執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年7月26日 15時00分
英中銀は9月利下げ期待強まるかどうかがポイント、ユーロは日銀次第か
ユーロ/円・ポンド/円、急落も下げ幅限定
世界的に株価が不安定だったほか、日銀の金融引き締め観測の高まりから、積み上がっていた円売りポジションの巻き戻しが進みました。ユーロ/円は171.60円付近から164.822円、ポンド/円は203.60円付近から195.855円までそれぞれ下げ幅を広げました。ただし、取引一巡後は株価の下落が一服したことで、ユーロ/円、ポンド/円は小幅に下げ幅を縮小させました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、円全面高 ①円急騰理由 ②円の買い手は誰 ③これは買い場か? (2024年7月25日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ユーロ圏、成長停滞続く
ECB理事会を通過し、目先は新たなデータの蓄積を待つ状況のため、独自材料不足の感は否めません。来週はユーロ圏4-6月期GDPが発表されます。18日のECB理事会時にラガルド総裁が「成長へのリスクは下向き」と述べていることもあり、予想を下回る結果には警戒が必要と思われます。成長ペースが鈍いようなら、ECBの追加利下げへの期待も強まり、ユーロへは下向きバイアスが高まるかもしれません。とはいえ、ユーロ/円を始めとするクロス円は日銀会合次第で、この先の方向性が大きく変化する可能性があり、日銀会合の結果を見極めるまでは動きづらいかもしれません。
ユーロ/円は、下ヒゲの長いローソク足が出現しているものの、その次の足は上値を抑えられ、やや気迷い気味の感じです。目先は、次なる方向を摸索する展開のようで、上下両方向を見据えた感じになるのではないでしょうか。上方向は、日足一目基準線の170.123円、下方向は200日移動平均線(25日時点、163.950円)や心理的節目の160.000円が支持線・抵抗帯になりそうです。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:162.000-170.000
ポンド/円、英中銀後は荒れた展開も
8月1日に英中銀は金融政策委員会(MPC)を開催します。市場では、利下げが実施されるとの見方を5割程度織り込んでいます。ただし、コア消費者物価指数や週平均賃金が高止まりする状況で、利下げに踏み切るかは判断が分かれます。利下げがあれば、織り込みが浅い分ポンド売りが強まりそうです。また、利下げがなかったときは、決定における投票行動が着目されます。前回2名だった利下げ支持の委員がどの程度増えるのかで、9月利下げへの期待度も変わってきそうです。9月利下げが近づいたと感じれば、ポンドの上値を重くする一方、9月利下げを織り込みにくいとの受け止め方が強まれば、ポンドは買い戻されそうです。何れにしても、英MPCの結果は注目されます。
ポンド/円は、日足一目均衡表の雲の下限で下げ渋る格好になっているものの、反発の勢いが限定され、上値の重さが意識されています。25日時点で191.415円を推移する200日移動平均線の存在から、ここからの下落スピードは限られそうですが、徐々に目線が下がっていきそうです。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:192.000-202.000
7/29 週のイベント:
一言コメント
来週に外国為替平衡操作の実施状況が公表されます。5.5兆円規模の介入と見られていますが、神田財務官の退任の日と重なることもあり、最後の最後まで気を抜けないかもしれません。
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