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ポンド/円・豪ドル/円の7月見通し「クロス円は歴史的高値圏 英豪の金融政策に注目」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のポンド/円ポジション動向
・7月の英国注目イベント
・ポンド/円 7月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月の豪ドル/円ポジション動向
・7月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 7月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 6月の推移

6月のポンド/円相場は197.196~203.584円のレンジで推移し、月間の終値ベース約1.5%上昇した(ポンド高・円安)。メキシコやインドの市場が選挙結果を受けて混乱したことで円買いが先行したものの、197円台前半で下げ止まると、その後は日英金利差を意識したポンド買い・円売りが優勢となり緩やかに上値を切り上げる展開となった。14日にはフランスの政局不安によるユーロ安につれる場面もあったが、ユーロ/ポンドの下落を支えに下げ渋った。その後も、7月4日の英総選挙に関する世論調査で与党・保守党の大敗が示唆されたがポンドの逆風にはならず、円安主導で上昇が続いた。20日には英中銀(BOE)が政策金利の据え置き(利下げ見送り)を「微妙なバランス」で決めたことも明らかになったが、日銀は円安抑制に向けて積極的な金融引締めに動けないとの見方が広がる中で対円でのポンド安はきわめて限定的だった。なお、6月のポンドは対ドルで約0.8%下落した一方、対ユーロでは約0.5%上昇した。ポンド/円の1.5%の上昇は概ね円安によるものだったと見られ、28日には203.58円前後まで上伸して2008年8月以来の高値を付けた。

始値 高値 安値 終値
200.198 203.584 197.196 203.425

出所:外為どっとコム

4日
インド総選挙で圧勝が予想されていたモディ首相率いる与党が一転して苦戦を強いられていることが伝わると前日に史上最高値を付けていたインド株が8%超急落。メキシコに続く選挙後の新興国市場の混乱を受けて投資家心理が悪化した。

11日
英5月失業率は4.3%、同失業保険申請件数は5.04万件といずれも前月(4.1%、0.84万件)から悪化。英2-4月の国際労働機関(ILO)基準失業率も4.4%に悪化した(予想、前回ともに4.3%)。英2-4月の週平均賃金(ボーナスを除く)は前年比+6.0と市場予想(+6.1%)に届かず、伸び率は前回から横ばいだった。

12日
英4月国内総生産(GDP)は前月比±0.0%と市場予想(-0.1%)をやや上回った。同鉱工業生産は前月比-0.9%(予想-0.1%)、同貿易収支は196.07億ポンドの赤字(予想142.00億ポンドの赤字)だった。

14日
欧州市場に入り、フランスの株価や国債価格が続落。同国の政治リスク・財政リスクを意識したユーロ売りにつれてポンドも下落した。なお、ルメール仏財務相はこの日、総選挙に向けて4党協力で合意した左派連合について「政策は完全に狂気だ。格下げと大量の失業、欧州連合(EU)離脱を保証するものだろう」と発言。

19日
英5月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.0%と、予想通りに2021年7月以来の水準に伸びが鈍化。食品やエネルギーなどを除いたコアCPIも予想通りに前年比+3.5%と2021年10月以来の低い伸びとなった。ただ、BOEが注目するサービスCPIは前年比+5.7%と前回(+5.9%)から鈍化したものの、市場予想(+5.5%)を上回った。世論調査で、スナク首相率いる英与党・保守党は7月4日の総選挙で大幅に議席を減らす公算が大きいことがわかった。世論調査によると保守党の獲得議席数は前回選挙が行われた2019年の365から大幅に減る見通し。一方、最大野党・労働党は地滑り的な大勝を収める見込みとのこと。

20日
BOEは予想通りに政策金利を5.25%に据え置くと発表。同時に公表した金融政策委員会(MPC)議事録では「7対2で据え置きを決定」したとして、前回と同じく「2人が0.25%の利下げを主張」したことが明らかになった。また、一部のメンバーから利下げ見送りの決定は「微妙なバランスに立つものだった」との指摘があったこともわかった。

