総括
FX「リラ買い介入実施か。GDPは鈍化。今夜のCPIも鈍化か」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.1-4.6
*リラはメキシコペソを抜いて最下位脱出
*リラ買い介入実施か、効果は大きくはない
*2Q・GDP成長率は鈍化
*今夜はCPI発表
*トルコはSCO、BRICS加盟も示唆
*IMFのトルコの見通しは
*11月に利下げ予想(最大民間金融機関)
*観光は好調
*失業率悪化、若年層が高い
*6経常収支が9か月ぶりの黒字に回復
*中銀は現在利下げを検討していない 副総裁
*外貨準備増加で、海外当局からの外貨預金を返済中
*エルドアン大統領、イスラエルの戦争に介入示唆
*ムーディーズが2段階格上げ
*IMFは成長見通し引き上げ
*フィッチは2024年のトルコの成長率を上方修正
*5月月間予算黒字が過去最大に
*海外投資家は、最も速いペースでトルコ国債を購入
(リラはメキシコペソを抜いて最下位脱出)
リラはメキシコを抜いて最下位脱出、年間11位、株価(イスタンブール100)は1万台を回復し35.34%高。10年国債利回りは28.35%で高止まり。
(リラ買い介入実施か、効果は大きくはない)
トルコ中銀が外貨需要の高まりを抑えるために一連の措置を講じたことを受け、トルコリラは月曜日に上昇した。
中銀は、先週、リラ建て預金を増やし流動性を引き締めるための一連の新措置を発表した。措置の中には、総預金に占めるリラ建ての割合を増やすために銀行の月間成長目標を引き上げる、リラ建て預金への移行の総目標の計算に企業外貨保護口座を含める、凍結口座におけるリラ建て必要準備金維持率を5パーセントポイント引き上げるなどがある。
この措置は、外貨需要の増加により8月にリラが5カ月ぶりの大幅な下落を記録したことを受けて実施された。匿名を条件に話したトレーダーらによると、国営銀行は需要の高まりに対応するため外貨売却を増やし、8月には少なくとも100億ドルを売却したという(ブルームバーグ)。
トルコ中銀は繰り返し、リラ相場に特定の目標は設定していないと述べているが、インフレ対策にはリラの実質金利をプラスに保つことが重要だ。
(2Q・GDP成長率は鈍化)
トルコの2Q・GDP成長率は前年同期比で2.5%増。引き締め的な経済政策によって景気が圧迫され1Qの5.3%増から鈍化した。予想の3.2%増も下回った。
GDPの7割以上を占める家計支出が1.6%増にとどまった。1Qは6.8%増。
シムシェキ財務相は「成長は安定し始め、経常赤字は縮小した。インフレの減速局面に入った」と述べた。
(8月インフレ予想は52%、9月は50%割れか)
ユルマズ副大統領は、ベース効果と経済プログラムの好影響により、8月の年間インフレ率は50%前後になる可能性が高いと述べた。
「9月のインフレ率は50%を下回るだろう」と同氏は付け加えた。
7月のインフレ率は前月の71.6%から61.78%に低下し、年内を通して予想される緩和を前に初の急激な低下となった。8月の年間インフレ率は52.2%に低下するとの見通しが示された。
(トルコどこへ行く、EUかSCO、BRICSか))
エルドアン大統領は、トルコはEUと上海協力機構(SCO)のどちらかを選択する必要はないが、両方の機構と同時に協力していくつもりだと述べた。
また、ブルームバーグは、トルコ政府が従来の西側諸国の同盟国を超えてBRICSへの参加を正式に要請したと報じた。
「これはトルコ政府による西側諸国に取って代わる戦略ではなく、米国の覇権が衰えつつあるこの時期に非西側諸国との関係を強化する戦略だ」とイスタンブールのシンクタンクEDAMのウルゲン所長は語った。
トルコが数十年にわたり加盟を目指してきた欧州連合(EU)への加盟申請が行き詰まっていることに不満を募らせる中、数カ月前にBRICSへの申請書を提出したと伝えた。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
下ヒゲでボリバン中位へ戻す
日足、8月28日の長い下ヒゲから上昇。ボリバン中位。8月28日-9月2日の上方上昇ラインがサポート。8月16日-9月2日の下降ラインが上値抵抗。5日線上、20日線上向く。
週足、先週は下ヒゲが長かった。ボリバン2σ内に回復。8月5日週-12日週の上昇ラインを下抜く。8月19日週-26日週の下降ラインを上抜く。5週線、20週線を下向き。
月足、2σ下位で推移。8月の月足の下ヒゲは長かった。3月-4月の上昇ラインを下抜く。ボリバン2σ下限は3.55。7月-8月の下降ラインが上値抵抗だが上抜くか。
年足、9年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。再び円との熾烈な最下位争いをしていたが7月の大規模円買い介入もあり円に抜かれた。
メルハバ
IMFのトルコの見通しは
IMFはトルコについて、昨年の経済政策の転換で危機のリスクが大幅に低下したと指摘、インフレ率は依然高いものの鈍化が始まっているとの認識を示した。財政政策をさらに引き締めれば物価が迅速かつ持続的に低下するとの見通しも示した。
昨年半ば以降の政策転換で政策ミックス全体が引き締められ「危機のリスクが大幅に低下し、信認が高まった」と指摘。積極的な利上げと一部の財政引き締め措置が、経常赤字の抑制、準備の再建、市場心理の改善につながったとの見方を示した。
今年の経済成長率は3.4%前後に、インフレ率は年内に43%前後にそれぞれ鈍化する見通しという。
来年の経済成長率は2.7%に緩やかに鈍化し、インフレ率は24%前後になるとしている。
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