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ドル/円の7月見通し「月末に日米金融政策 リスクはドル高・円安」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 6月の推移
・6月の各市場
・6月のドル/円ポジション動向
・7月の日・米注目イベント
・ドル/円 7月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 6月の推移

6月のドル/円相場は154.536~161.274円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約2.3%上昇(ドル高・円安)した。メキシコとインドの選挙を受けた両国市場の混乱を背景に、円キャリートレードの手仕舞いと見られるドル売り・円買いが先行。しかし、154円台で下げ渋ると米5月ISM非製造業景況指数(5日)と米5月雇用統計(7日)の好結果を受けてドル買い主導で反発した。その後も、12日の米5月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことで反落するなど、一時的に弱含む場面はあったが、同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内の利下げ見通しが3回から1回に修正されたことからドルの下値は堅かった。これ以降は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ後ずれ観測が広がる中、米5月小売売上高(18日)など米経済指標に冴えない結果が混じってもドルが大きく下落することはなかった。フランスの政局不安やユーロ圏6月PMI(21日)の冴えない結果を受けてユーロが軟調だったことも想定的にドルを押し上げた。一方、円については日銀が24日に発表した6月金融政策決定会合における主な意見で追加利上げに前向きな姿勢をやや強調した他、財務省筋などが度重なる円安けん制発言を行ったが、円売りは収束しなかった。28日の東京市場では1986年以来の1ドル161円台に乗せる場面もあった。

始値 高値 安値 終値
157.147 161.274 154.536 160.892


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

3日
米5月ISM製造業景況指数は48.7と予想(49.5)に反して前回(49.2)から低下。構成指数では新規受注が45.4へと急低下(前回49.1)したほか、仕入価格も57.0へ低下した(前回60.9)。一方、雇用は51.1へと上昇した(前回48.6)。

4日
インド総選挙で圧勝が予想されていたモディ首相率いる与党が一転して苦戦を強いられていることが伝わると前日に史上最高値を付けていたインド株が8%超急落。メキシコに続く選挙後の新興国市場の混乱を受けて投資家心理が悪化した。米4月JOLTS求人件数は805.9万件と市場予想(835.0万件)を下回り、2021年2月以来の水準に減少した。

5日
米5月ADP全国雇用者数は15.2万人増と市場予想(17.5万人増)を下回り、4カ月ぶりの低い伸びとなった。一方、米5月ISM非製造業景況指数は53.8と市場予想(51.0)を上回り、2023年8月以来9カ月ぶりの水準に上昇。構成指数では新規受注と雇用が前月から上昇した一方、仕入価格はやや低下した。

7日
米5月雇用統計は、非農業部門雇用者数が27.2万人増と市場予想(18.0万人増)を上回った一方、失業率は4.0%と前月から横ばいの市場予想(3.9%)に反して2022年1月以来の水準に悪化。平均時給は前月比+0.4%、前年比+4.1%といずれも市場予想(+0.3%、+3.9%)を上回る伸びとなった。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は前月から0.2%ポイント低下の62.5%、フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)は前月と変わらず7.4%だった。

12日
米5月CPIは前月比±0.0%、前年比+3.3%といずれも市場予想(+0.1%、+3.4%)を下回った。食品とエネルギーを除いたコアCPIも前年比+3.4%と予想(+3.5%)を下回った。FOMCは予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。声明では「インフレ率はこの1年で緩和したが、依然高止まりしている」としながらも「ここ数カ月間、2%のインフレ目標に向けた緩やかな一段の進展が見られた」として、前回の「この数カ月間は進展が見られなかった」との文言を修正した。経済・金利見通しでは2024年と2025年のインフレ見通しを上方修正した上で、年内の利下げは1回のみとする予測を示した(前回は3回)。パウエルFRB議長はその後の会見で、5月CPIについて「きょう発表された指標は前向きなもので、今後のデータがどのようなものになるか、傾向を見極める必要がある。われわれはインフレ率が2%に持続的に低下することを確信できる指標を求めており、1つのデータだけで動こうとするのは避けたい」と述べた。

14日
日銀は大方の予想通りに政策金利を0-0.10%に据え置いた。一方で、事前に報道で伝わっていた国債買い入れの減額については「次回金融政策決定会合において、今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定する」として事実上先送りした。植田総裁は記者会見で「国債買い入れの減額は『相応の規模』になる」との見解を示した。為替相場については「最近の円安の動きは物価の上振れ要因であり注視している」とした。また、次回会合での利上げの可能性について「経済・物価情勢次第で当然あり得る」と述べて否定しなかった。

18日
米5月小売売上高は前月比+0.1%と市場予想(+0.3%)を下回った。変動の大きい自動車を除いた売上高は前月比-0.1%と予想(+0.2%)に反して減少した。国内総生産(GDP)の推計に用いられるコア売上高(自動車、ガソリン、建材、外食を除く)は前月比+0.4%だった(市場予想+0.5%)。その後に発表された米5月鉱工業生産は前月比+0.9%と市場予想(+0.3%)を上回った。

20日
米財務省は半期に一度の為替報告書を発表。為替操作をしていないか注視する「監視リスト」に日本を追加した。2023年の日本の対米貿易黒字が624億ドルと高水準だったことと、経常黒字の国内総生産(GDP)比率が3.5%だったことがリスト入りの理由とした。

6月の各市場

6月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

7月の日・米注目イベント

ドル/円 7月の見通し

 7月のドル/円相場の最大の焦点は、月末に予定されている日米金融政策イベントになりそうだ。31日に日銀と米連邦公開市場委員会(FOMC)が揃って金融政策を発表する。日銀は前回予告済みの国債買い入れ減額を発表すると見られ、植田総裁が述べた「相応の規模」の減額がどの程度になるか注目される。現在の買い入れは月6兆円を目安としており、これを5兆円前後に減額するとの見方が多いようだ。もっとも、この先7月会合が近付くにつれて、報道各社から様々な観測報道が出ると考えられるため、それらの内容から市場は減額規模のコンセンサスを形成していくことになるだろう。さらには、追加利上げの有無も日銀会合の見どころになる公算が大きい。ただし、市場では今のところ国債買い入れの減額と利上げを同時に行う可能性は低いとの見方が多く、利上げは9月以降になるとの予測が優勢のようだ。仮に日銀の決定が国債買い入れの減額だけにとどまれば(それも市場コンセンサス通りなら)、円相場の押し上げ効果は限定的だろう。仮に、小幅な利上げとセットで実施しても、日米金利差の観点から強い円買い材料にはなりにくいと見る。
 一方、米国は政策金利も含めて金融政策の現状維持を決める可能性が高い。その次の9月会合での利下げ開始を示唆するかが最大の見どころとなるが、そのためには5日の米6月雇用統計や11日の米6月消費者物価指数(CPI)で雇用情勢と物価動向の軟化を確認する必要がある。ただ、その場合でもFOMCは7月分の雇用や物価のデータを確認したいとして、9月利下げを確約するとは思えない。仮に、6月の雇用統計やCPIが堅調であれば、市場では11月の米大統領選を前に政策変更を行う可能性は低いとの見方から9月利下げ観測が後退することになるだろう。
 これらを踏まえ、7月のドル/円はドルの趨勢がカギを握ると考えられる。米国の9月利下げ観測が維持されればややドル安・円高に振れると見られる一方、9月利下げ観測が後退すればドル高・円安に振れやすくなるだろう。現時点では、1ドル162円を超えてドル高・円安が進む可能性のほうが、7月の終値が160円を割り込むリスクよりも大きいと見ている。
(予想レンジ:157.500~164.500円)

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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