21日
英5月小売売上高は前月比+2.9%と市場予想(+1.8%)を大幅に上回った。悪天候の影響などから大幅に落ち込んでいた前月の反動と見られる。英6月製造業PMI・速報値は51.4と市場予想(51.1)をやや上回った一方、同サービス業PMI・速報値は51.2と市場予想(53.0)を下回った。

28日
英1-3月期国内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.7%と速報値(+0.6%)から上方修正された。英1-3月期経常収支は210億ポンドの赤字で、赤字額は市場予想(176億ポンド)より多かった。

6月の各市場

6月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月の英国注目イベント

ポンド/円 7月の見通し

イギリスの総選挙は7月4日に投開票が行われる。各種世論調査の結果から、与党・保守党の敗北が確実視されており、労働党が政権を奪取する公算が高まっている。政権交代自体は市場も織り込み済みのため、ポンド相場に大きな影響はないと見られる。労働党のスターマー党首は公約の柱に「経済成長」を掲げているだけに、どちらかと言えば新政権への期待がポンド相場を下支えしそうだ。2022年のトラスショックが記憶に新しい中、新政権が拡張的な財政政策を採らないと見られることもポンド相場にとっては安心材料だろう。フランスのように政治リスクが英国市場を揺るがす可能性は低いと見てよさそうだ。一方で、不透明感が強いのは英中銀(BOE)の金融政策だろう。市場はBOEが次回8月1日の金融政策委員会(MPC)で25bp(0.25%ポイント)の利下げに踏み切る確率を50%~60%と見ており、利下げ開始を巡る見方は定まり切れていない印象が強い。BOEは6月MPCで利下げ開始の時期がそう遠くないことを示唆したが、BOEが重視するサービスインフレは早期の利下げを正当化しない5%台後半で高止まりしている。2-4月の週平均賃金が前年比+6.0%と依然高水準にあることを踏まえれば、今後サービスインフレが急低下することは考えにくい状況でもあろう。こうした中、7月のポンド相場はBOEの8月利下げ観測が強まればポンド安に振れやすく、利下げ観測が後退すればポンド高に振れやすいと見る。市場の利下げ観測を左右する材料として、17日の英6月消費者物価指数(CPI)や18日の英3-5月週平均賃金などが注目されよう。
(予想レンジ:198.500~207.500円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 6月の推移

6月の豪ドル/円相場は102.615~107.463円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.6%上昇した(豪ドル高・円安)。前半は、メキシコやインドの市場混乱などから上値の重い展開となったが、18日の豪中銀(RBA)理事会後に豪ドル高・円安が進んだ。RBAはインフレの上振れリスクに強い警戒感を示し、7月末に発表される4-6月期消費者物価指数(CPI)の結果次第では利上げを再開する可能性を示唆。日銀は円安を抑制するほどの強力な金融引き締めに転じることはできないとの見方が根強い中、日豪金利差を意識した豪ドル買い・円売りが強まった。26日に発表された豪5月CPIが上振れたことで4-6月期CPIも上振れするとの観測が浮上。RBAが8月にも追加利上げの可能性が出てきたとの見方から豪ドル/円の上昇が加速した。28日には2007年11月以来の107円台へと上値を伸ばして6月の取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
104.537 107.463 102.615 107.313

出所:外為どっとコム

4日
インド総選挙で圧勝が予想されていたモディ首相率いる与党が一転して苦戦を強いられていることが伝わると前日に史上最高値を付けていたインド株が8%超急落。メキシコに続く選挙後の新興国市場の混乱を受けて投資家心理が悪化した。

5日
豪1-3月期国内総生産(GDP)は前期比+0.1%と市場予想(+0.2%)を下回り10-12月期(+0.3%)から減速。前年比でも+1.1%と市場予想(+1.2%)および10-12月期(+1.6%)を下回る伸びにとどまった。

