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ポンド/円・豪ドル/円の8月見通し「円全面高の流れは早晩終息の公算」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 7月の推移
・7月の各市場
・7月のポンド/円ポジション動向
・8月の英国注目イベント
・ポンド/円 8月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 7月の推移
・7月の各市場
・7月の豪ドル/円ポジション動向
・8月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 8月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 7月の推移

7月のポンド/円相場は192.146~208.109円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約5.2%下落した(ポンド安・円高)。英中銀(BOE)の金融政策委員会(MPC)のメンバーから利下げに否定的な見解が続いたことや、英5月国内総生産(GDP)が予想を上回ったことから11日に208.11円前後まで上昇して2008年以来16年ぶりの高値を付けた。しかし、日本政府・日銀によるドル売り・円買い介入と見られる動きの影響で高値から4円以上急落。17日も英6月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったにもかかわらず、ドル/円の急落につれる形で2円超下落した。その後も、米大統領選を巡る不透明感や日銀の利上げ観測を背景に円キャリー取引の巻き戻しと見られる円買いが断続的に入った模様で24日には心理的節目の200.00円を割り込んだ。月末にかけても上値の重い展開が続き、31日に日銀が利上げと国債買い入れの減額を決めた上で追加利上げにも前向きな姿勢を示すと197円台から192円台へと下落した。なお、7月のポンドはBOEの利下げ観測の後退などを背景に対ドルや対ユーロで小幅ながらも上昇しており、この点からもポンド/円の下落がポンド安ではなく円高によるものだったことがわかる。

始値 高値 安値 終値
203.370 208.109 192.148

192.853

出所:外為どっとコム

5日
現地4日に行われた英総選挙の投票が終了。出口調査によれば、スターマー党首率いる労働党が過半数の議席を獲得して圧勝する見込みとなり、14年ぶりの政権交代が確実となった。なおその後、スナク英首相は選挙惨敗の責任を取るとして保守党党首を辞任した。

8日
BOEのハスケルMPC委員は「労働市場は引き続き逼迫しており、依然として正常に機能していないのではないかと懸念している」とした上で「基調的なインフレ圧力が持続的に低下しているという確実性が高まるまで金利を据え置きたい」との見解を示した。

10日
BOEのチーフエコノミストであるピルMPC委員は「インフレの上振れリスクを示すいくつかの指標がある」とした上で、利下げについては「実施するかどうかではなく、いつ実施するのかの問題だ」と発言。利下げの時期は依然として「未解決の問題だ」と語った。

11日
英5月GDPは前月比+0.4%と市場予想(+0.2%)を上回った。同鉱工業生産は前月比+0.2%(予想+0.3%)、同貿易収支は179.17億ポンドの赤字(予想166.00億ポンドの赤字)だった。その後、日本政府・日銀による円買い介入と見られる動きで急激に下落した。なお、政府・日銀は翌12日にも小規模ながら円買い介入を実施したと見られる。

17日
英6月CPIは前年比+2.0%、同コアCPIは前年比+3.5%とそれぞれ市場予想(+1.9%、+3.4%)をやや上回った。また、BOEが注目するサービスCPIも前年比+5.7%と予想(+5.6%)を上回って高止まりした。これを受けてBOEの利下げ観測が後退した。

18日
英3-5月ILO失業率は4.4%と予想通りに2-4月から横ばいだった。英3-5月週平均賃金(除ボーナス)は前年比+5.7%と予想通りに2-4月の+6.0%から伸びが鈍化した。また、英6月失業率は4.4%で前月の4.3%から上昇。同失業保険申請件数は3.23万件と前月の5.19万件から減少した。

19日
英6月小売売上高は前月比-1.2%と市場予想(-0.6%)以上に落ち込んだ。天候不順の影響や、5月に前月比+2.9%の大幅増を記録した反動が出たと見られる。

24日
英7月製造業PMI・速報値は51.8と市場予想(51.0)を上回り前回の50.9から上昇。同サービス業PMI・速報値は52.4と市場予想(52.5)には届かなかったものの前回の52.1から小幅に上昇した。

29日
英国のリーブス財務相は公的財政の強化を図る歳出削減案を発表。保守党政権が「財源の手当がなく、公表しないまま残した公的支出を数多く発見した」として220億ポンドに上る財政の「ブラックホール」を残したと非難した。これを埋め合わせるため10月末に発表する予算案に増税を盛り込む可能性があると示唆した。

