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ユーロ/円の7月見通し「史上最高値を更新中 仏政局不安は後退」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のユーロ/円ポジション動向
・7月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 7月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 6月の推移

6月のユーロ/円相場は167.516~172.444円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約1.0%上昇した(ユーロ高・円安)。メキシコやインドの市場混乱を受けて円キャリー取引の巻き戻しと見られるユーロ売り・円買いが先行。その後もフランスの総選挙実施が決まり政局不透明感と財政悪化への懸念が広がったことからユーロの軟化が続き14日には1カ月ぶりに167.52円前後まで下落した。ただ、17日に仏極右政党・国民連合(RN)のルペン氏が、選挙で勝利してもマクロン大統領に協力する姿勢を示したことで過度な政局不安は後退。その後もユーロの上値は重かったが、月末にかけて円売り主導で反発した。日銀は14日に金融政策決定会合で、国債買い入れの減額を事実上7月に先送りした。24日には金融政策決定会合における主な意見で追加利上げに前向きな姿勢をやや強調したが、仮に日銀が利上げしても他国との金利差縮小はごくわずかにとどまるとの見方から円売りに歯止めはかからなかった。日本政府からは円買い介入を示唆する円安けん制発言も相次いだが、介入は一時的な効果しか見込めず、円安基調は変わらないとの見方が広がる中で円買いの反応はほぼ見られなかった。

始値 高値 安値 終値
170.501 172.444 167.516 172.373


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

4日
インド総選挙で圧勝が予想されていたモディ首相率いる与党バラティヤ・ヤナタ党(BJP)が一転して苦戦を強いられていることが伝わると前日に史上最高値を付けていたインド株が8%超急落。前日のメキシコに続く選挙後の新興国市場の混乱を受けて投資家心理が悪化した。

7日
欧州中銀(ECB)は予想通りに主要政策金利を25bp(0.25%ポイント)引き下げて4.25%とした。声明で「インフレ目標を達成するために必要な期間、政策金利を十分に制限的な水準に維持する」と表明した。また、スタッフ予測で2024年と2025年のインフレ見通しを上方修正。市場は「タカ派的な利下げ」と受け止めユーロが上昇した。ラガルド総裁はその後の会見で「きょうから利上げを巻き戻す段階に移行するのかと聞かれれば、そうだとは言わない。非常に不確実なのは、我々が進むスピードとそれに要する時間だ」などと発言。ECBは引き続き、会合ごとのアプローチを取るとした上で「特定の金利の道筋をあらかじめ約束しない」と強調した。

10日
フランスのマクロン大統領は、9日に行われた欧州議会選挙で極右政党が大勝する見通しとなったことを受けて議会下院を解散し、今月末に選挙を行うと発表。マクロン大統領としては、国政選挙で勝利し、極右政党の影響力を抑えたい狙いと見られるが、地元メディアからは「危険な賭けだ」という指摘が出ていた。フランスの政治情勢を巡る懸念からユーロは前週末の終値を下回る水準で取引が始まった。ただ、ラガルドECB総裁が、前週の利下げの決定について「金利が直線的な低下軌道にあることを意味するものではない」と指摘し「政策金利はあらかじめ決められた軌道にあるわけではない」との見解をあらためて示したことでユーロは持ち直した。

11日
今月末に行われるフランス総選挙に関する世論調査で極右政党・国民党(RN)の支持率がマクロン大統領率いる与党連合を大きく上回る中、ユーロが下落。一部の欧州メディアはマクロン大統領が選挙結果次第で辞任する可能性を協議したと報じた。ただ、関係者はこの報道を否定した。

14日
ルメール仏財務相はこの日、総選挙に向けて4党協力で合意した左派連合について「政策は完全に狂気だ。格下げと大量の失業、欧州連合(EU)離脱を保証するものだろう」と発言。世論調査によると左派連合は、マリーヌ・ルペン氏率いる極右政党・国民連合(RN)に次ぐ第2勢力になり得ることが示唆されている。ルメール氏は極右・RNについても、総選挙で勝利すれば「金融危機のリスクに直面する」と警告。なお、RNは電気料金の値下げ、ガスの付加価値税(VAT)引き下げ、公共支出の拡大を公約に掲げている。

18日
独6月ZEW景気期待指数は47.5と前回(47.1)から小幅に上昇し、11カ月連続で改善したものの市場予想(50.0)には届かなかった。

19日
EUの行政執行機関である欧州委員会はフランスやイタリアなど域内の7カ国に対し、財政規律違反の是正を求める「過剰赤字手続き」を開始。7カ国の財政赤字が域内で定める対国内総生産(GDP)比3%という上限を超えているとし、是正措置を義務づける。7カ国は9月20日までに今後4年間の歳出純増の上限を約束する中期計画を提出する必要がある。欧州委員会は11月までこれを精査した上で、財政収支を均衡させるためにとるべき財政の道筋を規定する。

21日
独6月製造業PMI・速報値は43.4、同サービス業PMI・速報値は53.5といずれも市場予想(46.4、54.4)に反して前回(45.4、54.2)から低下。独6月PMIに前後して発表された仏6月PMI・速報値とユーロ圏6月PMI・速報値も同様に悪化した。

24日
独6月IFO企業景況感指数は88.6と市場予想(89.6)に反して前回(89.3)から低下。ドイツ企業の景況感は5カ月ぶりの悪化となった。発表元のIFO経済研究所は「ドイツ経済は停滞を乗り越えるのに苦戦している」との見解を示した。

6月の各市場

6月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

7月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 7月の見通し

 6月30日に投開票されたフランス総選挙の第1回投票は、下馬評通りに極右政党・国民連合(RN)が最も多くの票を獲得。マクロン大統領が率いる与党連合は、左派連合・新人民戦線(NFP)にも後塵を拝する形で第3勢力にとどまる見通しとなった。ただ、開票速報が伝わった1日の東京市場ではフランスの政局を過度に不安視する様子は見られない。このまま行けば、フランスでは大統領の所属政党と議会第1党が異なる「コアビタシオン」となる見通しだが、7日の決選投票を経てRNが単独過半数議席を獲得するのは微妙な情勢とされている。RNの議会勢力が半数以下にとどまれば、警戒したほどの混乱は生じないとの見方が多いのかもしれない。RNが政権を取っても2027年の大統領選を見据えて過激な政策は慎むとの観測が浮上していることもあって、市場は2022年に英国で起きた「トラスショック」(当時のトラス首相が打ち出した大規模減税と国債増発を巡りポンドが急落)の二の舞いには避けられるとの見方に傾いているようだ。念のため7日の決戦投票の結果を確認する必要はあろうが、フランスの政局リスクを背景にユーロが大きく下落する可能性は低下したと考えられる。
 そうなると、市場の関心は欧州中銀(ECB)の金融政策へと移っていくだろう。1日時点でECBが7月18日に25bp(0.25%ポイント)の利下げを行う確率(金利先物市場の織り込み度)は10%程度と低い。とはいえ、仏・独の景況感悪化を背景にユーロ圏の6月PMI(総合)が8カ月ぶりに前月から低下するなど、域内の景気回復に息切れ感が出ている模様だ。7月の利下げは見送るにしても、声明にはハト派勢力の利下げ要求が滲む可能性があるだろう。9月利下げの織り込みは現状、6割程度にとどまっている。7月理事会を経てこの織り込みが上昇すれば、史上最高値を更新中のユーロ/円もさすがに上値が重くなりそうだ。 
(予想レンジ:168.000~176.000円)

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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