執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年6月7日 14時10分
レンジ推移想定ながらも、上値の重さが意識されやすいか
ユーロ/円やポンド/円は後半に失速
インドの総選挙においてモディ首相率いる与党・インド人民党(BJP)が単独過半数を失う見通しが伝わると、リスク回避の流れが強まり、ユーロ/円は167.951円、ポンド/円は197.196円までレンジ下限を広げました。日銀による毎月の国債購入額の減額観測も円買いを誘いました。ただ、インドでは与党連立での政権樹立は可能となったため、リスク回避の流れが緩和し、ユーロ/円は170.28円付近、ポンド/円は199.93円付近まで持ち直しました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FXのライブ解説、経済指標を活用したFXトレード手法 (2024年6月6日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
5・21日線がデッドクロス
ECB理事会では予想通り各種政策金利が0.25%引き下げられました。ただ、ECBは今年と来年のコアインフレ率の見通しを上方修正するなど、インフレのしつこさも意識しており、7月の連続追加利下げの可能性は高まっていません。追加利下げは早くても9月と言うことになりますが、それでも理事会内には反対意見も多いようで、現時点ではその確度は高くありません。今後発表されるデータを確認しながら9月理事会での行動の有無を見極めることになりそうです。とはいえ、来週のユーロは経済指標が少ないため日米イベントを受けた間接的な値動きとなり、明確な方向性は出にくいかもしれません。ただし、ユーロ/円は円次第と言ったところで、本邦の金利が上昇すれば日経平均株価の下落を通じて、調整が進む展開もありそうです。
ユーロ/円ですが、上昇チャネルの中での推移が続いており、トレンドが転換したとは言えません。ただ、5日移動平均線と21日移動平均線がデッドクロスしており、目先は調整含みの展開が見通せ、チャネル下限を試す流れが強いのではないでしょうか。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:167.500-171.500
雇用悪化で経済回復期待が減速も
英国経済は製造業の景況感の改善傾向は続いているものの、国内消費は持ち直しが鈍くサービス産業は低迷を続けています。そのため、成長ペースは力強さを欠いているようです。来週は労働力統計が発表されます。足許、失業率が悪化するなど労働市場への不安がじわりと広がる中で、さらに労働市場の鈍化が確認できれば、せっかく持ち直しかけている英経済への失望につながる危険はあります。ポンドはなかなか買い切れる通貨ではないように感じます。
ポンド/円は、21日移動平均線は未だ右肩上がりの形状ですが、期間21日のボリンジャーバンドが縮小期に差し掛かっていて、上昇の勢いは後退している感じです。現状水準から、同ボリンジャーバンドの上下の2σラインまでの振幅を想定すると、上方向よりは下方向に値幅を広げる危険はありそうです。もっとも、この場合、21日線を明確に下抜けてくる必要があるため、先ずは同ラインでしっかりサポートされるかどうかで、その後の展開を判断する必要があります。
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:195.000-202.000
6/10 週のイベント:
一言コメント
イエレン米財務長官に介入は「まれであるべき」と諭されて以降、政府の口先介入は減っています。今後は、レパトリ減税やNISA国内投資枠などの政策の活用も併せて円安抑制が検討されるんでしょうね。
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