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ドル/円の9月見通し「FRBは4年半ぶりの利下げへ ドル安の余地はまだあるのか」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のドル/円ポジション動向
・9月の日・米注目イベント
・ドル/円 9月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 8月の推移

8月のドル/円相場は141.661~150.886円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約2.5%下落(ドル安・円高)した。上旬は、1日の米新規失業保険申請件数や米7月ISM製造業景況指数、2日の米7月雇用統計とドル売り材料が頻発した上に、5日には日経平均株価が4400円余り値下がりする中で円キャリー取引の解消と見られる円買い戻しが活発化。年始1月2日以来の安値となる141.66円前後まで下値を拡大した。しかし、7日には内田日銀副総裁の講演を受けて円売り主導で持ち直しの動きとなり、148円目前まで反発。その後しばらくは、概ね146円~148円のレンジでもみ合ったが、15日に発表された米小売売上高と米新規失業保険申請件数が良好な結果になると149円台を回復した。ただ、翌16日には再び147円台に押し戻されるなど、節目の150円を前に上値が重くなった。下旬は、23日の植田日銀総裁による金融政策の正常化(利上げ)への前向きな発言と米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長による9月利下げに前向きな発言などを受けて反落したが、143円台で下げ渋ると月末にかけて再び持ち直した。29日には米4-6月期国内総生産(GDP)・改定値、30日は米7月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)が、それぞれFRBの大幅利下げ観測を後退させる形となりドルを押し上げた。

始値 高値 安値 終値
149.894 150.886 141.661 146.212


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
米新規失業保険申請件数は24.9万件と市場予想(23.6万件)を上回り、前週の23.5万件から増加した。また、米4-6月期単位労働コスト(人件費)は前期比+0.9%と市場予想(+1.7%)を下回り、1-3月期の+3.8%から大幅に伸びが鈍化。さらに米7月ISM製造業景況指数は46.8と市場予想(48.8)を下回り、8カ月ぶりの水準に低下した。

2日
米7月雇用統計は、非農業部門雇用者数が11.4万人増と市場予想(17.5万人増)を下回り、失業率が4.3%と前月から横ばいの予想(4.1%)に反して2021年10月以来の水準に上昇。平均時給は前年比+3.6%と予想(+3.7%)を下回り、2021年5月以来の低い伸びにとどまった。これを受けて米金利先物は年内残り3回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が合計100bp(1.00%ポイント)超引き下げられるとの見方を織り込む動きとなった。

7日
日銀の内田副総裁は函館で講演し「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」「株価の変動は経済・物価見通しに影響し、政策運営上重要な要素」などとする見解も示した。株安と円高で日銀の利上げスタンスが弱まったとの見方から日本株が大幅に反発。円は全面的に下落した。内田副総裁は午後の記者会見でも、追加利上げについて「慎重に考えるべき状況」と発言した。

14日
米7月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.2%と予想通りだった一方、前年比では+2.9%と市場予想(+3.0%)を下回った。前年比の伸び率が2%台に収束したのは2021年3月以来3年4カ月ぶり。食品とエネルギーを除いた7月のコアCPIは前年比+3.2%と予想通りに前回(+3.3%)から伸びが鈍化した。

15日
米7月小売売上高は前月比+1.0%と市場予想(+0.4%)を大幅に上回った。自動車を除いた売上高も前月比+0.4%と予想(+0.1%)を上回って伸びた。同時に発表された米新規失業保険申請件数は22.7万件と市場予想(23.5万件)を下回った。米国の消費と雇用が堅調を維持しているとの見方から過度な利下げ観測が後退した。

19日
米労働省が21日に発表する年次のベンチマーク改定で2023年4月から2024年3月までの非農業部門雇用者数が最大で100万人下方修正されるとの観測が一部の市場関係者の見方として伝わり、ドルが下落。また、流通大手セブン&アイが、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたと発表したことが円買いを誘った。

21日
米労働省・労働統計局は雇用統計の年次ベンチマーク改定を行った結果、3月までの1年間の就業者数が従来の発表より81.8万人少なかったことを明らかにした。FOMC議事録では何人かの参加者が「この会合での利下げを支持することもあり得た」と述べていたことがわかった。また、大多数の参加者は「もしデータが予想通りであれば、次回の会合で政策を緩和するのが適切だろう」として9月の利下げ開始を支持したことが判明した。

23日
日銀の植田総裁は衆院の閉会中審査で「経済・物価見通しの実現の確度が高まれば緩和度合いを調整する」などと述べて金融政策を正常化する方針をあらためて示した。パウエルFRB議長は、ジャクソンホール会議で「政策を調整すべき時が来た」「インフレが2%に戻る持続可能な道筋をたどっていると確信を深めている」「労働市場の減速は明白だ」「労働市場のさらなる減速は歓迎しない」などと述べて事実上、9月の利下げ開始を宣言した。

29日
米4-6月期 GDP・改定値は前期比年率+3.0%に上方修正(速報値+2.8%)。GDPの約7割を占める個人消費は前期比年率+2.9%へ大幅に上方修正された(速報値+2.2%)。同時に発表された米新規失業保険申請件数は23.1万件とわずかに市場予想(23.2万件)を下回り、前週(23.3万件)から減少した。

30日
米7月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+2.5%と市場予想と一致。食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターは前年比+2.6%と市場予想(+2.7%)を下回り、伸び率は前月から横ばいだった。

8月の各市場

8月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月の日・米注目イベント

ドル/円 9月の見通し

  米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17-18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、2020年3月以来4年半ぶりに利下げに動く公算が大きい。声明と同時に発表する政策金利見通し(ドットチャート)では、年末時点のFF金利予測(中央値)が6月時点の5.125%から4.875%に引き下げられる可能性もある。長らくドル/円相場の上昇を支援してきた日米金利差は今後、縮小方向に向かうことになりそうだ。もっとも、市場はFRBの利下げを先取りする形で、8月末時点において年内3回+α(合計100bp弱=1.00%ポイント弱)の利下げを見込んでおり、FF金利は年末に4.375%前後まで低下する事を織り込んでいる。

ドル/円も8月には、米利下げ観測の高まりを受けて7月高値の161円台後半から最大で20円以上も下落する場面があった。最早、「完全に織り込み済み」と言えるFRBの利下げに、どれほどドルを押し下げる力があるかが9月のドル/円相場の焦点だろう。9月の利下げ幅が通常ペースの25bpであれば、もはやドルに下落余地はないと見ており、むしろ利下げ織り込みの後退によってドルが上昇することも十分に考えられる。言い換えれば、ドルが下落するには50bpの大幅利下げと、金利見通しの大幅な下方修正が必要になると見ており、そのハードルはきわめて高いと考えている。

FRBの利下げ幅を巡っては、9月6日に発表される米8月雇用統計がカギとなるが、よほど弱い結果にならない限り、利下げは25bpに落ち着く公算が大きいだろう。一方、日銀は9月19-20日の金融政策決定会合で追加利上げに動く可能性は低い。金融緩和の調整と位置付ける緩やかな利上げの方針は維持する公算が大きいものの、円買い材料にはなりにくいだろう。9月のドル/円はドルの持ち直しにより上昇する展開を予想している。
(予想レンジ:143.000~150.000円)

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外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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