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ポンド/円・豪ドル/円の6月見通し「ドル高一服でクロス円上昇も」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月のポンド/円ポジション動向
・6月の英国注目イベント
・ポンド/円 6月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月の豪ドル/円ポジション動向
・6月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 6月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 5月の推移

5月のポンド/円相場は191.364~200.731円のレンジで推移し、月間の終値ベース約1.6%上昇した(ポンド高・円安)。日本政府・日銀によるドル売り・円買い介入の影響などからポンド売り・円買い先行で始まったが、3日の191.36円前後を下値として早々に切り返した。

英中銀(BOE)は9日の金融政策委員会(MPC)で政策金利を据え置いた上で利下げの議論に着手する姿勢を示したものの、10日の英1-3月期国内総生産(GDP)・速報値が予想以上のプラス成長となったほか、14日に発表された英1-3月期週平均賃金が高止まりしたことで早期の利下げ観測が後退。22日に発表された英4月CPIが予想したほど鈍化しなかったこともポンド買い材料となり、24日には一時200円台を回復した。

28日には4月に付けた年初来高値の200.52円前後を更新。29日には200.73円まで上伸して2008年8月以来の高値を付けた。

始値 高値 安値 終値
197.008 200.731 191.364 200.383

出所:外為どっとコム

1日
NY市場クローズ間際に円が全面的に急伸。日本政府・日銀が4月29日に続いて円買い介入を発動したと見られる。

9日
BOEは大方の予想通りに政策金利を5.25%に据え置いた。声明で「今後発表されるデータを検討し、それらがインフレ持続リスクが後退しているという評価にどのように影響するかを検討する」と指摘。「その上で、政策金利を現行水準に維持すべき期間について検討する」と表明した。

なお、同時に公表した議事録では政策金利の据え置きが7対2で決定したことが明らかになった。反対の2名は利下げを支持した。ベイリー総裁はその後の会見で「今後数四半期に金利の引き下げが必要になる可能性が高い」「現在市場金利に織り込まれている以上の利下げが必要になる可能性がある」などと述べた。

10日
英1-3月期GDP・速報値は前期比+0.6%と市場予想(+0.4%)を上回った。3四半期ぶりのプラス成長でリセッション(景気後退)から脱却した。同時に発表された英3月鉱工業生産は前月比+0.2%と予想(-0.5%)に反して増加。同貿易収支は139.67億ポンドの赤字で、赤字額は市場予想(144.00億ポンド)を下回った。

14日
英1-3月失業率(国際労働機関=ILO基準)は4.3%と予想通りに12-2月(4.2%)から上昇。英1-3月週平均賃金(除賞与)は前年比+6.0%と市場予想(+5.9%)を上回ったが伸び率は12-2月と同じだった。

BOEのチーフエコノミストであり金融政策委員会(MPC)メンバーのピル氏は、この日発表された賃金統計について「1-3月期の一段の小幅な鈍化と整合性が取れる追加の統計が今朝発表された」と指摘。その上でBOEが夏に利下げを検討する可能性があると考えるのは「不合理ではない」との認識を示した。

22日
英4月CPIは前年比+2.3%(前月+3.2%)と2021年7月以来の低い伸びになったものの、市場予想(+2.1%)は上回った。英政府によるエネルギー価格の上限引き下げという特殊要因を除けばインフレ圧力はなおも強いとの見方が広がり、BOEの早期利下げ観測が後退した。なお、BOEが注目するサービスインフレ率は前年比+5.9%と小幅な鈍化にとどまった(予想+5.4%、前回+6.0%)。変動の大きい食品とエネルギーコストを除いたコアインフレ率も、前月の+4.2%から+3.9%に鈍化したが市場予想(+3.6%)は上回った。

23日
英5月PMIは製造業が51.3と市場予想(49.5)を上回り2022年7月以来の水準に上昇した一方、サービス業は52.9と予想(54.7)を下回り、2023年11月以来の水準に低下した。

24日
英4月小売売上高は前月比-2.3%と予想(-0.5%)を下回る大幅な落ち込みとなった。英国立統計局(ONS)は大半のセクターで売上高が減少したことについて「悪天候で来客数が減り、販売が低迷した」とコメントした。

5月の各市場

5月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

6月の英国注目イベント

ポンド/円 6月の見通し

 英国経済は2024年1-3月期に前期比0.6%成長。23年7-9月期、10-12月期と2四半期続いたマイナス成長=リセッション(景気後退)から予想以上の回復を示した。5月の購買担当者景気指数(PMI)を見ても、製造業・サービス業ともに活動拡大/縮小の分岐点である50.0を上回っており、当面は底堅く推移するものと見込まれる。一方で、英国の消費者物価指数(CPI)は4月に大幅に鈍化したものの、政府によるエネルギー価格の上限引き下げという特殊要因の影響が大きく、これを除けばインフレ圧力はなおも強い。コアCPIは前年比+3.9%と高止まりしている。

こうした中、英中銀(BOE)が7月4日の総選挙を前に利下げに動くことはもはや考えにくい。6月20日のBOE金融政策委員会(MPC)では政策金利を5.25%に据え置く公算が大きいだろう。利下げ開始は9月と見ており、今回のMPCでは次回8月MPCでの利下げ開始に向けた地ならしも行われないと見ている。

