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ドル/円の6月見通し「ドル高は一服も円安は継続」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ドル/円
・ドル/円の基調と予想レンジ
・ドル/円 5月の推移
・5月の各市場
・5月のドル/円ポジション動向
・6月の日・米注目イベント
・ドル/円 6月の見通し

ドル/円

ドル/円の基調と予想レンジ

ドル/円 5月の推移

5月のドル/円相場は151.852~157.984円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.3%下落(ドル安・円高)した。日本政府・日銀は1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に4月29日に続いて円買い介入を発動。157円台で推移していたドル/円は153円台へと急落した。さらに3日の米4月雇用統計が雇用情勢の軟化を示すと151.85円前後まで下値を拡大した。しかし、その後はイエレン米財務長官が為替介入に対して否定的な見解を示したことなどから持ち直しの動きを強め、14日には156円台後半へと切り返した。この間、日銀の植田総裁が前言を撤回する形で円安をけん制したほか、日銀金融政策決定会合の「主な意見」が追加利上げに前向きな姿勢が示されたが、いずれも円相場に目立った反応はなかった。15日には米4月消費者物価指数(CPI)が小幅に鈍化したことでドルが弱含む場面もあったが、米連邦準備制度理事会(FRB)の高官が口々に単月のインフレ鈍化を重視せず、早期の利下げに否定的な考えを示したことから再び持ち直した。23日には介入が発動された1日以来の157円台を回復。ただ、30日の米1-3月期国内総生産(GDP)下方修正など、米経済指標にいくぶん弱めの結果がみられたことで、1日高値(157.98円前後)に僅かに及ばない水準で伸び悩んだ。

始値 高値 安値 終値
157.699 157.984 151.852 157.261


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

1
米4月ISM製造業景況指数は49.2と市場予想(50.0)を下回り前月(50.3)から低下。米3月JOLTS求人件数は848.8万件と市場予想(868.0万件)を下回り、前月(881.3万件)から減少した。FOMCは予想通りに政策金利を5.25-5.50%に据え置いた。声明で「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで、目標誘導レンジの引き下げが適切になるとは予想していない」とあらためて表明した。パウエルFRB議長は記者会見で「(インフレが目標の2%に戻るとの)より大きな確信を得るには予想よりも時間がかかりそうだ」と述べた。ただ、「インフレ率を2%に戻すために、長期的には政策は十分に制約的だと考えている」とした上で「次の政策変更が利上げになる可能性は低い」と明言した。その後、FOMCを終えたNY市場クーロズ間際に円が急伸。日本政府・日銀が先月29日に続いて円買い介入を実施したと見られる。

3
米4月雇用統計は非農業部門雇用者数が17.5万人増と市場予想(24.0万人増)に届かなかった一方、失業率は3.9%と予想以上に上昇した(予想、前回ともに3.8%)。平均時給は前年比+3.9%で市場予想(+4.0%)を下回り2021年6月以来の低い伸びとなった。

6日
前週末4日にイエレン米財務長官が「介入は『まれ』であるべきで、協議が行われることが期待される」と発言したことが伝わり、週明けの円相場は下落して始まった。

8日
植田日銀総裁は「急速かつ一方的な円安は日本経済にマイナスであり望ましくない」とした上で、円安が「基調的な物価上昇率に影響してくる、そのリスクが顕著に高まれば政策上の対応が必要になる」などと発言。足元の円安は物価に「大きな影響を与えていない」とした4月金融政策決定会合後の発言を事実上修正した。

9日
日銀は4月25-26日に開いた金融政策決定会合の「主な意見」を公表。「円安を背景に基調的な物価上昇率上振れが続く場合、正常化ペース速まる可能性十分ある」「金利のパス、市場に織り込まれているよりも高いものになる可能性」「見通し確度の高まりに合わせ、適時適切な利上げ必要」などと、タカ派寄りの意見が目立った。

15日
米4月CPIは前月比+0.3%と市場予想(+0.4%)を下回り、半年ぶりに伸びが鈍化。前年比では+3.4%と予想通りに前月(+3.5%)から鈍化した。食品とエネルギーを除いたコアCPIも前年比+3.6%と予想通りに前月(+3.8%)から鈍化した。同時に発表された米4月小売売上高は前月比±0.0%と市場予想(+0.4%)を下回った。

22日
FRBは4月30-5月1日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表。「インフレ鈍化の過程が以前の想定よりも長引く可能性がある」との認識を共有したことが明らかになった。「インフレ率が持続的に目標の2%に向かっている兆候が示されない場合は政策金利をより長期に維持する」ことを議論したとした上で、インフレ再燃リスクが顕在化すれば「政策をさらに引き締める意向があると『さまざまな参加者』が言及」したと指摘した。

30日
米1-3月期GDP・改定値は前期比年率+1.3%と予想通りに速報値(+1.6%)から下方修正。同個人消費・改定値も+2.0%に下方修正された(予想+2.2%、速報値+2.5%)。

31日
米4月個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年比+2.7%と予想に一致。食品とエネルギーを除いたコアPCEデフレーターも予想通りの前年比+2.8%だった。なお、日本の財務相はこの日、外国為替平衡操作(為替介入)の実施状況を発表。4月29日と5月1日に実施したと見られる円買い介入が合計9兆7885億円だったことが明らかになった。

5月の各市場

5月のドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

6月の日・米注目イベント

ドル/円 6月の見通し

 6月のドル/円は、米国の景気および物価、それらを踏まえた金融政策の動向が焦点となりそうだ。1-3月に予想外の強さを見せた米国の景気と物価は4月以降にやや軟化。5月に発表された4月分の米経済指標は雇用統計をはじめとして市場予想を下回るものが目立った。6月7日の米5月雇用統計や12日の米5月消費者物価指数(CPI)にはより大きな注目が集まることになるだろう。米国の景気と物価の軟化基調が続けば米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ開始時期が早まるとの観測が再浮上することも考えられる。5月31日時点で市場が織り込むFRBの利下げ開始は早くて9月で、それも「五分五分」といった情勢だ。一会合前の7月利下げを織り込むまでには至らずとも、9月利下げの織り込み度合いが高まればドルの重しとなる公算が大きい。5月CPI発表と同日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で示される政策金利見通し(ドットチャート)も大いに注目されそうだ。前回3月の見通しでは年内3回(1回あたり0.25%)の利下げ方針が示されたが、最近のFOMCメンバーの発言を踏まえると今回は減少方向に修正される公算が大きいと見る。もっとも、市場はすでに年内の利下げについて「多くて2回」と見ていることから、仮にドットチャートが年内2回の利下げを示しても大きなサプライズにはならないだろう。

 一方、日銀は6月13-14日に金融政策決定会合を開催。5月の正副総裁らの発言が正常化(利上げや国債買い入れの減額)に前向きだったことなどから長期金利が上昇しており、6月の追加利上げを織り込む動きがごく一部ながらも見られる。ただ、5月31日に日銀が発表した6月分の国債買い入れ予定は金額・回数ともに前回から据え置きだった。追加利上げはどんなに早くても、展望レポートで物価見通しが改定される7月会合だろう。

 6月はドルの上昇が一服すると見るが、円の下落基調は続くと見られることからドル/円は高止まりの展開を予想する。なお、政府・日銀による円買い介入が再発動される可能性は低いと見ており、少なくとも4月29日に付けた34年ぶり高値の160.20円前後を上抜けない限り発動されないと考えている。
(予想レンジ:153.000~160.000円)

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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