財務省・金融庁・日銀の3者会合で円安けん制、いつ介入があってもおかしくない状況に【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2024/3/28
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
時間がない方向け「ポイント要約」
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:26 ドル円高値更新 為替介入の可能性
2:06 ドル円見通し ドル高・円安圧力
3:46 クロス円見通し 方向感が出づらい
4:16 メキシコペソ円見通し 上昇トレンド形成
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ドル円高値更新 為替介入の可能性(要約)
昨日、東京時間にドル円がここ数年の高値を更新し、151.97円前後まで達しました。152円にはオプション絡みの防戦売りと呼ばれる大量の売りがあるため、そこで抑えられてしまいましたが、一時的に高値を更新したことで日本の当局も動きを見せています。
財務省、金融庁、日銀の3者会合が昨日行われ、現状の為替相場について情報交換が行われましたが、その場で現在の為替水準がファンダメンタルズからかけ離れていることが確認されました。そして、今後この動きを阻止し、これ以上の円安を防ぐために断固たる措置をとるという声明が出されました。これは、ドル円が高値を更新したことが一つの契機になったと考えられます。
一昨年の為替介入ではドル売り・円買い介入が行われましたが、その前にもこのような会合が開かれていたため、外形的には為替介入の準備が整ったと見ていいでしょう。すぐに介入が行われるとは限りませんが、準備は万端であり、いつ介入があってもおかしくない状況になったと言えます。
ドル円見通し ドル高・円安の流れ(要約)
このような状況下で、介入が起きるということは、ドル高・円安の流れが明確になってきたということを意味します。日本の金融政策に変更があったにもかかわらず、当面はゼロ金利が続くと予想されるため、円売りが入っています。また、米国のFOMCメンバーの発言によると、当分は利下げをするような環境にはないとのことで、米国の金利も下がらない様子です。これにより、ドル高・円安両方の圧力がかかってくる状況となっています。
実際に介入が行われる前は、流れが止まることはないため、円高に向かうことはないでしょう。時間の経過とともに円安方向に進み、突然介入警戒感が高まって下がるという展開が続くと思われ、難しい状況になってきています。ただし、介入が実施される前は、押し目でドル円を買っていけば、再び上昇していくという展開になると予想されます。個人的には、152円台に乗ると介入が行われるのではないかと懸念していますが、現在は151.30円台であり、ここでいきなり介入が起きるとは考えにくいでしょう。
クロス円見通し 方向感が出づらい(要約)
さらに、米国が当面利下げをしないと言っている一方で、ECBやBOEは利下げに前向きな発言をしているため、ユーロやポンドが対ドルで弱くなり、ドル高の動きが続くと予想されます。そのため、クロス円、特にポンド円・ユーロ円などは方向感が出づらい状況です。
メキシコペソ円見通し 上昇トレンド形成(要約)
そんな中、1度利下げを実施し、しばらく利下げを行わないと表明しているメキシコペソは強いです。現在、9.13円近辺まで上昇していますが、昨日の日銀・政府・金融庁の3者会合のニュースが出てもメキシコペソ円だけはあまり下がらなかったことから、上昇トレンドが形成されていると言えます。
いずれにせよ、現在は神経戦の状態であり、一方的な上昇は難しいでしょう。介入を警戒しながら取引を行う必要があるため、押し目での買いを心がけていきたいと思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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