総括
FX「ムーディーズが2段階格上げ、政策金利は据え置きか」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.2-5.2
*ムーディーズが2段階格上げ
*今夜、政策金利決定
*介入通貨の円と最下位争い続く
*リラ切り下げの考えを否定
*IMFは成長見通し引き上げ
*経済指標は、力強さがない
*カラハン中銀総裁とシムシェキ財務相がロードショー
*中国BYDがトルコ進出
*トルコの株価指数は世界で断トツの1位
*6月はCPI低下
*トルコは上海協力機構(SCO)の正式メンバーになることを望んでいる
*フィッチは2024年のトルコの成長率を上方修正
*5月月間予算黒字が過去最大に
*貿易・経常赤字は続く
*トルコには為替レートの目標はなく、インフレ抑制が主要目標
*海外投資家は、最も速いペースでトルコ国債を購入
(介入通貨の円と最下位争い続く)
年初来、円と最下位争いを演じている。今月は日銀の推定6兆円の円買い介入で一時最下位に落ちたが、現在はほぼ同率最下位。
株価(イスタンブール100指数)は年初来49.56%で世界で断トツの首位。10年国債利回りは28.15%。インフレはやや低下し、海外資金が流入していると言われているが、利回りの低下はまだない。本日は政策金利決定。
(ムーディーズが2段階格上げ)
ムーディーズは7月19日、トルコの格付けを「B3」から「B1」に2段階引き上げた。
統治の改善、金融政策の引き締め姿勢、インフレ抑制の進展を理由に挙げ、見通しを「ポジティブ」に維持した。ムーディーズがトルコの格付けを引き上げるのは10年以上ぶりとなった。
エルドアン大統領の下、シムシェキ財務相と中銀は昨年からインフレ抑制のために金融・財政政策を引き締め方向に転換してきた。5月に年率75.45だったインフレ率は6月には71.6%に下がり、ピークは過ぎたとみられている。
シムシェク財務相は「格付けの上昇は経済の均衡、対外資金調達の必要性の減少、外貨準備高の増加、そしてディスインフレの進行によって影響を受けた」と述べた。
また、マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金対策を監視する国際組織、金融活動作業部会(FATF)は6月、トルコを「グレーリスト(監視強化対象国・地域)」から除外した。
3月にはフィッチもトルコの信用格付けを「B」から「B+」に引き上げ、見通しを安定からポジティブに引き上げた。一方、S&Pも格付けを「B」から「B+」に引き上げ、見通しをポジティブとしている。
(今夜、政策金利決定)
エコノミスト26人全員が今月の会合で政策金利が50%に据え置かれると予想した(ただトルコの金利決定はサプライズがよくあることを頭の隅に置きたい)。
中銀はエルドアン大統領の支持を受けて昨年6月以来、政策金利を計41.5%
引き上げた。中銀はインフレが恒常的に低下するまで政策金利を50%に維持し、引き締め的な金融政策を続ける方針を示している。6月には年後半にインフレの低下が見込まれると改めて強調していた。
本格的な金融緩和は来年以降になる見込みだ。政策金利の変更は2025年1月までは行われないと予想している。
(トルコは輸出が回復していると見て、リラ切り下げの考えを否定)
ボラト貿易大臣は先週、トルコの輸出について楽観的な見方を示し、輸出は回復し10%増加する可能性がある一方、輸入は減少すると予想した。
また、トルコリラを継続的に切り下げることで競争力を獲得するのは不可能だと強調し、通貨切り下げの継続的実施という考えを否定した。政府には為替レートの目標がないことを想起した。
大臣は、トルコリラが過大評価されているとする輸出業者の苦情にも対処した模様だ。「トルコリラを継続的に切り下げることでは競争力は得られない。経済は複雑なバランスのシステムであり、あらゆる分野の需要に応えなければならない」と語った。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
円買い介入で一時3σ下限まで下落
日足、7月3日のボリバン2σ上限越えから3σ下限へ下落、そこから小反発。雲の下。7月18月-22日の上昇ラインがサポート。7月17日-22日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、7月8日週が4週ぶり陰線となってから低迷。3月11日週-7月15日週の上昇ラインがサポート。7月1日週-8日週の下降ラインが上値抵抗。
5週線下向き、20週線上向き。
月足、2σ下位で推移。3月-4月の上昇ラインがサポート。12月-5月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。再び円との熾烈な最下位争いとなってきた、現在はリラと円は同率最下位。
メルハバ
IMFは成長見通し引き上げ
IMFは7月トルコのGDP成長予測を引き上げ4月の3.1%から3.6%に引き上げた。
トルコ経済は2024年1Qに前年比5.4%成長し、昨年4Qの4%の成長から加速した。
政府の2024年と2025年のGDP成長目標はそれぞれ4%と4.5%である。
IMFは、貿易や地政学的な緊張が再燃する中、インフレが長期化するリスクが残っていると警告した。
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