来週の為替予想（豪ドル/円 NZドル/円）「豪CPIの低下は想定内利下げ期待に影響は？」ハロンズ FX 2024/8/24

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執筆：外為どっとコム総合研究所　中村　勉
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今週の振り返り

今週の豪ドル/円は98.39円前後、ニュージーランド（NZ）ドル/円は89.22円前後で週初を迎えました。今週は、豪州やNZにて主要な経済指標の発表がなかったため、豪ドル/円、NZドル/円は米ドルや日本円の動向を睨んだ動きとなりました。米国では2023年4月～24年3月の米雇用統計のベンチマーク（基準）改定値が発表されました。同期間中の非農業部門雇用者数が81.8万人下方修正されたことで米経済に対する悲観的な見方が強まり米ドルが全面的に売られたことで、豪ドル、NZドルは対米ドルでは上昇しました。ただ、米ドルは対日本円でも売られたことから豪ドル/円とNZドル/円に方向感は出ませんでした（執筆時）。

インフレは鈍化予想　重要なのは内容

豪州のインフレは23年12月に前年比+3.4%まで低下しました。その後+4.0%まで上昇する場面も見られましたが、6月時点では豪中銀（RBA）の予測通りの+3.8%に落ち着いています（表1参照）。

【表1.豪CPIの推移】

来週は28日に豪7月消費者物価指数（CPI）が発表されます。市場は豪7月CPIは+3.5%まで低下すると予想しています。豪州では7月1日から所得制限のないエネルギー料金の一律支援や、低所得者への家賃補助などの生活補助が実施されていることがインフレ低下の大きな理由です。
RBAが8月に公表した最新の金融政策報告書を見ると、5月時点の予測と比べインフレ低下の速度が速くなっていることがわかります（表2参照）。ただ、これは5月の金融政策報告書の公表時に豪政府が生活補助を発表していなかったためで、豪州の基調的なインフレが急低下する可能性を示唆する材料が出てきたからというわけではありません。RBAがサービスや家賃のインフレがなかなか低下してこないことを懸念しているため、表面的な数字が低下したからと言ってすぐに利下げに向かうことはなさそうです。ただし、市場は中央銀行の動きを先取りしたがるものです。豪7月CPIが予想よりも低下を示した場合には、それがたとえ表面的な数字であろうがRBAへの利下げ期待を膨らませることになりそうです。

【表2.RBAが予測するインフレ率推移】

今回の豪州の小売は読みにくい

30日には豪7月小売売上高が発表されます。豪州の会計年度は7月～翌年6月です。今年は5月と6月に小売店などが期末のセールイベントを実施したことで、豪州の小売売上高は2カ月続けて比較的堅調な結果となりました。その反動から今回発表される7月分の小売売上高は前月から減少している可能性があります。一方で前述の通り、7月から豪政府が生活支援を実施していることで、消費に使えるお金が増えているため、豪7月小売売上高が前月から伸びていることも考えられます。市場の初動は豪7月小売売上高の結果に素直に反応するとみていますが、それがRBAの政策決定に影響を及ぼすかどうかは、しっかり内容を見極めて判断しましょう。

【豪小売売上高推移】

豪ドル/円のテクニカル分析

豪ドル/円の目先の上値目途は200日移動平均線（青点線）です。同線の近くには心理的節目となる100.00円や、今回の下げ相場（7/11～8/5）の半値戻し（99.74円前後）もありますので、相応の抵抗がありそうです。下値目途は、週足一目均衡表雲上限（96.66円前後）がサポートとして意識されそうです。

【豪ドル/円　日足・一目均衡表、200日移動平均線】

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

予想レンジ：AUD/JPY：96.00-100.00、NZD/JPY：88.00-91.50

8/26週のイベント:

08/26 (月) 10:20 中国 1年物中期貸出制度（MLF）金利、発表
08/28 (水) 10:30 豪 7月消費者物価指数（CPI）
08/29 (木) 10:00 NZ 8月ANZ企業信頼感
08/29 (木) 10:30 豪 4-6月期四半期民間設備投資
08/30 (金) 07:45 NZ 7月住宅建設許可件数
08/30 (金) 10:30 豪 7月小売売上高
08/31 (土) 10:30 中国 8月製造業PMI