日米金利差縮小へ向かうか、ドル安トレンドと円相場もみ合いの背景【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2024/8/29
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
時間がない方向け「ポイント要約」
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:35 市場の落ち着きと全般的なドル安傾向
1:06 FRB利下げに関する市場の過剰な織り込み
2:40 円相場の動向と金利差縮小の影響
3:29 メキシコペソ円の現状と投資姿勢の見直し
4:22 今後の相場展開と注目ポイント
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動画要約・まとめ
市場の落ち着きと全般的なドル安傾向
為替市場は大きな乱高下の後、現在は落ち着きを取り戻しつつあります。全般的にはややドル安の傾向が見られ、円相場に関してはもみ合いの展開となっています。これは、アメリカが利下げサイクルに入ったことがほぼ確実視されており、トレンドがドル安方向に向かっているためです。
FRB利下げに関する市場の過剰な織り込み
FRBウォッチツールの先物市場を見ると、9月の利下げは100%織り込まれており、0.5%の利下げを予想する市場参加者も4割近くに上っています。年末までのレートに関しては、一部では1.5%の利下げも予想されています。これはかなり過剰な織り込みではないかと考えられます。
マーケットには先走りすぎる傾向があり、現在の織り込み方は行き過ぎと思われます。そのため、どこかで修正が入る可能性が高く、その際にはドルが買われる局面が出てくると予想されます。つまり、ここから一方的にドルが下がっていく展開は難しく、一度ドル高方向への修正があった後、再びドル安方向への流れができる可能性が高いと考えられます。
円相場の動向と金利差縮小の影響
円相場に関しては、日銀がしばらく動かないと予想されるため、方向性が出にくくなっています。金利差が縮小していく中での相場展開となっているため、金利差を狙った資金流入が期待できず、クロス円の新規買いも難しい状況です。このため、円安方向に向かいづらい環境となっています。
メキシコペソ円の現状と投資姿勢の見直し
メキシコペソ円は特に厳しい状況にあります。IMMのポジション動向などを見ると、メキシコペソはかなりのロングポジションが積み上がっています。このようなポジションが溜まっている通貨は上昇しにくく、むしろ下落リスクが残っています。かつての金利差を狙った投資戦略はもはや通用せず、ペソに対する投資姿勢の見直しが必要です。
今後の相場展開と注目ポイント
今週は円、クロス円、ストレートドルともにもみ合いが予想されます。最大の注目点は来週金曜日のアメリカ雇用統計です。それまでは上下動の激しい相場展開が予想され、雇用統計の結果を受けてドルの方向性が明確になると思われます。それまではレンジ相場として対応することが賢明です。
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今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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