31日
日銀は国債買い入れの減額と15bp(0.15%ポイント)の利上げを発表。植田日銀総裁は、その後の会見で、「円安による想定以上の物価押し上げは、重要なリスクと認識している」と発言し、今後については「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利を上げていく」「0.5%という政策金利水準を特に意識しているわけではない」と述べた。植田総裁の会見内容が予想以上にタカ派的だったとの見方から円が全面的に上昇した。

7月の各市場

7月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

8月の英国注目イベント

ポンド/円 8月の見通し

英中銀(BOE)は8月1日の金融政策委員会(MPC)で4年5カ月ぶりに利下げを決めた。同時に発表した金融政策報告書でインフレ見通しを下方修正した一方で、声明では「インフレが低水準にとどまる事を確認し、早すぎたり幅が大きすぎる利下げにならないよう注意する必要がある」と慎重に利下げを進める姿勢を示した。MPC終了時点で、市場はBOEが年内残り3回のMPCのうち少なくとも2回は利下げを行うことを織り込んでいる。一方で、日銀の年内追加利上げが浮上していることを踏まえると、金融政策の方向性違いを背景に、8月もポンド安・円高が続く可能性は否定できないだろう。もっとも、7月の円高の最も大きな要因は、日銀の利上げを期待した積極的な円買いではなく、円売りポジションの解消であった可能性が高いことから円高の持続性には疑問符が付く。8月2日および9日に発表されるIMM(国際通貨先物市場)で円売り越しが大幅に減少したことが確認されれば円買い圧力は後退することになるだろう。 ポンドについても市場の利下げ織り込みが後退する余地があると見ている。上記のようにBOEは慎重に利下げを進める姿勢を強調している上に、1日の利下げ決定は賛成5、反対4の僅差であったことが明らかになっている。インフレ見通しの下方修正についても、そうしたメインシナリオよりもインフレが目標の2%を上回る期間が長期化するリスクがあることを認めた上での修正であった。13日に発表される英4-6月の週平均賃金や14日の英7月消費者物価指数(CPI)が少しでも予想を上回れば、市場の利下げ観測は後退することになるだろう。 これらを踏まえ、8月のポンド/円相場はポンド売り・円買いが先行する可能性はあるものの、その後は7月の下落をある程度埋める形でポンド高・円安に振れやすくなると見ている。
(予想レンジ:186.00~197.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 7月の推移

7月の豪ドル/円相場は97.383~109.369円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約8.5%下落(豪ドル安・円高)。1991年以来33年ぶりの高値となる109.37円前後を付けたのち4カ月ぶり安値の97.38円前後まで急落する荒い値動きの展開となった。豪中銀(RBA)の利上げ観測がくすぶる中、円全面安の地合いも相まって11日に109.37円前後まで上昇したが、その後は急速に下落に転じた。11日の政府・日銀による円買い介入観測や17日のトランプ前米大統領のドル高・元安けん制に加え、22日の中国人民銀行(PBOC)の利下げおよび日本政府要人による日銀への利上げ要求発言が豪ドル売り・円買いを誘い、円キャリー取引の巻き戻しと見られる円買いが続いた。25日には100円の大台を一時割り込んだ後は一旦下げ渋る動きも見られたが、31日に再び下げ足が速まった。この日発表された豪4-6月期消費者物価指数(CPI)のトリム平均値が予想を下回った上に、日銀が国債買い入れの減額と同時に政策金利を0.25%に引き上げた上で追加利上げに前向きな姿勢を示したことで一気に98円台を割り込んで97.38円前後まで下値を切り下げた。

始値 高値 安値 終値
107.348 109.369 97.383 98.141

出所:外為どっとコム

2日
豪中銀(RBA)は6月理事会の議事録を公表。「インフレの上振れリスクに引き続き警戒する必要性を示唆する情報がいくつかあった」と指摘した一方で、「5月の会合以降に入手した総合データはインフレ率が2026年までに目標に戻るという評価を変えるには十分ではなかったとの認識で一致した」と、政策金利を据え置いた理由を説明した。

3日
豪5月小売売上高は前月比+0.6%と市場予想(+0.3%)を上回り、4カ月ぶりの高い伸び率となった。同時に発表された豪5月住宅建設許可件数も前月比+5.5%と予想(+1.6%)を大幅に上回った。豪中銀(RBA)が8月にも利上げするとの思惑から豪ドルが上昇した。