一方、日銀は6月13日-14日に開く決定会合で金融政策の現状維持を決める公算が大きい。ごく一部には、追加利上げや国債買い入れの減額など正常化に動くとの観測もあるが、時期尚早だろう。どんなに早くても次の一手は物価見通しの改定を行う7月会合だろう(個人的にはそれも難しいと見る)。6月はBOEにも日銀にも動きがないと見られることから、日英金利差に鑑みてポンド/円相場は堅調を維持すると予想する。
(予想レンジ:196.000円~205.000円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 5月の推移

5月の豪ドル/円相場は99.865~104.859円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約2.4%上昇した(豪ドル高・円安)。日本政府・日銀がドル売り・円買い介入を発動したと見られる1日こそ100円台を割り込む場面もあったが、その後はおおむね堅調に推移した。豪中銀(RBA)は当面様子を見る中立スタンスを維持。日豪金利差は当面縮まらないとの見方から低金利の円を売って高金利の豪ドルを買う動きが優勢だった。

その反面、4月雇用統計をはじめ豪経済指標にマチマチの結果が目立ったことから豪ドルの上値はやや重かった。29日には豪4月消費者物価指数(CPI)が予想を上回り一時豪ドル買いに傾いたが、4月29日に付けた11年ぶり高値(104.95円前後)を前に104.86円前後で伸び悩んだ。

始値 高値 安値 終値
102.067 104.859 99.865 104.629

出所:外為どっとコム

1日
NY市場クローズ間際に円が全面的に急伸。日本政府・日銀が4月29日に続いて円買い介入を発動したと見られる。

7日
RBAは政策金利を4.35%に据え置くことを決定。声明では「サービスのインフレ率がなお高水準で、ごく緩やかにしか減速していない」などとして、根強い物価上昇圧力に警戒感を示した。ただ、「金利の道筋は依然として不透明であり、理事会は何も決定しておらず何も排除していない」として政策運営を巡る中立スタンスを維持した。その後、ブロック総裁は会見で「経済が金利上昇を消化する必要がないことを望む」と発言した。

9日
中国4月貿易収支は723.5億ドルの黒字と、黒字額は市場予想(810.0億ドル)を下回った。輸出が前年比+1.5%と前月の-7.5%から持ち直した一方、輸入は前年比+8.4%と予想(+4.7%)以上に伸びた。

15日
豪1-3月期賃金指数は前年比+4.1%と市場予想(+4.2%)を下回った。ただ、豪ドルの下落は一時的ですぐに切り返した。中国が全国の地方政府に数百万戸の売れ残り住宅を買い取らせる案を検討しているとの一部報道が伝わったことが豪ドルの買い材料となったとの見方も出ていた。

16日
豪4月雇用統計は、新規雇用者数が3.85万人増と市場予想(2.37万人増)を上回った一方、失業率は4.1%と予想(3.9%)を上回って悪化した。新規雇用者数の増加はパートタイマーがけん引したもので、正規雇用者は減少した。

17日
中国4月鉱工業生産は前年比+6.7%と市場予想(+5.5%)を上回った。一方で同小売売上高は前年比+2.3%と予想(+3.7%)を下回った。

21日
RBAは5月理事会の議事録を公表。「最近のデータから、インフレリスクが高まっている可能性がある」として利上げを検討したことが明らかになった。ただ、最終的に同理事会では政策金利の据え置きを決定。「重要なのはインフレ期待が十分に固定されたままだったことだ」と指摘した上で「経済見通しに関する不確実性が通常より高い水準にあることも考慮し、過度の微調整を避けるため、短期的なインフレ動向を注視することが引き続き適切と判断した」とした。

28日
豪4月小売売上高は前月比+0.1%と市場予想(+0.2%)には届かなかったが2カ月ぶりに増加した。

29日
豪4月CPIは前年比+3.6%と市場予想(+3.4%)に反して前回(+3.5%)から伸びが加速。根強いインフレでRBAが再び利上げを迫られるとの観測が浮上した。

5月の各市場

5月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

6月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 6月の見通し

豪中銀(RBA)は、当面利上げも利下げも行わない「中立スタンス」を採っているかに見えたが、5月理事会の議事録では突然、利上げを議論したことを明らかにした。声明にはなかった利上げに関する議論が急に議事録に盛り込まれたのは、5月理事会後の市場で年内利下げの織り込みが進んだことに対するRBAの警告だったのだろう。

実際に、豪金利市場では議事録公表以降に利下げの織り込みが急速に低下。6月4日時点では年内据え置きの見方にほぼ収束している。その意味ではRBAと市場の対話はある程度上手くいっていると言えそうだ。6月は18日にRBAの政策発表が予定されている。声明や総裁会見でどのように市場とコミュニケーションを取ってくるか注目したい。

一方、日銀は6月13-14日の政策決定会合でも金融政策の現状維持を決めるだろう。世界的な株価の下落や資源価格の下落などの波乱がなければ、円キャリー取引の相手方として豪ドルが選好されやすく、6月も緩やかな豪ドル高・円安基調が続くと見る。
(予想レンジ:102.000円~107.000円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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