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共通点と相違点から考えた「投資」と「ギャンブル」の違い

 

(画像=PIXTA)

以下の取材記事は金融ライターK氏が執筆したものです。その内容について当社が保証するものではありません。

 「宝くじ」は「ギャンブル」です。当たれば一攫千金ですが、ハズレは紙クズです。
でも「損をしそうで怖い」なんて話を聞いたことがありません。それに対して、FXや株式投資は、「大損しそうで怖い」とか、「危ないからやらない」とか、「ギャンブル」ではないのに、「ギャンブル」扱いされることがあります。
こうした誤解はなぜ起きるでしょうか。

胴元が儲かるのがギャンブル

 公営ギャンブルの中で一番ギャンブル性が高いのは「宝くじ」でしょう。国内最大規模の「年末ジャンボ宝くじ」の1等賞は7億円。大卒サラリーマンの生涯年収は約2.7億円(※1)ですから、2倍以上の賞金が1枚300円のくじで獲得できるかもしれません。
 
 ただし「年末ジャンボ宝くじ」の発行枚数は4億6,000万です。そのうち1等賞は23枚なので、7億円が当たる確率は2000万分の1、割り算してみると0.00000005です。7等賞までありますが、ほとんどの購入者の「お目当て」は1等賞でしょう。でも、この確率を見たら、「一生買い続けても当たらないだろうな」って思いませんか?  
 おまけに、2022年の宝くじ当選金額の還元率は50%以下(※2)でした。どういうことかというと、半分以上が主催者(胴元)である地方自治体の収益になったり、宝くじの印刷代などの経費に使われたりしたということです。競馬や競輪、ボートレースなどは払戻率(還元率)が70%〜80%です。参加者に分配される資金が一番少ないのは宝くじなのです。

 

 もちろん、宝くじの収益は社会福祉や地域復興など社会に役立つ公共事業に使われてきました。だから、「”ハズレ”くじがムダになった」というつもりはありません。しかし、宝くじでも、競馬、競輪、ボートレースでも、ギャンブルには必ず胴元がいて、最初に収益や経費を引いて、残ったお金を参加者が分け合います。つまり、ギャンブルから得られる利益は、参加者全員が支払った金額よりも必ず少なくなります。
ギャンブルとは「胴元だけが必ず利益を得られる『ゲーム』」なのです。

(※1 特立行政邦人労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計(2022年版)」) (※2 日本宝くじ協会公表の2022年度の内訳より。
年間売上8,324億円に対し当選金額は3,904億円で46.9%)

株券は紙クズにならない

 これに対して株式投資は投資家全員が利益を得る可能性があります。企業は胴元ではないので、投資家のお金は収益になりません。設備投資や新規ビジネスに利用されます。業績UPで株価が上昇すれば、株主に利益が発生しますし、配当金が出るかもしれません。その場合、株式を持つ投資家全員の損益合計はプラスになります。この点は「ギャンブル」とまったく異なります。
 
 「会社が倒産すれば株券は紙クズになるじゃないか」という人がいます。確かにその可能性は否定できませんが、経営者は株主のために企業価値を高める責任を負っていますので、業績改善の企業努力が期待できます。また、株主は株主総会を開催して経営者を交代させることもできます。このように株価を高めるさまざまな手立てがある点で、宝くじとはまったく違います。

FXには胴元がいない

 それではFXはどうでしょうか。「FXは『丁半博打』と同じだろう」という人がいます。レバレッジの効くFXは「ハイリスク・ハイリターン」という特徴から、しばしば「投資はギャンブル」の事例のように使われてきました。
 FXは基本的に為替相場のレート変動の予測に基づき、売買で利益獲得を狙う金融商品です。たとえば、上昇相場で外貨を買って利益を出した人の「裏側」では、外貨を売って損を出した人もいます。損益が「表裏一体」であることが、そうした誤解の一因なのかもしれません。

 中には「損した分はFX会社の利益になるんだろう」と思っている人もいますが、それはまったく違います。FX会社は胴元ではなく、投資家と為替相場の間を取り持つ「仲介者」に過ぎません。「FX会社の収益の内、スプレッドと呼ばれる通貨の売買価格の差分があります。取引通貨にもよりますが、たとえば、取引量の多いドル/円のスプレッドは0.2銭原則固定(例外あり)※A と極めてわずかです。

※A本広告は『外貨ネクストネオ』における1,000Lot以下のスプレッドを表示するものです。
国内外の休日や平日早朝など市場の流動性が低い時間帯、主要経済指標の発表前後、ならびに天災地変または金融・経済関連の重大事件など予期せぬ突発的事象の発生時には、一時的にスプレッドを広告表示値よりも拡大する場合があります。
当社のスプレッド表記は、提示率(全取引時間中に占める広告表示値以下のスプレッド提示時間の割合)を基に算出しております。
本広告では、1pip=0.0001(米ドル、スイスフラン、豪ドル、英ポンド、カナダドル、NZドル)、1pip=0.001(トルコリラ)として表現しております。
提示スプレッドにつきましては、当社の都合により予告なく変更または中止する場合があります。
なお、ダイレクトカバーの対象となる注文(詳細はこちら)に適用されるスプレッドは本広告の対象外です。
当社広告表示値スプレッド(1,000Lot以下)の提示実績は、こちら(PDF)をご参照願います。
また、大口スプレッド(詳細はこちら)の提示実績は、その適用数量帯にかかわらず、該当時間帯における1,000Lot以下のスプレッドの提示実績に同じです。

