執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年8月9日 15時05分
ユーロ/円、ポンド/円、 円主導でどこまで戻せるのか
ユーロ/円・ポンド/円、米ドル/円に連動
株安の連鎖から投資家のリスクセンチメントが悪化し、ユーロ/円は154.388円、ポンド/円は180.085円まで各々、下げ幅を広げました。その後は、日銀首脳から利上げを急がない旨の発言が行われたこともあり、前半の下げ分を全て取り戻し、ユーロ/円は161.448円、ポンド/円は188.427円まで切り返しました。しかし、悪化した投資家心理が十分に戻せていないこともあり、クロス円の上値は限定されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
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※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
緩和の度合い進むのか注目
域内最大の経済規模を誇るドイツの4-6月期GDPは前期比マイナス成長となり、ユーロ圏経済の回復ペースは鈍い状態が続いています。マーケットでは次回9月理事会での追加利下げを9割程度織り込んでいます。そのため、今後は経済指標を確認しながら、年内の緩和の度合いが強まるのかどうかに投資家の視点が移っていきそうですが、発表される経済指標が少ないほか、バカンスシーズンで要人発言も少ないため、ユーロは他通貨の相対的な動きに終始し、明確な方向性は出にくそうです。
ユーロ/円も米ドル/円と同じようなチャート形状で、大暴落からの修正局面と見られます。そのため、175.423円(7月11日高値)と154.388円(8月5日安値)の下落幅の38.2%戻しとなる162.423円付近を上抜け出来るかがポイントになりそうです。もっとも、165.00円付近には200日移動平均線、日足一目基準線などのレジスタンスラインが集まっていることもあり、162.50円を超えても上値は限定されると考えます。他方、下方向は8月6日の安値(157.291円)付近がサポートレベルと考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:158.000-164.000
インフレ指標鈍化なら追加利下げ期待がポンドの重しに
英中銀は1日の金融政策委員会(MPC)において、5対4で0.25%の利下げを決定しました。声明では追加利下げに対して慎重な姿勢が示されましたが、あくまでもデータ次第との立場で、9月利下げの扉は閉ざされていません。発表される消費者物価指数や賃金インフレの行方によっては、9月利下げを織り込む動きが加速し、ポンドの上値を圧迫するかもしれません。特に、サービスインフレが高止まりする中で、賃金インフレが継続的に下げて英中銀の利下げ期待を高めるのかどうかがポイントになりそうです。また、英国内で起きている極右の暴動を巡る混乱が拡大すれば、治安悪化がポンド安に波及する可能性もあるため、一応、こちらのニュースも気にかけたいと考えます。
ポンド/円は8月5日に180.085円の直近安値を付けた後は187円半ばまで戻しています。2023年6月以降サポートされている178.00円を割り込まなかったことで、心理的には下落が一巡した感じはあります。目先は戻りをどこまで試せるかが注目されますが、8月8日時点で191.814円となる200日移動平均線が目先の節目として意識されそうです。下方向は、8月6日安値の184.470円付近でサポートされるかに着目したいと考えています。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:184.500-192.500
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一言コメント
今年は、日経平均株価のバブル期以降の最高値更新、4万円台到達、1日の下落幅が過去最大となる4451.28円と記録ずくめとなっています。年末までに新たな記録が生まれるのか注目したいです。
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