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FX「景気減速、粘着インフレ、財政赤字のトリレンマで一服、介入は」メキシコペソ見通し

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総括

FX「景気減速、粘着インフレ、財政赤字のトリレンマで一服、介入は」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.4-8.9

 (ポイント) 
*反発も雲に抵抗され3日連続陰線、5日線下向く
*政策金利は据え置きも、予想よりも弱い経済活動を示唆、中銀
*ペソ防衛介入はあるのだろうか
*シェインバウム次期大統領の説明や人事で市場は幾分落ち着く
*元米国務長官のポンペオ氏がメキシコの改革を批判
*選挙後の一連の混乱よりメキシコの経済の実情も理解したい
*ニアショアリングによる景気拡大基調は変わっていないが、1Qの景気減速が不安
*4Qには米大統領選。トランプ不安はある
*政府は混乱を沈静化する発言を行なった
*メキシコの格付けはジャンク債の手前だ
*輸出、移民、郷里送金でメキシコは米国に大きく依存
*ペソは年間首位から10位へ後退
*米墨インフレ格差、金利差、景況感格差の指標でデコボコな動き
*IMFに下方修正されたGDPが重し
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正

(3日連続陰線で押される。景気減速と粘着インフレのジレンマ)
 選挙後の8.204の安値から6日連続陽線を含め8.932まで反発していたが、一目の雲に阻まれ3日連続陰線に転じた。10月にスタートする新政権の運営方針の不安もあるが、中銀が示唆しているように景気減速とインフレ上昇のジレンマもある。株価が戻らないのもその為だ。
 
(政策金利はハト派的な据え置き)
 メキシコ中銀は予想通り、政策金利を11%に据え置いた。メヒア副総裁は0.25%の利下げに賛成し、他の理事4人は据え置きに賛成した。
 メキシコは3月に金融緩和を開始したが、それ以来、消費者物価指数は3か月連続で上昇しており、サービス部門は依然として高いままで、ペソの急落は価格を圧迫し、インフレ期待を揺るがす恐れがある。「今後、インフレ環境により基準金利の調整を議論できる可能性があると予測している。世界的なショックが引き続き和らぐ見通しと、予想よりも弱い経済活動の影響を考慮する」と中銀は述べた。

 これはハト派的な据え置きで経済活動の弱さを重視しており、利下げの可能性を完全に否定しているわけではない。夏の間に事態が沈静化すれば、8月の利下げもあるだろうと観られている。
 
(ペソ防衛介入はあるのだろうか)
 ロドリゲス中銀総裁は、通貨市場のボラティリティが「極端」になった場合、秩序回復のために介入する可能性があると述べた。介入の約束まではしなかった。
 介入の仕組みとして、総裁を含む上級財務官らが指揮する為替委員会が管理する300億ドルの外貨補償プログラムなどがあると述べた。しかし、通貨の柔軟性はメキシコ経済システムの柱の一つであり続けると改めて強調し、特定の為替レートを目標にすることはないとした。
 
(弱い成長見通しと粘着インフレ)
 成長見通しはより「悲観的」になっている。また中銀声明では、通貨安のインフレへの影響は経済活動の見通しの弱まりによって「部分的に相殺される」と示唆している。
 ペソは6月に入ってからこれまでに対ドルで8%以上下落し、投資家がメキシコを安全な避難先とみなし、高い金利を魅力的に感じていたが、選挙後は世界で最も値動きの悪い通貨となってしまった。
 
6月前半のインフレデータによると、消費者物価は前年比4.78%上昇した。食品や燃料などの変動の大きい品目を除いた指標であるコアインフレも、価格上昇が4.17%に加速した。干ばつは農産物価格の上昇に大きく寄与した。

経済減速の可能性が迫っており、アナリストらは2024年に2.1%、2025年に1.7%の成長を予測しているが、シェインバウム次期大統領は社会プログラムや財政責任に対する政府支出の拡大と主要工事の2026年までの延期を約束しているので大規模な景気刺激策は期待できない。

(シェインバウム次期大統領の説明や人事で市場は幾分落ち着く)
シェインバウム次期大統領は、来年は増税を実施せずに財政赤字を抑制すると表明した。またロペスオブラドール大統領が打ち出した司法制度改革を支持する考えも示した。
シェインバウム氏は「われわれは非常に責任のある予算の準備を進めている。2025年の財政目標は赤字をGDPの3.5%以内に抑えることだ。今年はこの比率が5%超の水準に近付くだろう」と述べた。
閣僚人事ではラミレス財務長官の留任、通商交渉を担う経済相にはエブラルド前外相を起用したことも安心感を与えた。エブラルド氏は、2026年に予定される米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しが、EUとの貿易協定と並んで最優先事項だと述べた。また、投資の呼び込みや、ニアショアリングの動きを生かすことを強調した。

 メキシコの今後数カ月に関する投資家の懸念は、9月末まで権力の座に就くロペス・オブラドール大統領が提案した一連の憲法改正に集中している。
 シャインバウム次期大統領は計画を広く支持しており、新議会には法案を承認するのに十分な与党とその同盟者の参加があるようだ。

テクニカル分析

反発も雲に抵抗され3日連続陰線、5日線下向く

 日足、6月12日の下ヒゲの長い陰線(週足は十字線)から反発も。雲に達せず3日連続陰線。5日線下向く。20日線下向き。ボリバン中位。6月12日-27日の上昇ラインを下抜くか。6月26日-27日の下降ラインが上値抵抗。
 週足、ボリバン3σ下限から急反発も中位に達せず。雲中からは抜け出す。6月10日週-17日週の上昇ラインがサポート。6月3日週-24日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
 月足、5か月連続陽線だったが、その上昇を打ち消した6月。ただボリバン中位で反発。23年3月-24年6月の上昇ラインがサポート。24年5月-6月の下降ラインが上値抵抗。 
 年足、23年で3年連続陽線。今年もここまで陽線だが上ヒゲが長くなってきた。14年-22年の下降ラインを上抜く。22年-23年の上昇ラインがサポート。



VAMOS MEXICO

元米国務長官のポンペオ氏がメキシコの改革を批判

元米国務長官のポンペオ氏は、ウォールストリート・ジャーナル紙で、ロペスオブラドール大統領のレームダック改革はメキシコに損害を与え、投資を遠ざけ、米国との関係を破壊するだろうと以下のように述べた。

 =メキシコで予想される憲法および政治の変化は、米国との二国間関係を一変させ、国境で混乱を引き起こし、おそらく貿易戦争を引き起こすだろう。その結果、メキシコの経済は停滞するだろう。両国に毒物を送り込むカルテルだけが利益を得るだろう。

メキシコのレームダック大統領、ロペス・オブラドール(通称AMLO)は、独立規制当局を廃止するか、その事務所を行政機関と統合する一連の「改革」を可決しようとしているようだ。これは明らかに米国・メキシコ・カナダ協定に違反しており、メキシコの制度に対する投資家の信頼を失わせるだろう。米国からの外国直接投資の流れは枯渇するだろう=

情報提供元:FX湘南投資グループ
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