総括
FX「GNUの熱狂は一服、対米関係に注意」南アランド見通し
「通貨2位、株価16位」
「予想レンジ 南アランド円8.4-8.9」
(ポイント)
*ランドは年初来では2位も、7月は10位と弱い
*政策金利は8.25%で据え置き
*今週は6月消費者物価に注目
*IMF、南アの2024年の成長率予測を1%未満に維持
*国債のリスクプレミアムは高すぎる
*大統領の戦略的優先事項は
*外国人が南ア国債を2年ぶりのペースで購入
*財務長官が財政改革を明言
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も
*原子力計画に注力
*停電の改善は成長を高めるか
*中銀総裁はインフレ目標の引き下げを提言
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*中国と南アの関係は強化されている
*グレーリスト解除は来年か
(ランドは年初来では2位も、7月は10位と弱い)
円買い介入で南アランドは対円で下落。対ドルでは米金利の先週後半の下げどまりで下落。7月月間は10位、年間では2位。選挙後の統一政府(GNU)誕生の盛り上がりが一服した。
10年国債は海外からの資金流入で10%割れを継続、現在は9.65%、前月末は10.21%。南ア全株指数は年初来3.94%高、ANCが選挙で大敗し一時マイナス圏へ下落も巻き戻したが、先週は2.16%安。
(政策金利は8.25%で据え置き)
南ア中銀は政策金利を7会合連続で8.25%に据え置いた。インフレ懸念が残っていることが理由。ただ金融政策委員会メンバーのうち4人が金利据え置きを支持した一方、2人は0.25%ポイントの利下げを主張した。
中銀は全体的な消費者物価指数は、今後数四半期で4.5%を下回ると予想している。
(今週は6月消費者物価に注目)
今週は6月消費者物価(CPI)と卸売物価(PPI)の発表がある。CPIは前年比で5.1%の上昇予想、5月は5.2%。PPIは4.5%の上昇予想、5月は4.6%。
(IMF、南アの2024年の成長率予測を1%未満に維持)
IMFは南アの2024年の成長率予測を1%未満に維持した。物流部門や電力供給の改善、計画停電の停止にもかかわらず、南アの国内総生産(GDP)は今年0.9%成長するだろうと述べた。2025年について、南アのGDP成長率は4月と同じ1.2%にとどまると予測した。
(最近の停電改善は考慮されていないようだ)
(国債のリスクプレミアムは高すぎる)
フィデリティは、ラマポーザ大統領が経済成長促進に向けた5カ年計画を発表した後、南ア国債のリスクプレミアムは高すぎると述べた。
「地方債の評価には依然としてリスクプレミアムが大きすぎる」と、政府の財政健全化への取り組みに対する疑念を原因として挙げた。
「マクロ面では、成長率はさらに高まり、財政指標は改善し、インフレ率はさらに低下すると考えている」と述べた。
南ア国債利回りは、ラマポーザ大統領率いるアフリカ民族会議が5月29日の総選挙で30年ぶりに議会の過半数議席を失って以来、すでに約125ベーシスポイント低下している。大統領は、連立政権発足後初となる主要な政策演説で、財政規律、官僚主義の排除、大規模なインフラ投資を約束するなど、企業に優しいメッセージを発した。
「今後の道のりは容易ではなく、今後いくつかの困難に遭遇する可能性も高いが、我々はこの先の国の方向性について楽観的だ。極端なテールリスクは取り除かれた」フィデリティは加えた。
テクニカル分析(ランド/円)
2σ下限から3σ下限まで下落し小反発
日足、2σ下限から3σ下限まで下落し小反発。ボリバン下位。7月18日-19日の上昇ラインがサポート。7月17日-19日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
週足、4週連続で陰線。ボリバン上位。6月10日週-7月15日週の上昇ラインがサポート。7月8日週-15日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、7月陰転。2σ上限。4月-6月の上昇ラインがサポート。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。今年は円を大きく引き離す。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。
喜望峰
戦略的優先事項
ラマポーザ大統領、今後5年間の包括的な成長と発展に向けて、経済成長の促進、貧困との闘い、有能な開発国家の建設に重点を置くと述べた。
ラマポーザ大統領は、鉄道、道路、水道、電力など、さまざまな分野の遅れを解消し、共同プロジェクトのために民間部門からの投資を引き出すためにインフラ開発を活用することを約束した。
「我々は包括的な経済成長を統一政府の仕事の中心に据え、国家の最重要課題にすることを決定した」と彼は述べた。「GNUは持続可能で急速な経済成長に貢献するあらゆる行動を追求し、成長の妨げとなるあらゆる障害を取り除くつもりだ」と加えた。
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。