本日のNY市場でのドル円は、引き続き堅調地合いが維持されると思われる。本日は早朝に先月の日銀政策決定会合の主な意見が公表され、日銀が長期国債の買い入れ削減の可能性に言及したことで、ドル円は155.17円まで売られる場面があった。しかし、下落局面では絶好の買い場を与えたことになり、その後は米金利の上昇もあり、じり高になっている。
そもそも、日銀が長期国債の買い入れを削減した場合でも、日本経済が金利を断続的に引き上げるような状況ではないことで、金利面でも円を買い戻すような流れにはなりにくいだろう。本日発表された3月の毎月勤労統計の現金給与総額は、予想を下回る僅か0.6%となり、物価変動を加味した実質賃金も過去最長の24カ月連続のマイナスだった。
今年の春闘の結果を受けて日銀はマイナス金利を解除したが、解除した3月に日銀が示した「賃金と物価の好循環の強まりを確認」という見解が間違っていたことになる。このような状況下で本邦金利が上昇した場合は、一時的に円安の勢いが弱まることもあるだろうが、2年にわたるマイナス賃金の中で住宅ローン負担増による国民へのインパクトは大きい。また2年前のコロナ禍で中小企業を中心に、有利子負債依存度が更に高まったことで、借入金利上昇は経済への影響も大きい。金利が上昇すればネガティブ面も目立ち、さらに日本経済のファンダメンタルズを弱める可能性があり、金利上昇による円安もあり得るか。
為替介入については、先週雇用統計後に下落した151.86円をベースにすると、すでに4円超のドル高・円安。今週の安値152.78円をベースとした場合には3円超の円安に動いている。4月29日介入が入った後に154.54円から157.99円まで3円45銭戻り、5月1日(日本時間では早朝2日)に157円半ばから再び円買い介入が行われたとされている。ベースをどこにするかにはよるが、3-4円の戻しが見受けられていることで、再び円買い介入を警戒する声もあり、介入が入った場合は、それなりにドル円は下げ幅を広げるだろう。
ただし、米政権がインフレを引き起こす可能性があるドル売り介入を積極的に支持することは考えにくく、介入の効果は限られると思われる。また、本日神田財務官が介入には限界があるということを「全く間違っている」と発言したが、財務省が介入資金のために保有する満期の長い米国債を売却する場合には、米当局の理解を得なくてはならないことで、これまでのイエレン米財務長官や米当局者の発言を聞いている限りは、そのような行動に出るのは難しいと思われる。
なお、本日は前週分の米新規失業保険申請件数と失業保険継続受給者数が発表される。先週発表された4月米雇用統計が市場予想より弱い結果となったことで、ネガティブサプライズに警戒。雇用指標が予想より弱い結果となった場合には、米金利が低下してドル売りに動くことになるだろう。
・想定レンジ上限
ドル円は、5月1日NY時間引け間近に行われた介入後の戻り高値156.28円。その上は1日介入前の水準157.50円近辺。
・想定レンジ下限
ドル円は、これまでの本日安値155.17円。その下は8日安値154.55円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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