6日
豪4月貿易収支は65.48億豪ドルの黒字と、黒字額は市場予想(54.00億豪ドル)を上回った。輸出、輸入ともに減少したが輸入の落ち込みが予想以上に大きかったため貿易黒字が拡大した。

13日
豪5月雇用統計で失業率は予想通りに4.0%へ低下(前回4.1%)、新規雇用者数は3.97万人増と市場予想(3.00万人増)を上回った。

18日
RBAは市場の予想通りに政策金利を4.35%に据え置いた。声明では「経済見通しは依然として不透明で、最近のデータはインフレ率を目標に戻すプロセスがスムーズに進む可能性が低いことを示している」「最近のデータはまちまちだが、インフレ上昇リスクに引き続き警戒する必要があることが再確認された」などとして再利上げの可能性を排除しない姿勢を示した。ブロック総裁も、その後の会見で「インフレの上振れリスクを警戒している」と強調。「今回の会合で利上げを議論した」とした一方で「利下げは議論しなかった」と明らかにした。その上で「4-6月期の消費者物価指数(CPI)が重要になる」との認識を示した。

26日
豪5月CPIは前年比+4.0%と市場予想(+3.8%)を上回り、6カ月ぶりの高い伸びとなった。インフレの上振れリスクを懸念しているRBAが8月にも利上げを再開する可能性が出てきたとの見方も浮上した。なお、CPIの発表前にRBAのケント総裁補は「インフレ抑制に向けて必要なら追加引き締めも排除しない」と発言していた。

6月の各市場

6月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 7月の見通し

欧米の中銀の多くが利下げを模索する中、豪中銀(RBA)はインフレ動向次第で利上げ再開の目を残す特異な中銀と言えるだろう。市場にとってRBAの姿勢が相対的にタカ派に見えることから、6月の豪ドルは主要通貨の中で最も上昇した。日銀も利上げを模索している数少ない中銀ではあるが、仮に利上げしても本格的な金融引き締めへの転換ではなく円安対策を主眼とする小手先の政策修正に過ぎないとの評価が定着しているだけに、円安の流れは止まりそうにない。こうした状況を踏まえると、7月の豪ドル/円相場は一段高となる可能性があろう。もっとも、RBAが次回8月に利上げを再開するか否かについては、現時点で不透明と言わざるを得ない。実際に、市場の利上げ織り込みも2割程度にとどまっている。ハウザーRBA副総裁は6月27日、5月消費者物価指数(CPI)が半年ぶりの高い伸びになったことについて「1つの数値に基づいて政策を定めるのは大きな間違いだ」として、市場の利上げ期待を事実上けん制した。8月の会合までに雇用、小売売上高、企業調査などさらに多くのデータが発表されるとも述べており、複数のデータを確認した上で金融政策を決定する姿勢を示している。これらのデータが揃って利上げを正当化するハードルは相応に高そうだ。仮にこれらのハードルをクリアしても、31日には豪4-6月期CPIという難関が待ち受けている。RBAは6月末時点のインフレを3.8%と予測していることから、4-6月期CPIがこれを大きく上回らなければ、市場の利上げ期待は高まりにくい。なお豪1-3月期CPIは前年比+3.6%であった。そのほか、11月の米国大統領選でトランプ氏が返り咲きを果たす可能性が上昇している点も豪ドルの重しとなる可能性がある。トランプ氏は中国への関税強化を仄めかすなど、「中国叩き」の姿勢を隠さない。中国と経済的な結びつきが強い豪州にとってもマイナス材料と受け止められかねないだろう。7月の豪ドル相場は、RBAの利上げの可能性と、トランプ氏の米大統領返り咲きの可能性を睨んで不安定な値動きとなる場面が増えそうだ。
(予想レンジ:103.500円~110.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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