主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年5月14日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼13日(月)の為替相場
(1):日銀が国債買い入れ減額、YCC解除後初
(2):米財務長官、為替介入「機能するとは限らない」
(3):米消費者の1年先インフレ期待上昇でドル/円は156円台回復
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:半値戻し達成で157円が次のターゲット/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
13日(月)の為替相場
期間:13日(月)午前7時00分~14日(火)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀が国債買い入れ減額、YCC解除後初
日銀は午前の金融調節(オペレーション)で長期国債(5-10年)の買い入れ額を前回の4750億円から4250億円に減額。オペの減額は、マイナス金利政策を解除するなど大規模な金融緩和策の転換を決めた3月会合以降で初めて。これを受けて一時円買いが優勢となったが、減額幅が比較的小さかったことなどから内外金利差はそれほど縮まらないとの見方が広がると再び円安方向に傾いた。
(2):米財務長官、為替介入「機能するとは限らない」
イエレン米財務長官は為替介入について「特定の国の状況にコメントするつもりはない」と断った上で「過剰な変動があれば実施することは可能だが、もっと根本的な政策の変更がない場合はいつも機能するとは限らない」とし「介入を行うのであれば、極めてまれなケースに限定されるべきで、貿易相手国に事前に通達するのが適切だろう」との見解を繰り返した。
(3):米消費者の1年先インフレ期待上昇でドル/円は156円台回復
NY連銀が発表した4月の消費者期待インフレ率は1年先で3.3%と、前回(3.0%)から上昇した。インフレ長期化に伴い米国の政策金利も高水準にとどまるとの見方からドルが幅広く買われた。ドル/円は156円台を回復して今月2日以来の高値となる156.25円前後まで上昇した。これより前に、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェファーソン副議長は、1-3月期にインフレ鎮静化の進展が鈍ったのは懸念材料だとした上で、インフレが目標の2%に向かっているとの確証が得られるまで「政策金利を抑制的な水準に維持するのが適切だ」と述べた。
13日(月)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:半値戻し達成で157円が次のターゲットに
昨日のドル/円は156円台を回復。日銀が長期国債買い入れオペの減額を発表したことで155.49円前後まで下落する場面もあったが、円高の動きは一時的だった。NY市場ではNY連銀発表の4月消費者期待インフレ率が上昇したことを受けて5月2日以来の高値となる156.25円前後まで上値を伸ばした。ドル/円はこの上昇によって、日本のゴールデンウイーク中に介入騒動などで下落した値幅の半値戻しを達成。次のターゲットは61.8%戻しの157.00円付近と見られる。
なお、本日は米4月生産者物価指数(PPI)が発表される。明日15日発表の4月消費者物価指数(CPI)に比べると関心はやや低いものの、市場は米国のインフレ関連指標に敏感になっているだけに結果に注目したい。
また、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がオランダ中銀主催のイベントで行う講演にも注目が集まりそうだ。ドル/円は157円台に近付けば日本政府・日銀による円買い介入への警戒感が再び高まることも考えられる。
ただ、イエレン米財務長官は昨日、「介入を実施するのであれば、極めてまれなケースであるべきで、貿易相手国に伝達するのが適切だろう」との認識を改めて表明した。特定の国についてコメントするつもりはないとした上での発言であったが、日本を念頭に置いたものであることは疑いようがないだろう。
注目の経済指標:米4月生産者物価指数(PPI)
注目のイベント:パウエルFRB議長講演
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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