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7月5日の米国雇用統計の予想と戦略「米ドル/円、165円に向けて程よい押し目形成となるか?米雇用は緩やかに減速」2024年7月号-By 外為どっとコム総研

米雇用統計!直前予想&トレード戦略(2024年7月5日(金) 12:00~13:00)

雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2024年7月5日(金) 21:00~23:00)

 

更新日時:2024年7月8日 15時10分(データを更新)

執筆日時:2024年7月3日 12時15分 

執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人

7月5日の米国雇用統計の予想と戦略「米ドル/円、165円に向けて程よい押し目形成となるか?米雇用は緩やかに減速」2024年7月号-By 外為どっとコム総研

はじめに-米年内2回利下げ期待残存

2024年7月5日(金)、日本時間21時30分に米国で6月分の雇用統計が発表されます。米国の利下げを巡ってはサービス分野の需要鈍化が進展するかどうかが大切で、FRBもそれを待っている状況です。米消費が陰り始める中で、雇用の分野においても需要鈍化の進展が確認できれば、FRBの利下げが一歩近づくほか、年内2回の利下げ期待を補強するかもしれません。市場は今回の雇用統計を通じて利下げの道筋を見極めようと、注目しています。では振り返りからです。

前回のおさらい-米労働市場、強弱混在

・5月NFP、一転上昇
・失業率は悪化

6月7日に発表された、米国の5月非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の18.5万人増のところ、27.2万人増と予想を大幅に上回りました。また、時間給も前月比で0.4%と伸びが加速しました。一方で、失業率は4.0%へ悪化しました。結果を受けて、米国のソフトランディング期待が強まり、市場が織り込みつつあった年内の2回利下げ期待は後退しました。ただし、家計調査の就業者数が40.8万人減少していて、事業所調査と家計調査の乖離がさらに広がる格好になっており、ヘッドラインから受ける印象よりも労働市場は脆弱な可能性はあります。

図表1.分野別新規雇用者数(千人)出所:データ米国労働省
NFP表

指標後、155.43円付近だった米ドル/円は、156.59円付近へ急騰。その後も、4.43%付近まで上昇した米長期金利を支えにして157.072円までレンジ上限を広げました。かたや株式市場は金利高からさえない展開となり、ダウ平均株価は前日比87.18ドル安い38798.99ドルで終了しました。

図表2.前回発表前後のドル円の動き
USDJPY30分足チャート
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

今回の見どころ-民間部門の雇用者動向がカギ

・FRBの利上げ目線、ハードル高い
・再び軟化路線へ
・160円半ばでの押し目待ちたい

米国の労働市場を俯瞰してみれば、JOLTS求人件数、Indeed Job Posting Index、高頻度データの失業保険データからは労働市場が冷やされている様子が分かり、利上げの効果は継続しています。FRBが利上げ目線へ転じるのには現状、ハードルは高いように思われます。ただし、足もとのNFP(非農業部門雇用者数)が25万人前後で概ね横ばいとなっており、労働市場の鈍化が一服していることも気がかりです。ここから反転してくるようなら、FRBが利上げに舵を切る余地が少し広がることも考えられます。もっとも、米国の個人消費が減速する中でこれまでの鈍化ペースを取り戻すのなら、利下げ期待が進展する形になると見られ、結果に対して一喜一憂する展開が見込まれそうです。今回の雇用統計は、雇用減速の一服感が広がりFRBのインフレ警戒スタンスが高まるのか、それとも雇用減速のペースが進展してFRBを安堵させるのかがポイントでしょう。

図表3.JOLTS求人件数と新規失業保険申請件数の推移

データ表

出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成

では6月のNFPについてはどのようになるかですが、結論から言えば期待し過ぎない方が良いと考えています。下表は2014年から23年までの各月の政府部門と民間部門の季節調整前と調整後の雇用者数増減の平均を示しています。季節調整前では6月は政府部門が減少する一方、民間部門は増加する傾向が見て取れます。季節調整をすることで、こうした差異が薄められることは言うまでもありませんが、それでも政府部門がNFPを押し上げる効果は限定されると見られます。そのため、問題は民間部門の動向になりますが、消費活動が冷やされる中で足もとの失業保険のデータやIndeed Job Posting Indexなども悪化しており、雇用者数の増加ペースは減速が示唆されるのではないかと考えています。

図表4.政府部門と民間部門の雇用者数増減

データ表

2014年から23年の各月の雇用者数増減を単純平均
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成

また、時間給についても4月にさえなかった反動で5月が上がったものと見られ、全体的には伸びは落ち着いています。そのため、今月は5月からの反動で、前月比・前年比も伸びが減速するのではないでしょうか。これらの点を踏まえると、米雇用情勢は、減速傾向が続きFRBによる利下げ開始を補強する結果になるのではないかと考えています。

もっとも、米国の景気後退が見通しづらい中で日米の金利差が今後、急速に縮小していくような展開も想定しづらく、米ドル/円の下げは政府・日銀の介入警戒が短期的に緩和される程度に留まり、下押し一巡後は再び下値を切り上げていきそうな雰囲気です。状況次第ですが、4月高値の160.219円をバックに160.70円付近からは押し目を買い拾いたいと考えています。ただし、ここを下抜けてくるようなら、一度撤退して159円台での底堅さを確認するまで、買い仕掛けは待ちたいです。

図表5.時間給とIndeed Wage Indexの推移

データ表

出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成

図表6.ドル円チャート
USDJPY日足チャート
米ドル/円 日足
出所:外為どっとコム「ネオチャート

付随データ

図表7.[雇用統計の実績と予想]

年月 非農業雇用者数変化(万人) 失業率(%)
予想値 初回結果 予想値 初回結果
2024年06 19.0 20.6 4.0 4.1
2024年05月 18.5 27.2 3.9 4.0
2024年04月 24.3 17.5 3.8 3.9
2024年03月 20.0 30.3 3.9 3.8
2024年02月 20.0 27.5 3.7 3.9
2024年01月 18.0 35.3 3.8 3.7

 

年月 平均時給/前月比(%) 労働参加率(%)
予想値 初回結果 初回結果
2024年06月 0.3 0.3 62.6
2024年05月 0.3 0.4 62.5
2024年04月 0.3 0.2 62.7
2024年03月 0.3 0.3 62.7
2024年02月 0.3 0.1 62.5
2024年01月 0.3 0.6 62.5

 

◇関連の経済データ実績

年月 ISM製造業雇用指数 ISM非製造業雇用指数
2024年06 49.3 46.1
2024年05 51.1 47.1
2024年04月 48.6 45.9
2024年03月 47.4 48.5
2024年02月 45.9 48.0
2024年01月 47.1 50.5

出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー

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