外為どっとコムが提供するCFDサービス「CFDネクスト」の各銘柄(WTI原油、金スポット、銀スポット、天然ガス)と米ドルの「相性」(相関性)をランキング形式でまとめました。銘柄ごとの変動要因についても簡素にまとめています。
執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
「米ドルとの相性抜群ランキング」(過去1週間の対米ドルでの相関係数)
順位 | CFD銘柄 | 相関係数 |
---|---|---|
1 | 銀スポット | -0.80 |
2 | 金スポット | -0.17 |
3 | WTI原油 | -0.10 |
4 | 天然ガス | 0.16 |
集計期間中(8/23~8/29)米ドルと負の相関が強かったCFD銘柄は銀スポットだった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米国の9月利下げを事実上宣言したことで、運用資産の逃避先として金スポットが買われ、史上最高値を更新した。
また米ドルの他通貨に対する相対的な強弱を示すドルインデックスは期間中に0.62%上昇した。
※米ドル建てで取引される資源は一般的に米ドルの動向と負の相関(逆相関)が強いと言われている
※数値が-1.0に近いほど米ドルの動きが直近の価格動向に影響を与えていたと考えられる
※資源価格は需給など様々な材料の影響で変動するため、必ずしも米ドルと負の相関関係が続くわけではない
WTI原油の変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:WTI原油価格は、買い材料多数で7カ月ぶり安値圏から反発
原油相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中のWTI原油は3.89%上昇した
NEW!・米エネルギー省の週報で米国内の原油在庫は取り崩されたものの、予想ほど取り崩し量は大きくなかった。一方でガソリンの在庫は予想以上に取り崩されていた
NEW!・米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が23日に9月利下げ開始を事実上宣言。米国の景気悪化(リセッション)入り懸念が後退したことで、原油の需要が強まった
NEW!・レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラがイスラエルに大規模攻撃を実施した。これにより中東の地政学リスクが高まっている
NEW!・アフリカの主要産油国であるリビアが東部地区の油田の閉鎖と生産、輸出の停止を発表した。リビアは国家分裂状態で、国内の主要油田は東部地区に集まっている
・石油輸出国機構(OPEC)プラスは6月2日の閣僚級会合で今年末までの予定だった協調減産を2025年末まで継続することで合意した
天然ガスの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:天然ガスは、弱気な見通し
天然ガス相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の天然ガスは3.65%下落した
NEW!・米エネルギー情報局(EIA)の週報では、米国内の天然ガス貯蔵量は35Bcfの増加。市場予想は36Bcfの増加だった。過去5年平均を約12%上回っている(8/23時点)
※Bcf=10億立方フィート
・米国内のLNG施設の停止で、米国内で供給過剰が起きている
・米バイデン政権は2024年1月にLNGが環境に与える影響を評価するためにLNGを新たに輸出する際の許可を一時的に凍結
金(ゴールド)スポットの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:金(ゴールド)スポット価格は、米国の利下げに備え買い支えられる
金(ゴールド)スポット相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の金スポットは1.51%上昇した
NEW!・パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が、8月23日のジャクソンホール会議での講演で、米国の9月利下げ開始を事実上宣言した。これにより運用資産の逃避先としての金の需要が高まった。金価格は8月29日に一時1トロイオンス=2538.70ドルまで上昇し史上最高値を更新した
・中東やウクライナの紛争による先行き不透明感により逃避先としての金の需要が増している
・中国やインドでの需要は引き続き強い
銀スポットの変動要因と過去3カ月の値動き
ポイント:銀スポット価格は、米ドル安の流れに乗る
銀スポット相場の変動要因は以下の通り
NEW!・期間中の銀スポットは1.50%上昇した
・中国の製造業の回復と太陽光パネルの需要増加から銀価格の上昇を後押し
・金同様に装飾需要がある
・幅広い産業需要があり、需要の5割以上が工業用需要。そのため経済が上向くと銀の需要が増える
・太陽光パネルなど幅広く使われているため、ここ数年は供給不足気味
・価格が低い分変動率が大きくなってしまう
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中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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