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ユーロ/円の8月見通し「ボラティリティ低下が反発のカギに」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 7月の推移
・7月の各市場
・7月のユーロ/円ポジション動向
・8月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 8月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 7月の推移

7月のユーロ/円相場は162.011~175.423円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約5.8%下落した(ユーロ安・円高)。6月から続く円売りに加え、フランス総選挙の第1回投票を受けてユーロ買いが先行。11日には175.42円前後まで上値を伸ばしてユーロ発足後の最高値を付けた。しかし、その直後に日本政府・日銀が円買い介入を実施したと見られるドル/円の下落につれて急落。一部には12日に日銀がユーロ/円でレートチェックを行ったとの観測もあった。

その後も日本政府要人から、日銀に利上げ圧力をかける発言が続いたことなどから円買い主導で下落。この間、欧州中銀(ECB)が9月利下げを示唆しなかったことなどからややユーロが買われる場面もあったが一時的だった。23日に170.00円を明確に割り込むと、24日には166円台、25日には一時164円台へと下値を拡大。円キャリー取引の解消と見られる円買いが活発化した。31日には日銀の利上げと国債買い入れ減額及び植田総裁のタカ派発言を受けて162円台へと続落。米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て円買いの流れが続く中、月末のNYクローズ間際に162.01円前後まで下値を切り下げた。

始値 高値 安値 終値
172.596 175.423 162.011 162.433


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1日
前日6月30日に投開票されたフランス総選挙の第1回投票は下馬評通りに極右勢力が優勢となった。ただ、マクロン大統領の与党連合は7日の決選投票に向けて、野党・左派連合との候補者の一本化に動き始めた。これによって極右勢力の単独過半数は避けられるとの見方が広がり、ユーロを買い戻す動きが強まった。

2日
ユーロ圏6月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.5%と予想に一致。前月(+2.6%)から伸びがやや鈍化した。一方、エネルギーや食料などを除いたコアHICPは前年比+2.9%と予想(+2.8%)を上回り、伸び率は前月(+2.9%)から変わらなかった。

4日
ECBは、利下げ開始を決めた6月の理事会の議事要旨を公表。利下げの背景について「入手可能な情報が望ましいほどの完全なものではなかったとしても、ある時点でそれに基づいて判断する必要があった」と説明した。一方で「直近の経済指標や物価の上振れリスクを踏まえると利下げの根拠にはならない」として利下げに対する反対意見も出ていた。一部メンバーは「インフレ率を目標に戻すのがこれ以上遅れれば、将来的にインフレ期待を安定させ続けることが一段と困難になる可能性がある」との見解を示したこともわかった。

8日
7日に行われたフランス総選挙・決選投票は、左派連合が第1回投票でトップだった極右政党・国民連合(RN)を抑えて勝利する見込みとなった。ただ、過半数議席の獲得には至らなかったことで、今後の連立交渉が難航するとの見方が浮上。

12日
前日に続いて、日本政府・日銀によるドル売り・円買い介入と見られる動きに巻き込まれて下落。一部報道では、政府・日銀がユーロ/円相場について「レートチェック」を行なったとの観測も出ていた。

18日
ECBは予想通りに主要政策金利を4.25%に据え置いた。物価目標2%の達成に向けて「必要な限り政策金利を高い水準にとどめる」との声明も維持した。ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、成長に対するリスクは「下方に傾いている」とし、前回の理事会で示した「リスクは短期的には均衡している」との表現を修正した。次回9月理事会での利下げの可能性については「ワイドオープン(何も決まっていない)」と述べるにとどめた。

24日
独7月製造業PMI・速報値は42.6と予想(44.0)に反して前回の43.5から低下。同サービス業PMI・速報値も52.0と前回の53.1から低下した(予想53.3)。その後に発表されたユーロ圏7月製造業PMI・速報値は45.6(予想46.1、前回45.8)、同サービス業PMI・速報値は51.9(予想52.9、前回52.8)と、こちらも冴えない結果となった。

25日
独7月IFO企業景況感指数は87.0と市場予想(89.0)に反して前月(88.6)から低下した。IFO経済研究所は「ドイツ経済は危機から抜け出せていない」との見解を示した。

31日
日銀は国債買い入れの減額と15bp(0.15%ポイント)の利上げを発表。植田日銀総裁は、その後の会見で、「円安による想定以上の物価押し上げは、重要なリスクと認識している」と発言し、今後については「経済・物価見通しに沿って動けば、引き続き金利を上げていく」「0.5%という政策金利水準を特に意識しているわけではない」と述べた。植田総裁の会見内容が予想以上にタカ派的だったとの見方から円が全面的に上昇した。ユーロ圏7月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.6%と市場予想および前回(+2.5%)を上回った。エネルギーや食品などを除いたコアHICPも前年比+2.9%と市場予想(+2.8%)を上回り、前回と同じ伸び率だった。

7月の各市場

7月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

8月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 8月の見通し

 7月のユーロ/円は史上最高値を更新したのち急激に反落。月間の下げ幅は10円を超えて最大で13円超に上った。これは英国が欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票を実施した2016年6月以来の大きさだ。7月のユーロ安・円高の最大の要因は日銀の利上げ観測などを背景とする円キャリー取引の巻き戻しと考えられる。欧州中銀(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)がいずれも9月に利下げを行うとの見方が強い中、ユーロ/ドルは8月も方向感が出にくい相場展開となろう。

いきおい、ユーロ/円相場は8月も円相場主導の展開が続きやすいと考えられる。日銀は7月31日に政策金利を0.25%に引き上げた上で追加利上げに前向きな姿勢を示しており、円の買い戻しによるユーロ安・円高局面が続く可能性を排除できない。ただ、IMM(国際通貨先物市場)の円売り越し(ネットショート)は、すでに7月上旬のピークから大幅に減少しており、買い戻し圧力は今後低下していくと予想される。ユーロ/円相場が年初の水準である155円台に向けて下落する公算は小さいと見ている。むしろ、日銀の追加利上げ観測に疑念が生じる場合や、米国やユーロ圏の利下げ観測を受けて株式市場が底堅く推移する場合は、ボラティリティ(予想変動率)の低下とともに円キャリー取引が再開してもおかしくないだろう。
(予想レンジ:156.000~166.000円)

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uehara.jpg 外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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