本日のNY為替市場のドル円は、明日発表される4月米消費者物価指数(CPI)を控えて動きづらい展開が予想される中、前哨戦としての4月米卸売物価指数(PPI)を見極めた後はパウエルFRB議長の発言に注目する展開となる。
また、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には引き続き警戒しておきたい。
4月米PPIは前月比+0.3%、前年比+2.2%と予想されており、3月の前月比+0.2%、前年比+2.1%からの伸び率上昇が見込まれ、食品とエネルギーを除くコア指数は前月比+0.2%、前年比+2.4%と予想されており、3月の前月比+0.2%、前年比+2.4%と変わらずと見込まれている。
予想通りならば、ミシガン大学の5月消費者調査での期待インフレが上昇していたこと、ニューヨーク連銀の4月消費者調査での期待インフレ率が上昇していたことなど、米国のインフレ率上昇機運が高まることで、パウエルFRB議長の発言に注目が集まることになる。パウエルFRB議長は、先日、「次の一手は利上げではない」とハト派的な見解を述べていた。
注目ポイントは、医療やポートフォリオ管理など、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として重視している個人消費支出(PCE)価格指数に反映されるカテゴリーとなる。
ドル円は、160.17円から151.86円までの下落幅の半値戻しである156.02円を上抜けたことで、「半値戻しは全値戻し」の様相を呈しつつあるが、引き続き本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入の可能性には警戒しておきたい。
報道によると、4月17日に開催された日米韓財務相会談の時、イエレン米財務長官は、自国通貨の急激な下落を巡る日本と韓国両財務相の懸念に留意する姿勢を示し、日本に対しては160円をレッドラインとして、ドル売り・円買い介入を容認していたとのことである。5月4日、イエレン米財務長官は、日本の通貨当局が円買い介入を行ったかどうかについては言及を避けた上で、3日終了週の円相場の動きは急激だったと認めた。
しかし、5月2日早朝の157円付近からの円の押し上げ介入に関しては、「介入を行うのであれば、ごく稀であるべきで、貿易相手国に伝達すべきだと考える」と釘を刺している。
すなわち、今後の本邦通貨当局による円買い介入は、160円というレッドラインを防戦する際に、米国財務省に事前に連絡した上で行われることになるのかもしれない。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、157.00円(4/29~5/3の下落幅の61.8%戻し)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、155.17円(5/9安値)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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