち感は見られていません。期間3日のスローストキャスティクスは、売られ過ぎ領域に入っているものの、買いシグナルは点灯しておらず、目先はもう一段の下押しも警戒されます。8月15日高値163.874円を起点とするフィボナッチエクスパンションの138.2%ラインとなる157.574円や、161.8%ラインとなる156.665円付近までの下げは想定しておいても良さそうです。上方向は21日線(5日時点で161.411円)レベルでは上昇の勢いが和らぐのではないかと考えています。
ポンド/円は、5日移動平均線の低下で上値の重さは感じられるものの、週足一目均衡表の雲の上限(2日週時点で186.312円)が迫る中で下方向への動き出しも鈍くなっています。かたや上方向は相変わらず200日線(5日時点で192.208円)にキャップされており、この水準を中核レンジにした振幅が続くのではないかと考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:156.500-161.500
【ポンド/円チャート 日足-左、週足-右】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:185.000-192.000
9/9 週のイベント:
一言コメント
自民党総裁選、立憲民主党代表選とかなり熱量が高まっている様子です。総選挙並みに代表候補者が各地を訪れ演説などが盛んに行われるのでしょうね。そこでの街の反応は、まさに総選挙の前哨戦とも言えそうで、所属議員も正念場と言ったところでしょうか。
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