知識や経験が生かせるのが投資

 それに投資は習得した知識や過去の経験が生かせる点で、ギャンブルとは大きく異なります。たとえば株式投資は業界の動向や企業の業績、財務分析を行うことで、企業の株価予測が可能です。
 
 FXも政治・経済動向、政策金利の違い、政府要人の発言などのファンダメンタルズ分析や、過去の値動きから相場トレンドやパターンを予測するテクニカル分析で、相場予測が可能です。また、自分の予想が外れたときに備えて、「損切り」注文を出し、損失リスクを低く抑えることもできます。
 
 しかし、宝くじは回転する7つの円盤上の0から9までの数字を狙って放たれた矢の行方で当選が決まります。ギャンブルとは「運任せ」なのです。

投資がギャンブルと混同される理由

 それなのに投資がギャンブルと混同されてしまうのは、両者が(1)「成功すると利益が得られる」(2)「失敗すると資金を失う」という「損得」の話だからでしょう。
というのも、人間は「損得勘定」を働かせる状況になると、合理的な判断ができなくなるからです。これは「行動経済学」の「プロスペクト理論(※3)」で明らかにされています。

(※3 心理学者ダニエル・カーネマンと心理学者・行動経済学者エイモス・トベルスキーが1979年に提唱した行動経済学の理論。
2002年にノーベル経済学賞を受賞している)

確率を正確に認識できない

 プロスペクト理論によると、人間は損得の判断において、確率を客観的に判断できなくなるそうです。関数グラフのように、約35%で人間の主観的確率と客観的確率は入れ替わります。簡単にいうと、確率が約35%よりも低ければ、確率を過大評価し、約35%よりも高くなると過小評価するのです。
 年末ジャンボ宝くじの1等賞は当選確率が0.00000005です。私たちが当選確率を過大評価してしまう領域に入ります。これが「一生買い続けても当たらない」確率が高い宝くじを、「自分だけはもしかしたら当たるかも?」と勘違いする理由なのです。

人間は「損失回避」を選択しがち

 また、人間は本質的に「損失回避的」な行動を優先するそうです。いわゆる「チキン利食い」はその典型でしょう。少しでも利益が出ていると、わずかな利益でも失いたくないとの気持ちから、本来はもっと多くの利益を取るべきタイミングまで待てずに、急いで利益を確定してしまうことがあります。
 
 反対に損失が出ていると、「損切り」することで損失額が確定してしまうのを嫌い、「損切り」すべき状況なのに、ポジションを持ち続けてしまうか、ある一定の金額を超えて損失が出ていると、少しでも早く取り返そうと、「ナンピン」を繰り返してしまうことがあります。
 
 このような非合理的行動の先にあるのは、「コツコツドカン」による大損失でしょう。大きな痛手を負えば、「投資は怖い」という気持ちが生まれても不思議はありません。

投資は資産を増やす行為

 大切なのは投資が「資産を増やすための行為」ということです。そして、知識や経験で利益獲得の確率を高めることができるということです。行動経済学の理論に基づいた「早めの損切り」や「ナンピンを繰り返さない」など、損失リスクを低く抑える運用も可能です。
 
 これに対してギャンブルは、「あるものを賭けて、より価値のあるものを手に入れる行為」であり、心理学の研究から、ギャンブルによって人間は「期待感」や「達成感」が得られることがわかっています。競馬や競輪などが高い人気を集めているのは、そうした「喜び」が得られるからです。それが高じて「ギャンブル依存症」という病に罹ってしまう人もいます。しかし、宝くじの事例からもわかるように、ギャンブルによる利益獲得は、ほとんど偶然に支配されています。だから、あくまでも「レジャー」の範囲で楽しむべきなのです。
 本当に資産を増やしたい人が選択すべきなのは投資です。「運」に頼らず、毎年宝くじの購入に使う1万円で積立投資をしていたら、30年後にどうなっているでしょうか?ぜひ一度、興味のある金融商品で計算してみてください。
(本文ここまで)

ライターK
大学卒業後、テレビ制作会社に勤務、NHKや民放局の報道番組でディレクターを務める。その後、出版業界に転じて金融・経済誌の編集者や記者として、政治・経済・金融などの記事制作に携わってきた。現在はフリーで活動中。FX歴は10年以上。実際にポジションを持って、FXトレーダーたちのトレード手法を確認する日々を送っている。