米雇用統計!バキバキFXトレード(2024年3月8日(金) 20:00~21:00)
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雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2024年3月8日(金) 21:00~23:00)
執筆日時:2024年3月7日 12時15分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
3月8日の米国雇用統計の予想と戦略「FRBは安心感を抱けるか、データは1月上回る2月を示唆も」2024年3月号-By 外為どっとコム総研
はじめに-利下げの道筋クリアに出来るか
2024年3月8日(金)、日本時間22時30分に米国で2月分の雇用統計が発表されます。1月分のデータが強い結果となったものの、あまりに好調な非農業部門雇用者(NFP)の結果を受けて、かえってデータに対する不信感が高まりました。今回のデータがそうした不信感を除外して、米国の利下げの道筋をクリアにするのか着目されています。反対に強い結果となれば、次のステップに向かおうとしているFRBを悩ませる可能性もあります。
では振り返りからです。
前回のおさらい-文句のつけようのない強さ
・失業率・時間給も好調で申し分ない結果
2月2日、米労働省が発表した1月の非農業部門雇用者数(NFP)は35.3万人増と、市場予想(18.0万人)を上回ったほか、失業率は(3.7%)と市場予想3.8%よりも好調でした。また、時間給も12月の0.4%から0.6%へ伸びが加速し、米国の雇用市場が年末から年始にかけて拡大した様子が窺えました。分野別では、ヘルスケアや小売業が好調だったほか、22カ月ぶりに派遣サービスが増加に転じました。「CMEのFedWatch ツール」では、結果を受けて3月の米利下げ確率は15%程度まで後退しました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:米国労働省
146.60円台だった米ドル/円は結果公表直後に147円半ばまで急騰。その後も騰勢を維持して148.581円まで上値を広げました。また、米長期金利は一時4.05%台まで上伸したほか、売りが先行した米株も後半は成長への期待感から買い戻され、ダウ平均株価は前日比134.58ドル高の38654.42ドルで越週しました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 60分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
今回の見どころ-過去データは『強い2月』を示唆
・FRBの辛抱が試される可能性も
・前月を上回るNFPを示唆するアノマリーも
1月分のNFPは市場予想18.0万人のところ35.3万人と目を疑うほどの結果でした。なぜこのような結果につながったのか本当のところは分かりませんが、この数字を受け入れ難い人たちは、季節調整が悪さをしたのではないかと不信感を抱いています。こうした人達は今回はそのノイズが低下し、労働市場が基調的な減速路線へ回帰していくような格好になるのではないかと見ているようです。実際に、失業保険継続受給者数や求人大手インディードのReal-Time Job Posting Dataは低調なほか、ISM製造業・非製造業景況指数の雇用指数もさえない結果となり、米国の労働市場が緩やかに鈍化していることを窺わせます。
図表3.雇用関連指標一覧
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
数字は修正値を含む
赤の網掛けは好調さが窺えるデータ、青の網掛けは弱さが見受けられるデータ
こうしたデータは、米国の成長鈍化を見越す投資家やインフレ抑制に努力するFRBにとって安心材料となるかもしれません。その一方、JOLTS求人件数は過去の平均を超える高い水準で推移しているほか、NFPにおいては緩やかに増加に転じ始めるなど、労働市場の底堅さを示す一面も見られています。米国の労働市場に対して悲観的ではないものの、楽観的にもなり切れない状況で、NFPの市場予想は19.0万人と気持ち労働市場の減速を意識させる水準になっています。
図表4.NFPの1月と2月の比較
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
2019年以降の分を表示
数字は初回発表値
赤枠は市場予想を上回った月、青枠は市場予想を下回った月
黄色は2月が1月を上回った年
しかしながら、こうした不透明感を打ち消すような強気のデータもあります。2009年から2023年までの15年間のうち、NFPの初回結果が市場予想を上回った1月は8回、下回ったのは7回ありました。同様に2月については、市場予想を上回ったのが13回、下回ったのは2回です。そこで、2月について、1月の初回結果を上回りかつ、2月の市場予想をも上回った回数をまとめると、このケースは10回もありました(図表5.)。これを信じるなら、2月は相当に強い結果が期待でき、FRBのインフレ抑制策の終了はまだ先との観測が持ち直す危険もあります。
図表5.2月NFPの動向
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
あくまでも、過去のデータをまとめたもので、今回も同様の結果になる保証はどこにもありませんが、雇用統計単体で考えるイベントリスクは上向きと言えそうです。もっとも、政府・日銀の介入警戒心や日銀の政策修正期待から、米ドル/円の上値は限定されると見られ、仮に雇用統計が強い結果となれば、当初は買いで追随して伸びきったところは戻り売りで構えたいと考えます。また、時間給についても、1月の個人所得が強いかった点を踏まえると底堅い結果が期待でき、引き続き個人消費が米経済を下支えする可能性が示唆されるのではないでしょうか。
図表6.ドル円チャート
米ドル/円 8時間
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
付随データ
図表7.[雇用統計の実績と予想]
年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
2024年02月 | 19.0 | - | 3.7 | - |
2024年01月 | 17.8 | 35.3 | 3.8 | 3.7 |
2023年12月 | 17.0 | 21.6 | 3.8 | 3.7 |
2023年11月 | 18.0 | 19.9 | 3.9 | 3.7 |
2023年10月 | 18.0 | 15.0 | 3.8 | 3.9 |
2023年09月 | 17.0 | 33.6 | 3.7 | 3.8 |
年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
2024年02月 | 0.2 | - | - |
2024年01月 | 0.3 | 0.6 | 62.5 |
2023年12月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
2023年11月 | 0.3 | 0.4 | 62.8 |
2023年10月 | 0.3 | 0.2 | 62.7 |
2023年09月 | 0.3 | 0.2 | 62.8 |
◇関連の経済データ実績
年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
2024年02月 | 45.9 | 48.0 |
2024年01月 | 47.1 | 50.5 |
2023年12月 | 47.5 | 43.8 |
2023年11月 | 45.8 | 50.7 |
2023年10月 | 46.8 | 50.2 |
2023年09月 | 51.2 | 53.4 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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