4日
豪5月貿易収支は57.73億豪ドルの黒字となり、黒字額は市場予想(63.28億豪ドル)を下回った。輸出、輸入ともに前月比で伸びたが、輸入のほうがやや伸びが大きかった。

11日
NYタイムに日本政府・日銀による円買い介入と見られる動きでドル/円が急落すると豪ドル/円もつれて下落した。なお、政府・日銀は翌12日にも小規模ながら円買い介入を実施したと見られる。

15日
中国4-6月期国内総生産(GDP)は前年比+4.7%と市場予想(+5.1%)を下回った。不動産市場の低迷や内需の停滞が続く中、1-3月期の+5.3%から減速した。中国6月鉱工業生産は前年比+5.3%と市場予想(+5.0%)を上回った一方、同小売売上高は前年比+2.0%と予想(+3.4%)を下回った。

18日
豪6月雇用統計は新規雇用者数が5.02万人増と市場予想(2.00万人増)を上回った。失業率は予想通りに4.1%へ上昇(前回4.0%)した。

19日
米サイバーセキュリティー会社クラウドストライク・ホールディングスのソフトウエア更新で発生したシステム障害により、マイクロソフトの基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を使用する一部の端末に不具合が発生。予想以上に広範囲に影響が及ぶリスクがあるとの見方から欧米の株式先物が下落すると、一時円を買い戻す動きが強まった。

22日
中国人民銀行(PBOC)は、事実上の政策金利であるローンプライムレート(LPR)の引き下げを決定。1年物を3.45%から3.35%に、住宅ローンの参照金利となる5年物を3.95%から3.85%にそれぞれ引き下げた。予想外の利下げを受けて人民元が下落すると、つれて豪ドルも下落した。

31日
豪4-6月期消費者物価指数(CPI)は前年比+3.8%と、市場予想通りに1-3月期の+3.6%から伸びが加速した。一方で、コアCPIにあたるCPIトリム平均値は+3.9%と、1-3月期の+4.0%から横ばい予想に反して伸びが鈍化。同時に発表された豪6月小売売上高は前月比+0.5%と市場予想を上回ったが、コアインフレの鈍化を受けて僅かに残っていたRBAによる8月利上げの期待が消滅した。その後、日銀は国債買い入れの減額と15bp(0.15%ポイント)の利上げを発表。植田日銀総裁は、その後の会見で、「円安による想定以上の物価押し上げは、重要なリスクと認識している」と発言し、今後については「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利を上げていく」「0.5%という政策金利水準を特に意識しているわけではない」と述べた。植田総裁の会見内容が予想以上にタカ派的だったとの見方から円が全面的に上昇した。

7月の各市場

7月の豪ドル/円ポジション動向

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8月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 8月の見通し

豪ドル相場を7月上旬まで支えていた豪中銀(RBA)による利上げ再開の観測は、足元で大きく後退している。中国人民銀行(PBOC)が予想外の利下げに動いたことで同国の景気不安が改めて浮上したほか、豪4-6月期消費者物価指数(CPI)でRBAが重視するトリム平均値(コアCPIに相当)が9四半期ぶりの水準に落ち着いたことで利上げ期待はほぼ消滅。逆に年末までに1回の利下げが行われるとの見方が市場に広がっている。とはいえ、年内3回の利下げをほぼ織り込んだ米国や、2回の利下げを織り込んだユーロ圏に比べると、RBAの政策スタンスは相対的にタカ派的と言えるだろう。もう一点、7月以降の豪ドル相場を対円で押し下げたのは、本邦財務省の円買い介入と日銀の利上げを立て続けに行うというポリシーミックスの影響が大きかった。ただし、ドル/円相場が38年ぶりの高値から12円程度下落した今となっては、介入が再び行われる可能性は大きく低下したと考えられる。また、日銀の利上げについても、インフレ率を差し引いた実質金利が大幅なマイナスの状態が当面続くと見られることから円高の流れが持続するとは考えにくい。日銀の利上げや追加利上げ観測によって、年間5.5兆円規模のデジタル収支の赤字や、年間10兆円規模と推計される個人投資家主体の海外資産投資といった構造的な円安要因がなくなるとも思えない。こうした点を踏まえれば、足元の円高はキャリー取引の解消によるもので、円安基調の一時的な小休止である可能性が高いだろう。豪ドル/円も早晩、上昇に転じると考えられる。
(予想レンジ:95.500円~102.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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